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ジェームズ・ガン監督『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』解雇・再雇用を初めて語る ─ 「あの日は人生最悪の一日であり、人生最高の一日だった」

ジェームズ・ガン
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28557194032/

マーベル・シネマティック・ユニバースの人気シリーズ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を手がけるジェームズ・ガン監督が、2018年7月から2019年3月にかけて世界を騒がせた、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3(邦題未定、原題:Guardians of the Galaxy Vol.3)』からの一時解雇劇について初めて口を開いた

Deadlineのロングインタビューでは、記者のマイク・フレミング・Jr.氏による率直な質問にガン監督が応答している。本稿では監督による発言の要旨をなるべく丁寧にお届けしたい。

ジェームズ・ガン監督の解雇、そして再雇用まで

2018年7月、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』から脚本・監督のジェームズ・ガンが降板するというニュースは、全世界のコミックファン、映画ファンに非常に大きな衝撃を与えた。SNSにおける過去の不適切な発言が「オルタナ右翼」と呼ばれる人々によって発掘され、SNSに拡散されたことで、ガン監督はマーベル・スタジオの親会社であるウォルト・ディズニー・カンパニーから解雇されたのである。

解雇までの経緯、詳細はこちら

この決定について、映画ファンやコミックファンは大規模な署名活動を展開した。また『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の出演者は共同で声明文を発表したほか、デイヴ・バウティスタらは公の場でディズニーへの批判を繰り広げてもいる。しかしディズニー/マーベル・スタジオが復職という選択を採ることはないと報じられ、マーベル・スタジオは『Vol.3』製作の無期限保留を決定。ガン監督が執筆した脚本を使用する上で新監督を検討すること、また別の企画の優先順位を高めていることを明らかにしていた

ところが2019年3月、風向きは突然に変わった。ガン監督がDCコミックス原作映画『ザ・スーサイド・スクワッド(邦題未定、原題:The Suicide Squad)』の脚本・監督に就任したことが報じられる中、ディズニーがガン監督を『Vol.3』に再雇用することが報じられたのである。解雇のキーパーソンとみられるウォルト・ディズニー・スタジオのアラン・ホルン会長は、監督と複数回にわたって面会し、監督の謝罪やその後の状況を鑑みて復帰を決定したとされる。

今回のインタビューで、ガン監督は『Vol.3』への再雇用が決まったのは「『ザ・スーサイド・スクワッド』を執筆して、『ガーディアンズ3』のことはもう過ぎた話だと考えていた」頃だと振り返っている。ホルン会長からの呼び出しを受けたのは、ワーナー・ブラザース/DCコミックスと同作の打ち合わせをするところだったというのだ。

「アランから話がしたいと言われて。彼のことは良い人だと心から思っていたので、雇い直してもらえるのかなと思いましたね。それが最良と思っていただけたのかなと。[中略]彼のオフィスでは、少し目が潤んでしまいました。それから、ケヴィン・ファイギに『スーサイド・スクワッド』を引き受けたことを話さなくてはならなくて…それは非常に緊張しましたね。」

Kevin Feige / ケヴィン・ファイギ
ケヴィン・ファイギ(マーベル・スタジオ社長)Photo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kevin_Feige_(28556369381).jpg

解雇通告、どのように受け止めたか

2018年7月、一連の不適切発言が明るみに出て、ディズニーから解雇の通告を受けた当初、ガン監督は「少しの間、まだ可能性はあるだろうと思っていた」と明かす。しかしその希望が打ち砕かれたのは、ほかでもないホルン会長との話し合いだった。「最初の話し合いは、もはや“どうすれば戻れるか”ではなく、“今回の件について話しましょう”という内容だったんです」

ディズニーによる解雇を受け、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』という自身の代表作を失ってしまうことについて、ガン監督は「離婚した時と同じだった」と語っている(編注:2000~2008年、ガン監督は女優のジェナ・フィッシャーと夫婦関係にあった)。

「以前の妻とは、“なるべくうまくやろう、お互いに親切にしよう”と話していました。それぞれの人生にとって、お互いは大きな存在だからと。僕は、妻といた6年間について“あれは時間の無駄だった”なんて思いたくない。むしろ僕にとっては大きく成長できた時期だったし、二人とも非常によくやっていました。問題はあったし、結婚すべきではなかったけれど、元妻と6年間一緒に暮らしたことには大きな価値があったと思います。

ディズニーについても、僕はそういうふうに考えたかった。思い出した時に、つらさや苦しさ、怒りを感じたくなかったんです。もちろん、そういう感情は付いて回るもの。だけど穏やかに別れを告げ、離れることにしたいと考えていました。」

しかし監督は、解雇の通告を受けた初日の記憶を率直に吐露してもいる。「最初の一日は…人生で最もつらい日だったと言わせてください。[中略]いきなり全てを失ったように感じたんです。あっという間にクビになって、僕のキャリアは終わったと思いました」

次ページでは、ガン監督の直後の心境、現在に至るまでの変化、一連の解雇劇で自身が考えたことについてのコメントを紹介していく。

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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