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『アントマン&ワスプ』徹底解説! ─ 時系列、ヴィラン、レビュー評価、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』との繋がりまで

アントマン&ワスプ
(c) MARVEL/PLANET PHOTOS 写真:ゼータ イメージ

『アベンジャーズ』シリーズでおなじみ、マーベル・スタジオ作品の最新作『アントマン&ワスプ』が2018年8月31日(金)に全国の映画館で公開された。2008年『アイアンマン』に始まったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は、なんと本作が記念すべき第20作目となる。

本記事では、前作『アントマン』(2015)の振り返りから『アントマン&ワスプ』の見どころや裏話など、鑑賞前に押さえておきたいポイントを隅から隅まで徹底的に解説する。『アントマン&ワスプ』を深く味わい、MCU作品の今後をさらに楽しむ、そのご一助となることを願うばかりである。

https://www.youtube.com/watch?v=k0tX42kWAbE

前作『アントマン』あらすじ

『アントマン』シリーズの主人公スコット・ラング(ポール・ラッド)は元泥棒の前科者。更生を誓ったスコットだが、その過去が知れると仕事を解雇され、離婚した妻や再婚相手には冷たくあしらわれ、最愛の娘と会うことも禁じられてしまう。窃盗団時代の仲間であるルイスやデイヴ、カートと再会し、再び盗みの道に戻るまでに時間はかからなかった。

ある日、スコットが盗みに入った豪邸で発見したのは謎のヘルメットとスーツ。スコットが着用すると、たちまち身体がアリのようなサイズに縮んでしまった…! かつてない恐怖を味わいながら、なんとか元の姿に戻ったスコットは大パニックでスーツを豪邸に返そうとする。あえなく現場で逮捕されたスコットの身柄を引き受けたのは、豪邸の主であるハンク・ピム博士(マイケル・ダグラス)だった…。

実はスコットの行動は、すべてハンク博士の手のひらの上にあった。その泥棒としての巧みな技術を注目されたスコットは、博士からアントマンとしての活躍を頼まれる。ハンク博士の元弟子であるダレン・クロス(コリー・ストール)が、アントマンのスーツを悪用した「イエロージャケット・スーツ」で世界規模の混乱を目論んでいるというのだ。その脅威を未然に防げるのは、もはやアントマンのスーツを使いこなせる者だけ。あまりに危険すぎる任務だが、もはやスコットに選択肢はなかった。愛する娘と再び出会うため、スコットはハンク博士と娘のホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)、そして元窃盗団の仲間たちと世界の危機に挑む。

『アントマン&ワスプ』の時系列とあらすじ

『アントマン』でヒーローとして目覚め、イエロージャケットとの戦いを繰り広げたスコット・ラング/アントマンは、サム・ウィルソン/ファルコンとの出会いを経て、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)でキャプテン・アメリカ側の一員として戦いに参加する。小さくなってアイアンマンのスーツに入ったり、巨大化して大暴れしたりと活躍したアントマンだが、その結果として投獄されることになってしまった。

続編『アントマン&ワスプ』は、『シビル・ウォー』から数年後、ごく短い期間の出来事を描く物語だ。ラフト刑務所を出たスコットは自宅軟禁状態となり、再び娘の父親として真っ当な人生を歩みだそうとしている。一方、ハンク博士やホープも『シビル・ウォー』の影響を受けている。スーパーヒーローを国連の管理下に置く「ソコヴィア協定」が採択されたことによって、自身の技術を他者に引き渡すことを拒んだハンク博士とホープは身を隠すことになるのだ。無断で技術を持ち出し、ヒーロー同士の戦いに臨み、あげく逮捕されてしまったスコットにハンク博士はおかんむりである。

『アントマン&ワスプ』のストーリーは本編を見てのお楽しみだが、ペイトン・リード監督は、本作の主なミッションが「消えた母親ジャネットの捜索」であることを明かしている。ハンク博士の妻であり、ホープの母親であるジャネットは、過去の任務中に量子世界へと消えてしまった。しかし前作『アントマン』で、スコットは量子世界に飛び込み、そこから生還することに成功したのだ。それならばジャネットも連れて戻ることができるはず……。

