トム・クルーズは挑戦をやめないからスターなのだ ─ 『ミッション:インポッシブル』に『トップガン』、次は宇宙でアクション撮影へ

誰もが知るスター、というのが、すっかり輩出されなくなった……そんな隔世の感は世界共有なのかもしれない。シーンやコミュニティが細分化された現代社会、ハリウッド映画の世界でも「全世代共通のスーパースター」は新たに登場しにくい。
例えばブラッド・ピットは自身の製作会社「Plan B」を設立して裏方に周りながら、「自分は気づかないうちに恐竜になっているのかもしれない」と危機感をあらわにしたことがある。1963年代生まれの彼は、いわば最後の映画スター。そんな彼とほぼ同世代である1962年生まれのトム・クルーズもまた、最後の映画スターに数えられる1人だろう。
そういった自負を本人が意識されているかは知るよしもないが、トム・クルーズは「これぞハリウッドスター」といった夢とロマンを与え続ける存在だ。『ミッション:インポッシブル』シリーズなどのアクション映画への出演が多いトムは、世界中のファンや、後進の俳優たちをも刺激する挑戦を繰り返している。
例えば『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)では、潜水するシーンで実際に6分以上も息を止めて水中撮影。このために軍隊などで用いられる呼吸停止の特別プログラムを受けて、「リラックスするため」水中で息を止める方法を会得したのだという。
また『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)では、ビルを飛び移るジャンプアクションで足首を打って骨折。本人は足を強打したその瞬間に骨折を悟ったというが、そのまま足を引きずって走り続け、撮影続行を試みている。このために映画の撮影はしばらく中断となったが、事故の瞬間をそのまま映画本編に採用させている。

さらに『ミッション』シリーズの最新作でもスタントの無謀レベルをさらに更新し、約150メートルの超高所からバイクに乗って大ジャンプ。この準備のため、スカイダイビング500回、バイクジャンプ1日30回という過酷なトレーニングを1年続けたそうだ。
来たる『トップガン マーヴェリック』でもリアル感あふれる映像のため、トム自らキャストに向けたトレーニングメニューを発案。その様子はこちらの映像で確認できるが、浸水した水中で拘束具を外して脱出させる、本物の飛行機のアクロバット飛行でGの衝撃に耐えさせるなど、軍隊顔負けのブートキャンプ状態。出演者の1人が、飛行シーンの撮影中に「ものすごく吐いてしまった」ほどだ。

正真正銘のハリウッドスター、トム・クルーズにとっては、地球すら狭すぎる。現在、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)ダグ・リーマン監督と共に、宇宙空間で撮影するアクション映画を準備中。実際に撮影されれば、宇宙でアクションを撮った初のハリウッドスターということで歴史に名を残すことになる。現在59歳。守りに入る気配は一切ない。
トム・クルーズは挑戦を止めない。止めないからこそ、彼はスターなのだ。
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