THE RIVER編集部アカデミー賞ノミネート『犬ヶ島』メイキングブックが完成 ─ 紙面で明かす制作背景のすべて
第91回アカデミー賞では、長編アニメーション賞と作曲賞の2部門でノミネートを果たしたストップモーションアニメ『犬ヶ島』の制作の背景すべてを明らかにする書籍「メイキングブック 犬ヶ島」が、ついに完成したとの知らせが届いた。アカデミー賞受賞発表と同日である2019年2月25日に刊行される。
本書では、CGをほぼ排除し、極限まで手作り=アナログ感にこだわったストップモーション制作の工程から、黒澤明と宮崎駿、小津安二郎の作品や北斎と広重の浮世絵などネタ元の解説、首謀者ウェス・アンダーソンはもちろん、ウェスとともに世界観を構築したロマン・コッポラ、ジェイソン・シュワルツマンや、主人公犬“チーフ”の声をあてた名優ブライアン・クランストン（「ブレイキング・バッド」）、日本的アプローチを成功させた立役者のひとり野村訓市らの声を交え、すでにベルリン国際映画祭銀熊賞（監督賞）をはじめ、20以上の賞を受賞している『犬ヶ島』がアカデミー賞にノミネートされるに至った “傑作”になりえたかを紹介。THE RIVERでは、この紙面の一部を入手した。
「日本」を舞台にした理由
仕掛け人ウェス・アンダーソン（監督ほか）とロマン・コッポラ（ストーリー）、ジェイソン・シュワルツマン（ストーリー）の鼎談では、『犬ヶ島』の舞台を日本に、“犬”を主人公にした理由を明らかにするとともに、影響を受けた黒澤明、宮崎駿、ストップモーションアニメプロダクションとして著名なランキン・バス作品へのシンパシーを語っている。
ブライアン・クランストンが語る「犬ヶ島」
ドラマ「ブレイキング・バッド」で一躍注目を集めたブライアン・クランストンや日本的世界観の構築に貢献したクリエーター・野村訓市をはじめ、『犬ヶ島』を知り尽くしたスタッフたちのインサイダーインタビューを多数掲載。
日本文化をウェスが料理すると…
『犬ヶ島』の発想元は、日本の映画、ポップカルチャーだけに留まらず、歌舞伎、浮世絵にも派生する。浮世絵師・広重による「阿波鳴門之風景」（右・写真下）をモチーフにした本篇写真（右・写真中段）をはじめ、本書では比較写真も多く紹介している。
ウェス・アンダーソン作品では、脚本が完成した後、音声の時間も考慮した動く緻密なストーリーボード“アニマティック”（上・写真左）を作成した。いままで表に出すことの少なかったアンダーソン作品のアニマティックが完成した本篇と見比べても精度の高いことがわかる。
主人公・アタリ少年の百面相。完成した本篇では、シームレスに見える表情も、制作現場では数百のバリエーションが作られた。
映画内で登場人物が掲げるプラカードに描かれる犬の画。元の画はわざわざ木版画から起こしたこだわりよう。
ほか紙面の一部
書籍「The Wes Anderson Collection: メイキングブック 犬ヶ島」概要
掲載記事
- 対談 ウェス・アンダーソン（監督ほか）×ロマン・コッポラ（ストーリー）×ジェイソン・シュワルツマン（ストーリー）
- 犬ヶ島へのインスピレーション―黒澤明と宮崎駿―
- 犬たちの王国をデザインする―葛飾北斎と歌川広重―
- パペットのつくり方、動かし方
- インタビュー “『犬ヶ島」のキーマン”野村訓市（原案/小林市長役）
- インタビュー 『ブレイキング・バッド』ブライアン・クランストン（チーフ役）
- ほか
| 著者 | ローレン・ウィルフォード、ライアン・スティーブンソン |
|---|---|
| 訳者 | 金原瑞人 |
| 仕様 | 本文260頁+表紙、ハードカバー仕上 |
| 発売日 | 2019年2月25日発売 |
| 定価: | 4,800円（税別） |
| 発行 | 松竹 |
| 発売 | フィルムアート社 |
| 商品ページ | http://filmart.co.jp/books/art/isle_of_dogs/ |