アントマン&ワスプ
(C)Marvel Studios 2018

ペイトン監督は『アントマン&ワスプ』で描かれる“量子世界での母親探し”についてこのように述べている

「(アントマンとワスプにとって)大きなミッションはジャネットを見つけることです。突き詰めれば、それは登場人物たちにはパーソナルな意味のあることですし、大きな世界にとってはまた別の意味があること。そのほかの出来事は、すべてその途中にある障害物なんです。」

なおプロデューサーのスティーブン・ブルサード氏は、『アントマン』が強盗映画だったとするならば、『アントマン&ワスプ』は「悪夢の一夜もの」だと述べている。創作の参考とした作品として、ペイトン監督はマーティン・スコセッシ監督による『アフター・アワーズ』(1985)やマーティン・ブレスト監督『ミッドナイト・ラン』(1988)を、スティーブン氏はダグ・リーマン監督『go』(1999)やクリス・コロンバス監督『ベビーシッター・アドベンチャー』(1987)を挙げているのだ。ご興味がおありの方は、これらの作品も是非チェックしてほしい。

海外での評価、レビュー

『アントマン&ワスプ』は2018年7月6日に米国で公開され、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に次ぐマーベル・シネマティック・ユニバースの最新作として大きな注目を集めた。

米国の大手レビューサイトRotten Tomatoesでは批評家スコア88%フレッシュという高評価を得ており、同サイトが認める批評家の支持を受けて「認定フレッシュ(Certified Fresh)」を獲得している。また観客スコアも80%フレッシュと、マーベル・スタジオ作品の高品質を証明するに至った。なお、あらゆるレビューを数値化する米Metacriticでも「70」という高数値を示している(数字はすべて2018年8月31日現在)。

2018年6月、本作を試写でいち早く観た米国の批評家やジャーナリストたちは、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』以来、(MCUとして)最高の続編映画」「テクノロジーが最高の効果を生む、楽しいライド・アトラクション」だとおしなべて賛辞を送っていた
なかでもずば抜けて注目を集めたのは、ワスプ役として鮮烈なデビューを飾ったエヴァンジェリン・リリー。ストーリーの“良い意味で”スケールが小さい部分や、「愉快で、独創的で、スマートで、最高に魅力的なエネルギーが詰まっている」と評された作風にも注目が集まった。「すばらしい温かさ、アクション、笑いがある。前作が好きならば気持ちよく驚かされるはず」というコメントは、前作のファンが安心できるクオリティを保証してくれる。
いわば本作は、マーベル・スタジオが優れた映像技術を駆使して贈る、“家族で観られるスマートで楽しいコメディ映画”なのだ。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の衝撃に震えた批評家をもって「本当に完璧なコメディ」と言わしめた、ペイトン・リード監督ら製作陣の実力を体感してほしい。

物語のカギを握る「量子世界」とは?

ハンク博士の技術によってアリのようなサイズに小さくなって戦うアントマンだが、小さくなりすぎることには危険が伴う。かつて任務中にジャネットが消えてしまったように、小さくなりすぎて量子の世界へ足を踏み入れてしまえば、再び原子の世界に戻ることはできない(少なくともハンク博士はそのように考えていた)のだ。博士いわく、量子世界では「時間、空間という概念がなくなってしまう」。しかし、『アントマン』でスコットは量子世界からの帰還に成功したのである。

『アントマン&ワスプ』で、ハンク博士は量子世界に飛び込むため、専用の乗り物を開発することになる。予告編を見るとおわかりいただけるのように、本作ではアントマンやワスプといったヒーローに限らず、自動車や研究所といったあらゆるものが伸縮自在になっているのだ。前作のスコットは“一か八か”で量子世界に飛び込んでいたが、今回は先述の通り、消えたジャネットを探すため、綿密な計画をもって量子世界に飛び込まねばならない。
美術監督のシェパード・フランケル氏いわく、この“量子世界の乗り物”には、ハンク博士が長年開発に取り組みながらも完成していなかったという設定があるとのこと。ちなみにデザインにあたっては、ヘリコプターや潜水艦からインスピレーションを受けたという。

またマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、前作『アントマン』の量子世界のシーンに、消えたジャネットの小さなシルエットが映り込んでいたことを明かしている。「コマ送りで見るのが好きな人のための」仕掛けだということなので、ぜひご自宅で探してみてほしい。ちなみにケヴィン社長いわく、『アントマン』に登場した要素は今後のMCUに長く登場するとのこと。量子世界がMCUにおいて大きな意味を有するものであることはすでに間違いなさそうだ。

新ヒーロー、ワスプ登場

『アントマン&ワスプ』の大きな見どころは、なんといっても前作のヒロインであるホープ・ヴァン・ダインが、新ヒーロー・ワスプとして初登場することだろう。前作でも高い身体能力と精神力を発揮していただけに、本作での活躍にも期待がかかる。演じるエヴァンジェリン・リリーはスタントを自ら演じることに強い意欲を示し、アントマン役のポール・ラッドを超えるスタントワークに臨んだというのだ。

前作『アントマン』から『アントマン&ワスプ』までの間に、劇中では2年もの時間が流れている設定。エヴァンジェリンは、前作の時点で、ホープにはヒーローになる準備が整っていたと述べている。

「(『アントマン&ワスプ』では)ホープがスーパーヒーローになるのを見せるわけではありません。『アントマン』のラストで彼女にはヒーローになる準備ができていたと思いますし、なぜ、どうやってヒーローになるのかというオリジン(起源)や、必要なスキルを身につける様子は必ずしも描かなくてもいいんですよ。」

ワスプのスーツ 機能とデザイン

こうした思い切りの良いストーリーテリングは、ホープが身につけるワスプのスーツにも反映されている。『アントマン&ワスプ』に登場するワスプのスーツは、前作のラストに登場したものをアップグレードした最新のスーツだ。初登場のヒーローながら、その機能はアントマンより優れているという。

「私(ワスプ)のスーツはスコットのスーツを改良したものです。彼のスーツは、ハンクが1960年代に着ていたオリジナルのスーツなので。テクノロジーのおかげで、私のスーツには手首にブラスターが付いていますし、翼もある。私が考えていることに反応するシステムもあるみたいですよ。翼を引っ込めたり、ブラスターを出したりする動きをする必要はなくて、そうしたいと思えば、そうなってくれる。アイアンマンにも似てると思います。彼がボタンを押したりしてるところ、見たことないですよね。」

アントマン&ワスプ
MARVEL/PLANET PHOTOS 写真:ゼータ イメージ

エヴァンジェリンによると、衣裳チームは試行錯誤を重ねながらワスプのスーツを開発していったとのこと。最初は着心地が悪かったそうだが、徐々に身体にぴったり馴染む仕上がりとなっていったそうだ。完成したスーツをエヴァンジェリンは非常に気に入っていて、「実際よりも脚が長く見えるんですよ(笑)」と話しているほどである。

特殊衣裳の監修を務めたイヴォ・コヴェニー氏によると、前作のスーツからデザインが大幅に変わったのは、やはりエヴァンジェリンが実際に着用することを意図したためだという。衣裳チームは当初、前作と同じコンセプトでスーツの製作を開始したそうだが、前作のスーツはCGで描かれていたこともあり、実際の演技やアクションなどを前提としたものではなかったようだ。

ビジュアル開発スーパーバイザーのアンディ・パークによると、「アベンジャーズのコスチュームは機能的で、現実的」であるのに対して「ワスプのコスチュームはもっとコミックブック的」なデザインになるよう心がけたという。これは、モチーフになった実際の昆虫(スズメバチ)の外見により忠実にするためだそう。「昆虫のスーパーヒーロー、それがワスプのデザイン方針でした。

『アントマン&ワスプ』新キャラクター・新キャストたち

ホープの母、ジャネット・ヴァン・ダイン (ミシェル・ファイファー)

ヒロインであるホープ/ワスプの母親にしてハンク博士の妻、ジャネット・ヴァン・ダインを演じるのは、『スカーフェイス』(1983)や『危険な関係』(1988)のミシェル・ファイファーだ。ヒーロー映画に出演するのは、『バットマン リターンズ』(1992)でキャットウーマン役を演じて以来、実に26年ぶりとなる。

