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なぜゲームの実写化は失敗するのか?「THE LAST OF US」実写ドラマ製作者が指摘する「勘違い」

THE LAST OF US
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漫画やアニメの実写映画化決定ニュースには、必ず懐疑的なコメントがつくものだ。「演じられる役者がいないはずだ」「あの世界観は実写にできない」などがそうだ。それは人気ゲームの実写化においても同じこと。これまで、数々のゲームが実写映像化を果たしたが、そこには成功事例もあれば、当然失敗事例もある。うまくいくケースの方が稀だと考える方も少なくないのでは。

最も大規模なゲーム実写化作品のひとつが『バイオハザード』だろう。世界的に人気なホラーアクションゲームを実写化した一連の作品では、ミラ・ジョヴォビッチ主演シリーズは人気を博して全6作が公開されたが、リブート作『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』(2021)やNetflixの実写ドラマ「バイオハザード」は苦戦を強いられた。

そのほか、ここ近年で公開されたゲーム原作の主な実写作品をいくつか挙げてみよう。『トゥームレイダー ファーストミッション』(2018)『モンスターハンター』(2020)『モータルコンバット』(2021)「HALO」(2022)『アンチャーテッド』(2022)……、映画作品の中では、『アンチャーテッド』はまずまずの興行収入をあげたが、どちらかというと難しい結果を招いた作品が多いのが事実だ。

マイケル・ファスベンダーを主演に迎えた2016年の映画『アサシン クリード』も奇妙な実例に挙げられる。人混みに紛れて暗殺者になりきる人気ゲームシリーズを実写化した同作は米Rotten Tomatoesで批評家スコア19%の大苦戦だった。

「『アサシン クリード』は大ファンだったけど、映画化させるって聞いたときは“どうやってだよ!”って思いました。だって、あれってゲームプレイが楽しいわけじゃん。ストーリーは不可解でね」。米The New Yorkerでそう語るのは、現在人気ゲーム「THE LAST OF US」の実写ドラマ化に挑んでいるクレイグ・メイジンだ。

彼と共にドラマを手がけるニール・ドラックマンも、ゲームの実写化作品で成功したものといえば、『名探偵ピカチュウ』(2019)のような子ども向け作品だけだと指摘する。例を加えるなら、『ソニック・ザ・ムービー』(2020)も成功事例の一つだろう。続編『ソニック VS ナックルズ』(2022)は全米でのゲーム原作映画史上最高記録を塗り替えている。

ゲーム作品の実写映像化に失敗する理由として、ドラックマンが指摘するのが「人がゲームプレイをスクリーンで見たがると勘違いしてしまっているところ」。つまり、ゲームとはゲームとしてプレイしてナンボということだ。

その失敗事例としてメイジンが挙げるのが、人気FPSゲームを実写化したドウェイン・ジョンソンとカール・アーバン主演の2005年の映画『Doom』だ。「映画化しなくてよかったね案件の完璧な例」とメイジンは言う。

ゲームの名前や設定を使っただけのような作品になると「まず悲惨なことになる」とメイジン。「だって、ファンは“俺たちの◯◯はどこ行った?”ってなるし、他の人たちは“『Doom』って何なの?”ってなるし。そりゃ問題になりますよ」。

ゲーム実写化の注意点を心得るドラックマンとメイジンが手がける「THE LAST OF US」は、数々のゲーム賞に輝く2013年の傑作タイトル初の映像化作品。ゲームの世界観を忠実に再現することで、原作に匹敵する出来を目指す。ある出演者はドラマ版の脚本にいたく感銘を受け、「私が今までに読んだテレビ番組(の脚本)の中でも最高のものでした。見事に美しく書かれています」と大絶賛している。

ドラックマンは、「うまくいけば、この作品が“ビデオゲームの呪縛”を解いてくれると思いますよ」と大きな自信。ドラマは2022年1月16日より日米同時配信で、本国ではHBO Max、日本ではU-NEXTにてお目見えとなる。

なお、同作以降も人気ゲームの実写化は続々と企画が控える。代表的な例を挙げると、『グランツーリスモ』、『パックマン』、『サイレントヒル』の新作、『マインクラフト』、『ロックマン』、『JUST DANCE』、『デス・ストランディング』、『メタルギアソリッド』、ドラマ「ゴッド・オブ・ウォー」、アニメだが『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』などがある。

Source:The New Yorker

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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