『スター・ウォーズ』新作、なぜ「ゲーム・オブ・スローンズ」脚本家は降板したのか ─ ジェダイの起源を描く予定も、「有毒ファン」のバッシング危惧か

「有毒ファンダム」のバッシングを危惧
『スター・ウォーズ』からベニオフ&ワイスが降板したことについては、もうひとつの原因が伝えられている。それは、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)以降、特にSNSで問題視されている「有毒ファンダム(toxic fandom)」の問題だ。『最後のジェダイ』はその内容ゆえに激しい賛否両論を呼び、脚本・監督のライアン・ジョンソンには激しいバッシングや嫌がらせが行われ、殺害の脅迫もあったことが明かされている。また、ローズ・ティコ役のケリー・マリー・トランには、性別や人種に基づくヘイト発言が日常的に繰り返されていた。こうした出来事が取り上げられる中、プリクエル3部作でジャー・ジャー・ビンクスを演じたアーメッド・ベストは、かつてバッシングを苦に自殺を考えていたことを告白している。
有害ファンダムの問題は、いまや『スター・ウォーズ』だけでなく、『キャプテン・マーベル』(2019)でブリー・ラーソンへの嫌がらせが行われるなど、オンラインで可視化されやすい状況にある。そしてベニオフ&ワイスの場合、「ゲーム・オブ・スローンズ」で、その経験を味わったばかり。2人は最終シーズンの展開をめぐって過激なファンからバッシングを受け、「脚本家はとんでもない無能」「最終シーズンを作り直せ」と要求する署名運動すら始まっていたのだ。これには出演者からも「無礼」「幼稚」との苦言が呈されていた。
The Hollywood Reporterによると、こうした経緯を受けて、ベニオフ&ワイスは『スター・ウォーズ』の参加を考え直すようになったと伝えられている。言葉は悪いけれども、俳優を追い込み、監督を攻撃対象にするファンが決して少なくないのである。情報源の人物は、『最後のジェダイ』のケースを引き合いに出し、「誰があんなことを経験したいんですか? これは“人生は短いんだし”というタイプの話ですよ」と証言したという。
ケネディ社長によるマネジメントか、Netflixとのスケジュール競合か、それとも有害ファンダムか。ベニオフ&ワイスの離脱は友好的に告知されたが、そこには解決しがたい問題がいくつも横たわっているようだ。現在、ディズニー/ルーカスフィルムは『スカイウォーカーの夜明け』後の新作映画について計画を立てられていない状態で、すでに新たなフィルムメーカーの検討に入っているという。
『スター・ウォーズ』シリーズでは、現在、『最後のジェダイ』ライアン・ジョンソン監督による新3部作と、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長がプロデュースする新作映画(タイトル未定)が企画されている。ただしジョンソン監督の新3部作は初期段階であり、ファイギ社長の新作も、ベニオフ&ワイス作品の予定されていた2022年に繰り上げられる可能性は低いという。それもそのはず、ファイギ社長はマーベル・シネマティック・ユニバースの「フェイズ4」開幕を間近に控える身。Disney+での新作ドラマも多数抱えている中で、急遽『スター・ウォーズ』に出向くほどの余裕はないということだろう。
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