量子世界に消えてしまったジャネットは、『アントマン&ワスプ』本編を通じてアントマンやワスプ、ハンク博士らが追い求める、いわば劇中最大のキーパーソンである。したがってその詳細は映画を観るまでわからないわけだが、ペイトン・リード監督や、ワスプ役のエヴァンジェリン・リリーには、前作の製作時から“ジャネットが出てくるならミシェル・ファイファーがいい”という思いがあったそう。『アントマン』には若きジャネットがわずかに登場するが、そのキャスティングに監督は「ミシェルみたいな見た目の女優を」という指示を出していたというのである。

ミシェルは『アントマン&ワスプ』のオファーを引き受けた理由として、前作が「スマートで、楽しくて、現実に根ざしていた」こと、ほかのヒーロー映画とは異なる独特の作風があったこと、そして以前から主演ポール・ラッドの大ファンだったことを挙げている。

一方のポール・ラッドも、2007年の恋愛映画『I Could Never Be Your Woman(原題)』でミシェルと共演して以来、彼女の大ファン。8歳になるポールの娘も、ミシェル出演の学園ミュージカル映画の名作『グリース2』(1982)にハマっているようで、娘にも共演を鼻高々に自慢したそうだ。エヴァンジェリンもミシェルを「子供の頃からの憧れ」と崇める。

ヴィラン、ゴースト (ハナ・ジョン=カーメン)

『アントマン&ワスプ』ゴースト
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

『アントマン&ワスプ』のメイン・ヴィラン(敵)として報じられているのは、正体不明の女性ヴィランであるゴーストだ。コミックでは1987年刊行「アイアンマン」#219にて初登場した男性ヴィランだが、今回の映画化にあたって性別が変更されたほか、その背景や設定もコミックとは異なるという。プロデューサーのスティーブン・ブルサード氏や、演じる女優ハナ・ジョン=カーメンは、事前のインタビューで「謎の人物です」とだけ述べており、その詳細を決して明かしていない。物体をすり抜ける能力、そして高い戦闘技術が予告編で確認されているのみだ。

マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長によれば、ゴーストのキャラクター造形は、『ブラックパンサー』(2018)のエリック・キルモンガー、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)のサノスと同じく、「特殊でユニークなヴィラン」になるよう心がけられたという。キルモンガー役のマイケル・B・ジョーダンやサノス役のジョシュ・ブローリンと同じく、ゴースト役のハナもいわゆるヴィランであるとは考えずにこの役柄を演じたそうだ。

「悪役なんだ、悪いヤツなんだ、というふうには役柄を捉えていませんでした。確かに主人公たちには脅威ですが、彼女には目的がある。彼女にとっては自分は善人で、ほかのみんなが悪人なんです。どんな役柄を演じる場合でも、人間らしさを見つけなくてはいけません。ヒーローではない人物を演じる時は、脅威としての部分と、その内面にある弱さのバランスを探らなければいけないと思っているんです。どんな役にも余白はありますし、ヒーローやヴィラン、コミックのどんな役柄を演じる時でも、何らかの解釈を加えることが俳優として大切だと思いますね。」

レディ・プレイヤー1
映画『レディ・プレイヤー1』よりハナ・ジョン=カーメン(ブルーレイ&DVD発売中)。© 2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

実は、『アントマン&ワスプ』にハナが出演する経緯には、彼女が悪役を演じた『レディ・プレイヤー1』(2018)のスティーヴン・スピルバーグ監督による力添えがあったという。なんとスティーヴン監督は、本作のペイトン・リード監督にハナを推薦する手紙を送っていたのだ。その後オーディションに現れたハナは、その演技力と、アクションを魅せる身体能力の高さで製作陣の注目を集め、見事に役を射止めている。
ちなみにゴーストのスーツを着用すると、撮影現場では「本当に寒いか、本当に暑いかのどちらかだった」そう。そんな過酷な状況下で、なんとハナは本編のスタントを100%自分自身で演じている。その勇姿から一秒たりとも目を離さないように…!

