【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』アイアンマンの◯◯に秘められた◯◯ ─ なぜ◯◯◯◯だったのか、監督と脚本家が完全解説

この記事には、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレが含まれています。
「私はアイアンマンだ」「3,000回愛してる」
『エンドゲーム』には、トニー・スタークとアイアンマンという、一人の人間に宿った二つの側面を象徴するセリフが登場する。ひとつは、父親であるトニーが娘のモーガンにささやかれ、ビデオメッセージではトニーが妻と娘に向かって語りかける「3,000回愛してる(I love you, 3000)」。なんとこれは、ロバート・ダウニー・Jr.の子どもたちの一人が、実際にロバートに向けて口にした言葉だという。この話をロバートから聞いたルッソ兄弟が脚本家に伝えたところ、セリフとして採用されたのだ。
Fandangoにて、脚本家のマルクスは「間違いなくMCUで最も印象的なセリフになりますし、自分たちの手柄にしたいんですが」と述べて、このエピソードが事実であることを認めた。「実生活を映画に持ち込んだということですよ」。ちなみに脚本に書かれていたセリフは「とっても大好き、すごく愛してる」。今となっては「3,000回愛してる」以外に考えられない……。
一方でアイアンマンとしての人生を象徴するのが、サノスからストーンを奪い、指を鳴らす直前に口にする「ならば、私はアイアンマンだ(And, I am Iron Man)」というセリフだ。ワシントンD.C.で行われたイベントでルッソ監督が明かしたところによると、このセリフは製作の最終段階で急遽追加されたもの。米/Filmが伝えている。
「最初、あの瞬間にトニーは何も言っていなかったんです。ですが編集段階で、“何か言わなきゃいけないな、彼は軽口をたたきながら生きて、そして死ぬキャラクターなのだから”と。そこで最後のセリフをたくさん考えたんですが、うまくいかなかった。[中略]そしたら編集者のジェフ・フォードが、“私がアイアンマンだ”と言わせて、物語を一周させるのはどうかと提案してくれたんです。」
トニーが指をはじく直前、「私はアイアンマンだ」と口にすることは、トニーの“最後まで軽口をたたき続ける”という特徴を示すものであり、『アイアンマン』第1作で「私がアイアンマンだ」と宣言し、ある意味で自分の人生を差し出したことに響き合うものだ。そして、サノスが「私は絶対なのだ(I am inevitable)」と勝利を確信するのに対して、「私は絶対に折れない」と不屈の意志を表明することでもあっただろう。ストレンジが予見した唯一の勝利を実現すべく、トニーはここで敗れるわけにはいかなかったのだ。
ストーンの力に倒れたトニーは、ペッパーやピーター、ローディの声にももはや反応できない。トニーが何も口にしないまま息を引き取るという演出は、ロバート自身が提案したものだったという。ジョー監督はEntertainment Weeklyで、「ロバートには“この状況に忠実に演じたい”という強い意志がありました」と述べている。「トニーの身体はストーンの力で破壊されてしまいました。それがどれほどのものかは、すでにハルクやサノスでわかっています。スタークに耐えられるものではありません」。
トニー・スターク/アイアンマンの物語は、“I am Iron Man.”で始まり、同じ言葉で幕を閉じた。トニー・スタークという人間を描いてきた11年間が、22本の映画からなる「インフィニティ・サーガ」の完結とともに終わりを迎えたのである。思えばMCUの11年間とは、まぎれもなくトニーというキャラクターとともにあったではないか。本作のポストクレジットシーンもまた、確実にそのことを意味している。
脚本家のマクフィーリーは、『エンドゲーム』を執筆するにあたっての合言葉が「ひとつの章を終える」だったことを明かしている。あらゆる意味で、その目標は達されただろう。ちなみに彼は、同時にこうも付け加えている。「ひとつの章が終わり、そしてトニーが新たな章を開いてくれたのです」。
映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)より全国公開中。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html
▼『アベンジャーズ/エンドゲーム』ネタバレの記事
ロバート・ダウニー・Jr.、『アベンジャーズ/エンドゲーム』アイアンマンとキャプテン・アメリカの「和解」を語る 短いけど深い言葉 『アベンジャーズ/エンドゲーム』クリス・プラットの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』OPダンス、新規映像だった シュールでした 『アベンジャーズ/エンドゲーム』バッキー、ラストの心境と役づくりをセバスチャン・スタンが明かす ─ 「俺はスティーブを応援してやらないと」 もう、役づくりが深すぎて 『アベンジャーズ/エンドゲーム』ハルクはソウルストーンの世界で誰に会ったのか そう言えばそうだ 『アベンジャーズ/エンドゲーム』ルッソ監督のメイキング映像まとめ ─ ラストの老人、動きが俊敏すぎる 本編、何度でも観ます
Sources: EW, The New York Times, USA Today, 贵圈, Fandango, Newsarama, /Film, THR