【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』初期脚本、ブラック・ウィドウに複数の別アイデアあった ─ 冒頭設定からホークアイとのシーンまで

ナターシャ・ロマノフの「5年間」
本記事の最後にご紹介するのは、一転して映画の冒頭に関する別設定だ。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』での“指パッチン”を生き残ったヒーローたちがサノスの首を落としてから、劇中では5年の月日が経過している。米Slateのポッドキャストで、ルッソ兄弟は、この時間経過を用意した理由は「登場人物が出来事を受け入れるところまで進めたかったから」だと述べている。「サノスが勝利したことを、彼らは現実として受け入れなくてはいけません」。
ところが、スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカやナターシャはそう簡単に受け入れ、先へと進むことができずにいる。5年後のナターシャは、アベンジャーズ本部をワカンダや宇宙と常時接続して策を講じ、各地で殺戮行為に及んでいるクリントを追おうとするのだ。ジョー監督は「(今でも)ナターシャはできるかぎり、このチームをひとつに繋いでおこうと努力しています」と語っていた。

しかし脚本の初期段階では、ナターシャには全く異なる設定が与えられていた。それは、ワシントンD.C.で孤児たちを支援する組織を5年にわたって営んでいるというもの。ルッソ兄弟は「もしも生命の半分が消えてしまったら、どんな影響が生じるのか」を検討した結果、子どもたちの約4分の1が孤児になると仮定したという。しかし、このアイデアもまた採用されることはなかった。
「しばらくは(孤児という)テーマに挑戦していて、初期段階の脚本には入っていました。[中略]ただし、このテーマはあまりにも大きく、また現実世界にも広がっているもので、正しく描けるだけの時間的余裕がなかったんです。」
この設定が生きていた場合、おそらくナターシャの物語は自身のルーツなどに回帰する展開となっただろう。そうであれば、ヴォーミアのシーンも完成版とはまた違った内容になっていたはずだ。
ちなみに『エンドゲーム』を経てもなお、ナターシャの背景は、ほぼ『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で示唆されたのみで、いまだ多くは語られていない。現在企画されているブラック・ウィドウの単独映画(タイトル未定)ではナターシャの過去や新たな側面が描かれるはずだが、その全貌は謎に包まれたまま。ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウとは、『エンドゲーム』で最期を迎えてもなお、新たな展開が注目されつづけているキャラクターなのである。
映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)より全国公開中。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html
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Sources: HSC, Slate, ComicBook.com(1, 2), IW