ビル・フォスター (ローレンス・フィッシュバーン)

ジャネット、ゴーストと新キャラクターの詳細が明かされていない中、比較的多くの情報が事前に判明しているのが、ハンク博士の元同僚であるビル・フォスターだ。コミックではハンク博士と同じく、物体のサイズを変える発明を成功させた科学者として登場し、ブラック・ゴリアテ(ブラック・ゴライアス)というヒーローになる展開も存在する。

しかし『アントマン&ワスプ』では、やはりコミックとは少々異なる設定が用意されているようだ。かつてハンクとビルはS.H.I.E.L.D.に関わって、ともに「ゴライアス計画」と呼ばれるプロジェクトに携わっていたのである。しかし二人は道を違え、ビルは現在サンフランシスコ・バークレーにて量子物理学を教えている。ペイトン・リード監督は、ハンクとビルを「劇中で一番賢い人物」だと述べ、二人について「スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツのようなライバル関係」だと表現している。

ローレンス・フィッシュバーン
ローレンス・フィッシュバーン。Dept. of Defense photo by Navy Petty Officer 2nd Class Dominique A. Pineiro/Released https://www.flickr.com/photos/thejointstaff/34117818524/

ビル役を演じるのは、『マトリックス』シリーズなどで知られるローレンス・フィッシュバーン。『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』(2007)ではシルバーサーファーの声を務め、『マン・オブ・スティール』(2013)や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)ではペリー・ホワイト役を演じた、マーベル映画・DC映画の垣根を超えている数少ない俳優の一人だ。
ペイトン監督は、ローレンスを起用した理由として「(ハンク役の)マイケル・ダグラスと肩を並べられる人物が必要だったんです」と語る。ちなみにローレンスは幼少期からマーベル・コミックに親しんできたことを公言している大のコミック・ファンで、監督いわく、撮影現場では「聞いたこともないようなグラフィック・ノベルをいつも読んでいた」とか。

ちなみにローレンス演じるビル・フォスターの配役には、ある興味深い秘密が隠されている。本編の内容に言及しているため、映画をご覧になった方のみ、こちらの記事にてその詳細をお確かめいただきたい…!

主人公アントマン、主演俳優ポール・ラッド

『アントマン&ワスプ』は、『アントマン』シリーズの第2作だ。もちろん主人公は我らがスコット・ラング/アントマン…なのだが、本作ではワスプの存在感が高まっており、どうしてもプロモーションではそちらが強調される傾向にある。しかしご安心いただきたい、ペイトン・リード監督いわく、本作最大のミッションである“量子世界でのジャネット捜索”にスコット・ラングは欠かせないというのだ。

しかし演じるポール・ラッドによれば、スコットは『シビル・ウォー』を経て自宅軟禁を受ける中で「自分がヒーローになりたいのかどうか、さらにわからなくなっている」状況だという。そんな中、ホープや娘との関係は必然的に変わっていくことになる……。

「(『アントマン&ワスプ』では)スコットとホープの関係、それから(スコットと)娘との関係が進展していくのを見ていただくことになります。娘のキャシーこそが最大の課題なんですよ。なんとかしてスーパーヒーローとしての自分を最高の状態にすることと、父親としての自分を最高の状態にすること、このふたつは共存するんでしょうか?

ポール・ラッド
ポール・ラッド。 Photo by Red Carpet Report on Mingle Media TV https://www.flickr.com/photos/minglemediatv/18681493543/ Remixed by THE RIVER

ポールはアントマン役の魅力を「ヒロイックじゃなければスーパーでもない、普通の人間としてスーパーヒーローを演じられること」だと語っている。『アントマン&ワスプ』では、より力強いヒーローとして華々しい登場を飾るであろうワスプの存在を得ることで、そうした側面がさらに強調されることになりそうだ。

ちなみに前作『アントマン』に続き、ポールは本作でも脚本家チームに名前を連ねている。脚本の執筆に関わったほか、撮影現場でも自身のセリフを変更していたそうで、ハンク博士役のマイケル・ダグラスは「ポールは面白いセリフを自分に増やしていく」、ワスプ役のエヴァンジェリン・リリーは「彼の一番良いセリフは脚本にはなかった」と証言しているのだ。ペイトン・リード監督はその仕事ぶりについて、「ポールは脚本を書いている時も、演じている時も、常に映画全体が頭の中にあるんです」と語った。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』との繋がり

マーベル・シネマティック・ユニバースを追いかけてきたファンにとって、ある意味で最も重要なポイントは、本作と『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』および『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』がどのように繋がっているかということだろう。

しかし、これまでペイトン監督は、『アントマン&ワスプ』を独立した作品として制作する意思を明言してきた。なにしろ、「大きな課題は、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で起きることから(『アントマン&ワスプ』を)きちんと切り離すことでした」述べていたのである。ところがマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、『アントマン&ワスプ』を「『アベンジャーズ』第4作に直接繋がる」作品だと明言している。二つの方針はどのように両立しているのか…?

