責任重大!新スパイダーマンの物語は『シビル・ウォー』からの5作品で1つ ― マーベル映画に生まれた「物語のズレ」とは?

映画『スパイダーマン:ホームカミング』は、トム・ホランド扮するピーター・パーカー/スパイダーマンの本格登場となる記念すべき作品だ。これまでトビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドが演じてきた人気ヒーローが、ついにマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でその活躍を存分に見せつけてくれる。

その仕掛け人であるマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、MCUにスパイダーマンが参入するにあたって、実に綿密な計画を立てていたようだ。タイトルに名前が入るのは『スパイダーマン:ホームカミング』が初めてだが、彼の物語は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)からの5作品で1つだというのである。


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ファイギ社長は、新たなスパイダーマンを主人公とするストーリーの構築方法をこう明かしている。

「私たちは5つの映画によるストーリーラインだと考えています。『シビル・ウォー』、『ホームカミング』、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(原題:Avengers: Infinity War)、『アベンジャーズ』第4作、『ホームカミング2(仮題)』――とか何とか呼んでるものですが――を、ピーター・パーカーの冒険を描く鮮やかな5つのストーリーとしてね」

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ファイギ社長による今回の発言は、熱心なファンにとってはある程度“予想通り”であり“予想外”だろう。

たとえば『ホームカミング』が『シビル・ウォー』以降を描くストーリーだという時点で、新スパイダーマンの物語が『シビル・ウォー』から始まっていることは“予想通り”だ。またファイギ社長は、すでに『アベンジャーズ』第4作以降のMCUを牽引する人物がピーター・パーカー/スパイダーマンであることを明らかにしている。すなわち『シビル・ウォー』が『ホームカミング』に影響を与えたように、今後の『アベンジャーズ』2作品がピーターに大きく影響することも間違いないのだ。一連の作品群がピーター・パーカーの“大きな物語”を成すことは、MCUというユニバースの構造からみても不自然ではないだろう。

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しかしファイギ社長による発言の数々は、ある奇妙なねじれを示してもいる。なぜなら、新『スパイダーマン』シリーズは3部作構想なのだ。これらを踏まえて整理してみると、それぞれの作品には以下のような役割が与えられていることになる。

  • スパイダーマンの初登場(=「5作品で1つの物語」開始)……『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
  • 新スパイダーマン単独映画の本格始動……『スパイダーマン:ホームカミング』
  • MCU全体の大きな区切り……『アベンジャーズ』第4作(2019年5月全米公開)
  • MCU新章開始、かつ「5作品で1つの物語」終了……『スパイダーマン:ホームカミング』続編(仮題、2019年7月全米公開)
  • 新スパイダーマン単独映画の区切り……『スパイダーマン』第3作(タイトル未定)

いかがだろうか。
MCU全体からなる物語、ファイギ社長が今回明言したピーター・パーカーの冒険を描く「5作品で1つ」の物語、そして単独映画『スパイダーマン』3部作と、新スパイダーマンが関係する複数の物語(あるいは作品)の“始まり”と“終わり”がことごとく少しずつズレていることがわかるだろう。

逆にいえば、これはMCUにおいてスパイダーマンというキャラクターが早くも担ってしまった責任の重大さを物語ってはいないか。それぞれの作品で何が起こるのか、これからピーターがどんな局面に立たされるのかはわからないが、課せられた役割はひとつひとつ確実に果たしていかなければならないのである……。

むろんこんな状況ゆえ、スピンオフ作品『ヴェノム(原題:Venom)』にスパイダーマンが登場できないのも仕方がないだろう。すでにMCU内部だけで、スパイダーマンの周囲にはガチガチに固められた物語が用意されているものと思われる。「大いなる力には」ならぬ、「大いなるキャラクターには大いなる責任が伴う」状態だ。

スパイダーマン:ホームカミング

身動き取れまへんで…… ©Marvel Studios 2017. ©2017 CTMG. All Rights Reserved.

一方でトム・ホランドは、『シビル・ウォー』に自身がサブ・キャラクターとして初登場したことをこう振り返ってもいる。

「(『シビル・ウォー』は)予備試験みたいなものだったんだ。もし間違っていても、第1作(『ホームカミング』)までに直し方が分かるだろうと思ってた。ちょっと試してみる機会があったこと、ファンのみんなが見たいものがわかったことはラッキーだったよ。みんなが見たいのが僕のバージョンだってこともわかったしね」

スパイダーマンという超有名ヒーローを演じることの重圧は想像するに余りあるが、それでもこの軽やかさをもって役に挑み、『シビル・ウォー』での痛快な初登場を見せてくれた実力は、今後のMCUを見事に担ってくれること、数多の責任を鮮やかに果たしてくれることを確信するには十分だ。

映画『スパイダーマン:ホームカミング』は2017年8月11日全国ロードショー。これを観たら、きっとトム・ホランドとピーター・パーカーの冒険を最後まで見届けたくなるにちがいない。

 

[筆者追記(2017年7月7日20時)]
記事初出時より、内容の一部を加筆修正いたしました。

 

Sources: http://www.cbr.com/spider-man-homecoming-five-movie-storyline/
http://www.torontosun.com/2017/07/01/spider-man-star-tom-holland-says-no-to-venom
http://comicbook.com/2017/07/05/did-tom-holland-just-make-an-argument-for-the-dceus-approach-/
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THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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Comments

  • Taru 2017年7月5日 at 10:27 PM

    今回の記事の「ねじれ」のとこはちょっと分かりにくいです。詳しく解説してほしいです。

    Reply
    • Takatoshi Inagaki 2017年7月7日 at 8:14 PM

      筆者の稲垣です。
      このたびは貴重なご意見を賜りまして、誠にありがとうございます。
      参考にさせていただき、記事本文に加筆修正を行いました。
      今後とも、ORIVERcinemaを何卒よろしくお願い申し上げます。

      Reply
  • Taru 2017年7月5日 at 10:30 PM

    ちょっと分かりづらいかもです。解説ほしいです。

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