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『バーベンハイマー』キノコ雲のポップなミーム化は見たくない

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アメリカでは映画『バービー』と『オッペンハイマー』が同日公開(2023年7月21日)となったことで、2作を一緒に楽しむ『バーベンハイマー(Barbenheimer)』が現地で大きなトレンドとなっているようだ。一方はマーゴット・ロビーが演じるバービー人形を楽しく描くポップでカラフルなコメディ、もう一方はクリストファー・ノーラン監督が“原爆の父”を描くダークな重厚作。真逆の属性を持つ2作をハシゴして楽しもうという、珍しい映画体験を共有するための自然発生的なブームだ。

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『バービー』ワーナー・ブラザースと『オッペンハイマー』ユニバーサル・ピクチャーズにとって、このブームはありがたい追い風となった。初週末の興収ランキングではトップワンツーを飾り、とりわけ『バービー』は1億6,200万ドルの記録的超ヒット。どれくらいすごいかというと、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』初週末が5,470万ドルだったから約3倍。『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』と『ザ・フラッシュ』の国内累計を初週末だけでピョンと飛び越えてしまったほどである。

ようやくコロナ禍から回復しつつも、ハリウッドでは渾身の大作映画が思うように興収が伸びない苦境が続いている。『バーベンハイマー』トレンドによって2作が景気のいいヒットを放ったのは素晴らしいことで、海外のメディアはこぞって祝福と分析を始めている。

著名人もこのトレンドに火をつけた。競合作品となる『ミッション:インポッシブル』トム・クルーズとクリストファー・マッカリー監督は映画館で両作を続けて鑑賞したことを報告。お返しに、『バービー』マーゴット・ロビーとグレタ・ガーウィク監督が『ミッション〜』と『オッペンハイマー』の劇場鑑賞を報告した。シネフィル番長クエンティン・タランティーノも、窓口で『オッペンハイマー』鑑賞後に続けて『バービー』劇場チケットを窓口で自ら購入する姿が目撃されている

『バーベンハイマー』は、陰と陽のように両極端な2作を一度に楽しもうという純粋な動機によるミームで、言うならばサウナと水風呂のセットを組むようなものである。あるいは海外のSNSユーザーの声を借りればこうだ。「スタジオジブリだって、かつて『火垂るの墓』と『となりのトトロ』というトラウマと心の癒しの映画を同時公開したぞ。しかも子ども向けに」。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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