そのヒントとなりうるのが、ペイトン監督が本作に込めたという“意図”だろう。『アベンジャーズ』シリーズとの繋がりは、監督によるこの証言が大きな手がかりとなるはずだ。

「(『アベンジャーズ』第4作については)知っていることもありますよ。それしか言えません。(『アントマン&ワスプ』で)『アベンジャーズ』第4作や、今後作られるかもしれない『アントマン』作品のためにどんな種をまいたかというのは本当に言えないんです。ただし、映画に登場するものには、出てくるだけの理由があります。それがイースターエッグ(小ネタ)にせよ、ミスリードにせよ。」

ネタバレあり!映画をご覧になった方のために

THE RIVERでは、『アントマン&ワスプ』本編に関する解説記事やメイキング記事を随時お届けしている。こちらでは本編の内容に言及することなく、その概要だけをご紹介しよう。映画をご覧になった方は、それぞれの記事をご一読いただき、さらに深く『アントマン&ワスプ』の世界を味わってほしい。

ポストクレジットシーン

いまやマーベル・シネマティック・ユニバースの恒例となったポストクレジットシーンは、もちろん本作『アントマン&ワスプ』にも用意されている。その意味や謎、制作秘話についてはこちらの記事でお確かめいただきたい。

未公開シーン

本作の米国公開後、ペイトン・リード監督は“泣く泣く本編から削除したシーン”について語っている。どんなシーンが検討されていたのか、果たしてブルーレイには収録されるのか、重要な証言はこちらの記事でどうぞ。

重要シーン「量子のもつれ」制作秘話

映画の中盤には、作品のカギを握る「量子のもつれ」シーンが存在する。ペイトン・リード監督が「このシーンこそ作風の“ド真ん中”」だと豪語するシーンの舞台裏、参考とされた作品はこちらの記事でチェック!

映画『アントマン&ワスプ』は2018年8月31日(金)より全国ロードショー

『アントマン&ワスプ』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/antman-wasp.html

『アントマン&ワスプ』出演者/キャスト、スタッフ

主な出演者

  • ポール・ラッド……スコット・ラング/アントマン
  • エヴァンジェリン・リリー……ホープ・ヴァン・ダイン/ワスプ
  • マイケル・ペーニャ……ルイス
  • ウォルトン・ゴギンズ……ソニー・バーチ
  • ボビー・カナヴェイル……パクストン
  • ジュディ・グリア……マギー・ラング
  • ティップ・“T・I”・ハリス……デイヴ
  • デヴィッド・ダストマルチャン……カート
  • ハナ・ジョン・カーメン……エイヴァ・スター/ゴースト
  • アビー・ライダー・フォートソン……キャシー・ラング
  • ランドール・パーク……ジミー・ウー
  • ミシェル・ファイファー……ジャネット・ヴァン・ダイン
  • ローレンス・フィッシュバーン……ビル・フォスター
  • マイケル・ダグラス……ハンク・ピム

主なスタッフ

  • 監督:ペイトン・リード
  • 脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ、ポール・ラッド、アンドリュー・バラー、ガブリエル・フェラーリ
  • 製作:ケヴィン・ファイギ、スティーブン・ブルサード
  • 音楽:クリストフ・ベック
  • 撮影監督:ダンテ・スピノッティ
  • 編集:ダン・レベンタル、クレイグ・ウッド

Sources: SR(1, 2, 3, 4, 5, 6), Collider(1, 2), ComicBook.com(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8), THR(1, 2), CB(1, 2), News18, IGN, LA Times, ,EMPIRE July 2018
(c) MARVEL/PLANET PHOTOS 写真:ゼータ イメージ

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。