【ネタバレありレビュー】映画『X-MEN:アポカリプス』ココが良かった、ココが残念!
ジュビリーはアジア人っぽいキュートで奇抜なパステルカラーの80’sファッションでビジュアルも印象的で、前述の学園コメディに花を添えていたので存在感はありました。しかしその存在感に見合うキャラクターの中身が伴いませんでした。台詞のあるミュータントキャラクターで能力を披露していないのは彼女だけです。何か一つでも彼女のミュータントとしての見せ場を与えるべきだったのでは。
今回のヴィラン、アポカリプス
まず、演じた俳優、オスカー・アイザックの演技はおおむね良かったです。最古で最強のミュータントでほぼ神のような存在として威圧的で傲慢でありながらも従者のミュータントたちには愛をも与える、そんなキャラクターを特殊メイクに負けずに演技で表現できていたのは素晴らしかったです。
ですが、脚本的な問題として、彼の持つビジョンが不透明なのが痛い点でした。また、アポカリプスのビジョンをマグニートのミュータントが優位な世界を作りたいというビジョンと混同させないために、アポカリプスは気に入らないもの・人を”すべて”破壊するという行動をとらせます。
ではそのすべてを破壊しつくした後「世界を立て直す」と言ってますが、実際それができたとして、何をどうしたいのかが見えてこないため、ヴィランとしての動機が薄かったです。そしてまだがっかりだった点としては、予告編でも行っていた台詞と同じく明かされていた彼の能力です。予告編でかなり印象的に使われていた”Everything they built will fall, and from the ashes of their world we will build better one.(予告編の字幕では何パターンかありましたが;堕落した文明は崩れ去り、その瓦礫の中から正しい世界を築くのだ)”というセリフ、これはもっと悪役ならではのかっこよさで大勢の一般人や対峙し苦戦するX-MENに対して言われるものだと思っていましたが、実際にこの台詞と聞いているのは彼の従者の四騎士たちだけであり、たった4人を前にこんな必要以上にドラマティックなセリフを言っているので、なんだか中二病みたいに見えてしまいました。
もう一つは、彼の身体の大きさを変えられる能力ですが、これも完全に予告によるミスリードで、実はプロフェッサーとのマインドバトルでのみ使えた能力で実際には大きさは変わらないのです。また、俳優の努力でどうにかなる体重や筋肉の増減とは違い、頑張ってもどうにもできないので仕方ない点ではありますが、アポカリプスは四騎士と5人で並ぶと一番背の低い人物になってしまうのです。
演技面では演じるのがオスカー・アイザックでよかったと思っていますが、もしビジュアル重視で行くならザ・ロックのようなでっかい俳優でもよかったのではないかと思ってしまいます。ドウェイン・ジョンソンほどの人が古代エジプトの民にいるとも思えませんし、巨体で筋肉モリモリで特殊メイクばっちりにしたらMr.フリーズの再来になりそうな気がして今うので決して良い案とは思えませんが、要するに例えばの話です。
お助けキャラウルヴァリン!
X-MEN映画といえばヒュー・ジャックマンのウルヴァリンですよね。この映画でもほぼ一瞬ですが登場し、結構濃ゆい一瞬でコミック及びX-MEN映画のファンにはたまらないシーンとなりました。野生の本能に任せて悪いやつらをバッサバサとスライスにして、グサグサとメッタ刺しにして、ボコボコに殴るウルヴァリンを見たくないファンはいないでしょう。
筆者はコミックに詳しくないのであまり大したことは言えませんが、ウルヴァリンのウェポンXとしての開発中の頭や口近くに危惧をはめられた姿は有名なコミックの表紙になっているのでコミックのファンへのサービスも忘れていません。またクレジット後のシーンでは女性版ウルヴァリンの登場が示唆されます。続くのがX-MENシリーズかウルヴァリンのスピンオフ映画になるかはわかりませんが、スピンオフであればまたX2以来の、不死身の肉体&アダマンチウムの骨格を持つもの同士の戦いが期待できます。
今回のウルヴァリンの登場はファンとしてはとても楽しめました、ですがボディダブルかCGであることを悟られないためかわかりませんが早すぎる&多すぎるカット割りなのが少し目につきました。俳優も含めてこのキャラクターが好きなので残念というほどではないですが、気になってしまいました。
まとめ
X-MEN映画のいちファンとしてはファンサービスも多かったのでこの映画をとても楽しめましたし、演技の面でもとても素晴らしいパフォーマンスがいくつも見られたので見ていて良い時間を過ごせました。しかし、ファンというファクターを抜いてしまうと悪い・粗い部分が目立ってしまうかもしれません。ですが、これからもおそらく続くであろうX-MEN映画の一つとしてはサムズアップに値する作品でしょう。