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【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』実現しなかった展開、脚本家が明かす ─ 削除されたシーンや『インフィニティ・ウォー』との細かい調整も

アベンジャーズ/エンドゲーム
©Walt Disney Studios / Supplied by LMK / 写真:ゼータ イメージ

『インフィニティ・ウォー』との調整

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』は脚本が同時に執筆され、連続で撮影された。『インフィニティ・ウォー』の編集中に『エンドゲーム』の撮影が行われるという過酷なスケジュールだったが、逆にいえば製作過程で、2本の要素を適切な形で調整することができたということでもある。

バナー=ハルク、ワカンダ登場案あった

『エンドゲーム』では、冒頭でヒーローたちがサノスの首を取ってから、5年という年月が流れる。その間にも世界は変化し、ヒーローたちのそれぞれにも変化があった。なかでも目を見張るのは、ブルース・バナー/ハルクが、ついにDNAの操作によって一体となったことだ。もはやブルースがハルクに変身するのではなく、両者は共通の存在となったのである。この状態を脚本家の二人は「スマート・ハルク」と呼んでいるが、その姿を『インフィニティ・ウォー』のワカンダ戦で初登場させるアイデアもあったようだ。

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マルクス「スマート・ハルクを前作に登場させようとしていた頃もありました。すごく面白かったんですが、タイミングが違いましたね。他の全員が倒れた時に、ハルクが登場するというものでした。」

マクフィーリー「ワカンダのシーンですね。(ブルースは)ハルクとうまく付き合えず、ハルクも表に出てこない中で、二人が歩み寄ってスマート・ハルクになるというストーリーを考えていたんです。」

アベンジャーズ/エンドゲーム
©Walt Disney Studios / Supplied by LMK 写真:ゼータ イメージ

結果としてスマート・ハルクの初登場は、スコット・ラング/アントマンが量子世界から帰還、スティーブやナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウと再会したのち、3人が「タイム泥棒」作戦をトニーに拒まれた直後となった。

しかし脚本の段階では、初登場の以前に、ハルクが5年間にヒーローとして何をしていたのかを示すシーンや、ラボでバナーとハルクが一体化するシーンも存在したという。それらの場面が削除された理由は「ダイナーでパンケーキを食べる以上に多くを得られるシーンではなかったから」。マルクスは「いきなりダイナーのシーンを見せちゃっていいのかな」と不安も抱いたというが、5年間のハルクを描くことは「映画の内容というよりも、むしろノイズになってしまう」と判断。「スコット・ラングの“混乱してきた”というセリフに全てを託しました」

マクフィーリーは、脚本の執筆において「こういう勉強は永遠に続くもの」だと米Los Angeles Timesにて話している。「ひとつのシーンが複数の意味を持たないのなら、おそらくその場面を映画に入れるべきではないんです」

ホークアイの冒頭シーン、前作の想定だった

同じく『インフィニティ・ウォー』に登場する予定が『エンドゲーム』まで引っ張られたのが、クリント・バートン/ホークアイと家族が登場する冒頭のシーンだ。ただしこちらは脚本段階での調整ではなく、実際に『インフィニティ・ウォー』の撮影時期にシーンのの撮影そのものは行われていた。

マルクス「(冒頭の)弓矢のシーンを『インフィニティ・ウォー』で(サノスが)指を鳴らした直後に入れようとしていたんです。指を鳴らすと、クリントが農場にいる場面に飛ぶ。何を見せられているのかと思えば、それが大きな影響の始まりになっているという構成でした。ですが前作で、そのシーン以前にクリントの出番はなかったんです。良い登場シーンだったんですが、出来事の残酷さが弱まってしまうと考えました。」

このシーンを『エンドゲーム』の冒頭に移動させることを提案したのはジョー・ルッソ監督。ホークアイ役のジェレミー・レナーは、『インフィニティ・ウォー』に不在だった理由を「すべてはストーリーテリングのため。あらゆる判断をルッソ兄弟に委ねました」述べていたが、やはり当初はホークアイもワンシーンのみ登場する計画だったようだ。

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登場させられなかったキャラクター

脚本家のふたりによれば、実は『インフィニティ・ウォー』の時点で登場させようとしていたキャラクターが存在するとのこと。それは宇宙に存在する金色の巨人「リビング・トリビューナル」。マルチバース(多元宇宙)を監視する存在で、宇宙の法に背く者がいないかを常に見張っているキャラクターだ。

マルクスによれば、『インフィニティ・ウォー』のクライマックス、惑星タイタンでの戦いにリビング・トリビューナルが現れるという脚本が執筆されていたという。しかしあまりの展開に、周囲のスタッフも言葉を失ったのだそうだ。マクフィーリーは「リビング・トリビューナルは3つの頭を持つキャラクターなので、まったく異なる宇宙の構造を示唆しようと思ったんです」と述べている。「さすがにやり過ぎだったかなと思いますね」。

ちなみにリビング・トリビューナルを映画に登場させるというアイデアは、現在のマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギによる判断待ちだという。今後のマーベル・シネマティック・ユニバースには、新たなる宇宙種族が登場する『エターナルズ(邦題未定、原題:Eternals)』も予定されているが、もしかしてこちらの作品に…?

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)より全国公開中

『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html

Sources: New York Times, Fandango, Los Angeles Times

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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