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第94回アカデミー賞、作品賞『コーダ あいのうた』受賞コメント ─ 「障がい者のコミュニティに捧げる」

コーダ あいのうた
(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

2022年3月27日(現地時間)に米ロサンゼルスで発表された第94回アカデミー賞では、『コーダ あいのうた』が作品賞の栄誉に輝いた。ほか助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞(シアン・へダー)も獲得し、3冠受賞となった。

主人公の耳の聞こえない父親を演じ、助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーは実際に耳が不自由な俳優。ろう者の俳優が受賞するのは100回近い歴史を誇るアカデミー賞史上でも初めてという快挙となった。

トロイは手話で「ろう者の、CODAのコミュニティ、障がい者のコミュニティに捧げます」とスピーチ。そしてトロイが「障がい者とそうでない人を繋いだ、ハリウッドに残る橋」と感謝を告げたシアン・ヘダー監督は、ASL(アメリカ手話)通訳と共に「CODAの、ろう者のコミュニティの皆さんに感謝を伝えたい。映画という場で美しい言語をありがとう」と語った。最後には映画でも登場する「I LOVE YOU FOEVER」の指サインをし、会場はASL手話での拍手(手のひらをひらひらとさせる)で包まれた。

なお、この度のアカデミー賞では、授賞式の模様ををASL(アメリカ手話)でも中継していた。以下、受賞スピーチ内容。

トロイ・コッツァー(助演男優賞)受賞スピーチ

コーダ あいのうた
(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

「私が今まで、ろう者の為の舞台に立てたのは大勢の方々のおかげです。その方々にも感謝を述べたいと思います。スピルバーグ監督の本を読んだのですが、彼によると最高の監督の定義はスキルのあるコミュニケーターと言います。

シアン・ヘダー監督は最高にスキルの高いコミュニケーターです。それは、障がい者とそうでない人との橋渡し役を務めたからです。そしてそれはいつまでもハリウッドに残る橋ということになります。そして我々もスタッフもキャストも皆がそれを評価していました。

私の父は最高の手話のできる人でした、彼は自動車事故に巻き込まれ、麻痺が残り手話ができなくなりました。父から多くの事を学びました。いつも愛しています。わたしにとって英雄です。

ファンの皆様、そして妻と娘、アリゾナのふるさと、そしてチームの皆様ありがとう。これはろう者の、コーダのコミュニティ、障がい者のコミュニティに捧げます。これは私たちの瞬間です。ありがとうございます。」

シアン・ヘダー監督(脚色賞)受賞スピーチ

コーダ あいのうた
(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

「インディペンデントフィルムとして苦労しました。プロデューサーのみなさん信じてくれてありがとう。この作り方を信じてくれてありがとう。サンダンスでこの映画が始まりました。この脚本を作ることは本当に人生が変わった経験でした。

人間としてアーティストとして、コーダのコミュニティの皆さん、聴覚障害のみなさん、感謝を申し上げたいと思います。まさに映画という場で美しい言語をありがとう。クルーの皆さん本当にありがとう。キャストの皆さんありがとう。私の家族もありがとう。両親も今日来ています。皆さんが私をアーティストに育ててくれました。そして主人のデイヴィッド、あなたの支えがなかったらできなかった。監督と母親の両立は大変だったけどあなたの支えのおかげです。子供たちありがとう。愛してる。」


作品名となるCODA(コーダ)とは、Children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”の意。音楽用語としては、楽曲や楽章の締めを表す=新たな章の始まりの意味も併せ持つ。耳の聞こえない両親と兄と暮らすルビーが、高校の合唱クラブで音楽の才能を発見され、自らの夢と家族との間で揺れる姿を描く感動作。日本でも現在公開中。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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