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J・Jは天然、ライアンは計算?スター・ウォーズ『フォースの覚醒』『最後のジェダイ』両監督のスタイルをスタッフが証言

[左]Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/19679067265/ [右]Dick Thomas Johnson https://www.flickr.com/photos/31029865@N06/38905495792/ Remixed by THE RIVER

2015年、映画『スター・ウォーズ』シリーズはディズニーによって甦った。創造主ジョージ・ルーカスの手を離れ、新たなクリエイターによって物語が紡がれている「新3部作」は、映画史に残るシリーズゆえにファンの間で常に賛否両論の渦を巻き起こしている。

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)でJ・J・エイブラムスが生み出したのは、1977年『エピソード4/新たなる希望』への敬意とオマージュを一切隠さない、続編映画でありながら“リメイク/リブート”という言葉を思い起こさせる内容だった。
その一方、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)でライアン・ジョンソンが見せたのは、大胆なストーリーテリングで観客を驚かせ、強いメッセージ性でもってシリーズを新時代へ接続する、まさしく“型破り”なスター・ウォーズだったのである。

同じスター・ウォーズながら明らかに異なる作品を生み出した二人は、製作現場にてどのようなスタイルの違いを見せていたのだろうか。J・Jとライアン、それぞれの仕事に接したスタッフが貴重な証言を発している。

J・J・エイブラムスは“天然”、ライアン・ジョンソンは“計算”?

ScreenRantは、『フォースの覚醒』『最後のジェダイ』の両方で特殊効果スーパーバイザーを務めたクリス・コーボールド氏へのインタビューを実施。『007』シリーズや『ダークナイト』3部作など目を見張るような作品群で仕事を重ねてきたクリス氏は、「J・Jとライアンにはそれぞれのスタイルがありましたね」と述べて、二人の違いを冷静に分析している。

「J・Jはエネルギッシュな人で……1時間に何百マイルも進んじゃうような感じ。わかります? 一日中ずっと、彼の頭からはあらゆるアイデアが湧いてくるんです。のびのびしてる、というのがJ・Jの仕事で大きい部分を占めていました。そのことは『フォースの覚醒』に反映されてると思いますね。」

そんなJ・Jに対して、ライアンにはまるで異なる特徴があるという。

「ライアンはとても静かで、すごく気持ちのいい男なんです。几帳面で、書かれた脚本の通りにだいたい撮影をしましたね。最近では非常に珍しいことです。(J・Jとライアンは)スタイルが大きく違うので、二人の作品にはその違いが出てると思います。二人との仕事は素晴らしかった。最高の時間を過ごしましたよ。」

すなわちJ・Jは“天然”、ライアンは“計算”と言いかえることができるだろうか。しかしクリス氏の指摘した二人の違いは、それぞれの作品をざっと振り返ると意外なものに映るかもしれない。ジョージ・ルーカスによる『スター・ウォーズ』を研究し、そのスマートな踏襲を目論んだ感のある『フォースの覚醒』こそ“計算”で、シリーズごと破壊する勢いで猛進する『最後のジェダイ』こそ“天然”なのではないかと。

しかし製作中のエピソードを参照してみれば、J・Jが再撮影の段階でスティーブン・スピルバーグらの意見を取り入れるなどの冒険に出たといわれているのに対して、ライアンはギャレス・エドワーズやフィル・ロード&クリス・ミラーら若手監督がルーカスフィルムとのトラブルに次々見舞われる中、不可解なまでのスムーズさで製作を終了させていた。作風とはまた異なる部分だが、ここに二人の“天然”と“計算”たる違いが象徴されているはずだ。

新3部作の完結編となる『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で、バトンは再び“天然”J・J・エイブラムスの手に渡る。常に湧いてくるというアイデアは、どんなクライマックスを私たちに見せてくれるのだろう。

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のブルーレイ&DVDは2018年4月25日発売。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日に米国公開予定。

Source: ScreenRant
Eyecatch Image: [左]Photo by Gage Skidmore [右]Dick Thomas Johnson / Remixed by THE RIVER

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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