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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』フィン、再び戦場へ ― 期待のホープ、ジョン・ボイエガが挑む

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)に登場したフィンは、元の名前を「FN-2187」という。
そう、彼は帝国軍の残党によって結成されたファースト・オーダーの名もなきストーム・トルーパーだったのだ。あるとき一念発起した彼は、仲間たちを裏切って組織を脱走し、レジスタンスに加わると、今度はファースト・オーダーを相手取っての戦場へと踏み出していく。

おそらく『スター・ウォーズ』シリーズ史上もっとも観客に近いヒーローであるフィンは、もとは無名のストーム・トルーパーでありながら、ついにはライトセーバーを手にして戦うという奇跡を体現してしまったキャラクターだ。しかし、その素性や過去はほぼ一切明かされていない。
自身の能力よりも意思によって道を切り拓いたフィンは、最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で再び戦いの場へと身を投じていく。そこで彼は何を見るのか、そして何を知るのか……。

優等生から脱走兵、そしてレジスタンスへ

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の冒頭、FN-2187は惑星ジャクーを襲撃するファースト・オーダーの中にいる。ロア・サン・テッカからルーク・スカイウォーカーの居場所を示す地図を入手するという任務のため、戦地へと放り出されたFN-2187は、同じく名もなき戦友の死に直面し、民間人を射殺せよと命じる声に従うことができなかった……。

なぜFN-2187がこうした感情を抱くに至ったのか、その前日譚は小説『STAR WARS フォースの覚醒前夜~ポー・レイ・フィン~』(講談社刊)に記されている。訓練生のなかでは優れた知性と技術を備えた優等生として評価されていたはずの彼は、少しずつ周囲とのギャップを感じるようになっていくのだ。自分よりも力のない味方や、射殺すべき対象への共感は、やがて組織そのものへの疑いへと転じていく。

惑星ジャクーでのふるまいから出頭を命じられたフィンは、捕虜であるレジスタンスのパイロット、ポー・ダメロンを解放すると、ともにTIEファイターで基地から脱出する。しかしその途中で追手の攻撃を受けた二人はジャクーへ墜落、そこでフィンはポーと離れてしまうのだった。
その後、フィンは廃品回収業者のレイや、ポーの相棒であるBB-8と出会う。ストーム・トルーパーだった事実を伏せ、レジスタンスの一員だと身分を偽った彼は、レイやBB-8とミレニアム・ファルコン号に乗り込むとさらなる追手を振り払い、そこでハン・ソロと出会うことになる。

一行は惑星タコダナを訪れ、ルークの地図を持つBB-8をレジスタンスに届けるよう、カンティーナの主人マズ・カナタに頼む。ところがマズはハンがやるべきだと頼みを断り、そこで逃亡を望んだフィンは、自身がストーム・トルーパーの脱走兵だという事実を告げて一行から離れるのだった。
しかしその間、またしてもファースト・オーダーが地図を求めてタコダナに攻撃を仕掛けてくる。ルークのライトセーバーを受け取ることを拒んだレイは森へ逃げ、そこでカイロ・レンに捕らえられてしまった。代わりにマズから託されたライトセーバーを武器にフィンは戦うも、力及ばずファースト・オーダーに追い込まれてしまう。しかし、そこにレジスタンスの応援が到着したことで一行は窮地を脱するのだった。

ファースト・オーダーが超兵器「スターキラー基地」の使用を目論むなか、レジスタンスは先制してその弱点を攻撃する計画を立てる。フィンはレイを救い出すべく作戦に参加すると、ハンやチューバッカとともに基地へ潜入、無事にレイと合流する。
その後、ハンを失いながらもレジスタンスは基地の破壊を完遂。フィンとレイはいち早く基地を脱出し、ミレニアム・ファルコンへと向かうが、そこにレイを追うカイロが現れた。フィンは再びライトセーバーで戦うが、カイロによって重傷を負ってしまう。しかしその時、フォースの力に覚醒したレイが、ついにライトセーバーを手にして……。

フィンの新たな任務と過去

前作『フォースの覚醒』のラストでカイロ・レンの攻撃によって傷つき、療養の眠りについたフィンだったが、『最後のジェダイ』では再び目覚めて新たな任務に乗り出すことになるようだ。

フィンにとって新たなキーパーソンというべき人物は、レジスタンスのメカニックであるローズ・ティコ(ケリー・マリー・トラン)だ。二人は惑星カントニカにあるカジノ・シティ「カント・バイト」へと潜入するミッションを担うことになるようだが、どうやらローズと出会った当初、フィンは再び戦場から逃れようと考えているらしい。
米Entertainment Weeklyの特集記事で、フィンを演じるジョン・ボイエガはこう語っている

ローズと出会った時、フィンはすべての戦いから脱出しようとしている、去ろうとしているんですよ。でも彼女が現れて、彼は自分自身の心境に気づかされる。それが必ずしも真実じゃないとしてもね。今こそフィンがベストを尽くす機会なんです。彼は決断を迫られて、ローズはその選択を助けるんですよ。」

またフィンにとってもうひとりの新たなキーパーソンは、ベニチオ・デル・トロ演じる謎の人物「DJ」だろう。フィンとローズのミッションに関係するらしいこのキャラクターは、すでに公開されているメイキング映像にも登場している。その映像のなかで、フィンとローズ、DJはファースト・オーダーの衣裳に身を包んでいるのだ……。

ちなみにジョン・ボイエガは、自身の演じるフィンというキャラクターの過去を示唆してもいる。そのすべてが『最後のジェダイ』で明かされるわけではなさそうだが、来たる『エピソード9(仮題)』で大きな決着を迎えることは間違いないだろう。

「(フィンの過去は)エピソード8では深く描かれません。でも彼は間違いなく過去に問題を抱えているんです。[中略](『最後のジェダイ』では)彼の過去や、彼がどこからやってきたのかをさらに知ることになります。」

映画界期待の新鋭、ジョン・ボイエガ

ジョン・ボイエガ
Photo by Gage Skidmore ( https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/19057548654/ )

2015年『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でフィン役に抜擢されたジョン・ボイエガは、2012年の映画デビュー作『アタック・ザ・ブロック』に主演して高く評価された人物だ。『フォースの覚醒』を手がけたJ.J.エイブラムス監督は、同作でのジョンの演技に心酔して、フィン役のオーディション以前に「何か映画に出てほしい」と声をかけていたことでも知られている。

1992年生まれのジョンは現在(2017年11月)25歳、ハリウッドが注目する期待の新鋭俳優だ。
なにしろ大作映画『スター・ウォーズ』シリーズでメイン・キャストに抜擢されたのち、トム・ハンクス&エマ・ワトソンの共演で話題の『ザ・サークル』(2017年11月10日公開)に出演するほか、『ハート・ロッカー』(2008)『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012)のキャスリン・ビグロー監督による最新作『デトロイト』(2018年1月公開)に主演、さらには人気映画『パシフィック・リム』(2013)の続編である『パシフィック・リム:アップライジング』(2018年4月)でも主演を務めているのである。アメリカ本国では2017年4月からの1年間で4本の出演作品が封切られることになっており、まさに引っ張りだこの状態だ。

そんなジョンは、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で脚本・監督を務めたライアン・ジョンソンを手放しに絶賛している「自分だけのスタイルを持っている」「僕は『スター・ウォーズ』の大ファンだけど、こんなの初めてだって思うこともあった」というその実力は、ぜひスクリーンで堪能することにしよう。

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は2017年12月15日より全国ロードショー。

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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