『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、なぜ『インフィニティ・ウォー』から1年空けて公開されたのか ─ 2年ではダメだった理由、ルッソ監督が語る

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)のタイトルが発表されるずっと前、『インフィニティ・ウォー』(2018)と連ねたこれらの作品は『インフィニティ・ウォー パート1』と『パート2』と称されていた。製作陣は事あるごとに、『インフィニティ・ウォー』はサノスが主人公の物語であり、『エンドゲーム』はヒーローたちの物語であるとして、「互いに独立している」別作品と位置付けている。一方で物語の大きな流れとしては、前後篇と捉えることもできるだろう。
ハリウッド映画において、前後篇が立て続けに公開されるケースはいくつかある。たとえば『レッドクリフ』は、前編にあたる『レッドクリフ PartI』が2008年7月に、後編『レッドクリフ Part II -未来への最終決戦-』は半年後の2009年1月に公開された(中国)。『ハリー・ポッターと死の秘宝』は、『PART1』が2010年11月に、『PART2』は2011年7月に公開。こちらもやはり半年少々での連続公開となっている。
『アベンジャーズ』の場合、『インフィニティ・ウォー』が2018年4月、『エンドゲーム』はその丁度1年後となる2019年4月公開となった。もちろんマーベル・スタジオは、この1年という期間が最適なタイミングであることも織り込み済みだったのだ。「(『エンドゲーム』では)たくさんのキャラクターが帰ってくる。でも『インフィニティ・ウォー』時点では、キャラクターたちを失うことが話の主題になると思っていました」と言うジョー・ルッソ監督がBackstory Magazine誌に語っている。
「(『インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』を)一緒に撮影して良かったのは、1年の期間を空けて公開できたことです。この期間は、『インフィニティ・ウォー』のことや、『エンドゲーム』でどう解決するんだろうと話が続くのにちょうど良い間隔でした。もし2年空いていたら、話題が散ってしまっていたと思います。」
ルッソ監督やマーベル・スタジオの狙い通り、2018年から2019年にかけては正にMCUが制する1年となった。2018年4月公開の『インフィニティ・ウォー』は公開早々にオープニング興行収入で米国・全世界合計にて歴代最高記録を樹立、これは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2016)が誇っていた記録を抜き去るもので、ポップカルチャーの王座がスター・ウォーズからマーベルに渡される図を全世界に示した。同年夏には『アントマン&ワスプ』、2019年3月には『キャプテン・マーベル』を公開。ヒーローが敗れるという『インフィニティ・ウォー』の衝撃的な余韻を『アントマン&ワスプ』で癒やし、『キャプテン・マーベル』で希望を与えた。その間、「『エンドゲーム』がどう解決するのか」という話題で持ち切りだったことは、ファンの皆さんなら覚えがあるはずだ。確かに、その間隔が半年だったら短すぎたし、2年では長すぎて、余韻もほとんど薄れてしまっていたことだろう。
そうして供給ペースをまったく緩めないままに『エンドゲーム』を投下。前売りチケット売上の段階で『インフィニティ・ウォー』の5倍という化け物のような状態で公開され、数々の記録を打ち立てた。全世界興行収入は『アバター』(2009)をついに抜き去り、歴史上ナンバーワンの映画となったことはご存知の通りだ。
2018年から2019年、話題も興行収入も支配したMCUは、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』で「フェイズ3」と「インフィニティ・サーガ』を締めくくり、新たに「フェイズ4」へと進んでいく。今度は「Disney+」で配信のドラマ作品もMCUのメイン・ストーリーとしっかり絡むこととなり、全体の物語は更に拡大していく見込みだ。マーベル旋風は終わらない。
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Source:Comicbook.com