【ネタバレなし】『オリエント急行殺人事件』登場人物一覧、あらすじ ─ 事件解決のおともに

アガサ・クリスティーの傑作ミステリーを現代に甦らせた、映画『オリエント急行殺人事件』。この作品には、主演・監督を務めたケネス・ブラナーを筆頭に、豪華キャストが続々と登場する。密室の豪華列車で起こった殺人事件、容疑者は乗客全員だ。そして彼らを演じるのは、ハリウッドをはじめとする映画界のトップスターと、本作ののちに人気を急上昇させた新鋭たちである。
本記事では、名探偵エルキュール・ポアロとともに事件の謎を解く“おとも”となるべく、物語のあらすじと登場人物を網羅しておきたい。翻訳もののミステリーを読んでいて、時折「これは誰だったかな?」と本の冒頭にある登場人物一覧のページに戻ってくる……そんな感覚でご参考いただければ幸いである。
予告編
あらすじ
名探偵エルキュール・ポアロは、エルサレムで教会の遺物が盗まれた事件を鮮やかに解決し、イスタンブールで休暇を取ろうと考えていた。しかし、イギリスでの事件の要請を受け、ポアロはトルコ発フランス行きの豪華列車「オリエント急行」に乗車する。その車内でくつろいでいたポアロは、大富豪のラチェットに話しかけられる。自分は脅迫を受けていると言い、身辺の警護を頼むラチェットだが、ポアロは頼みをあっさりと断った。
深夜。オリエント急行が雪崩のために脱線事故を起こし、山腹の高架橋で立ち往生する中、ラチェットが死体で発見された。列車にいたのは、教授、執事、伯爵、伯爵夫人、秘書、家庭教師、宣教師、未亡人、セールスマン、メイド、医者、公爵夫人、車掌の13人。医師のアーバスノットは、死亡時刻を深夜の0時~2時だと断定。鉄道会社のブークに頼まれたポアロが捜査を始めると、乗客たちの証言からさまざまな事実が明らかになった。しかし、乗客全員にアリバイがあり、なかなか犯人像は浮上しない……。
登場人物/キャスト一覧
エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー/監督)
ベルギー人の名探偵。エルサレムでの事件を解決後、休暇を取ろうとしていたが、要請を受けてロンドンへ向かうためにオリエント急行に乗車する。トレードマークは口ひげ。

1960年生まれのケネス・ブラナーは、イギリス・ロンドンの名門演劇学校・RADA(王立演劇学校)を卒業し、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに参加。多くの舞台に出演し、『炎のランナー』(1981)で映画デビューしたのち、シェイクスピアの戯曲を自ら主演・監督して映画化した『ヘンリー五世』(1989)でアカデミー賞の主演男優賞・監督賞候補となる。その後も数々のシェイクスピア作品を映画化してきた。
世界中の観客に知られた大きなきっかけは、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002)のギルデロイ・ロックハート役。その後『ワルキューレ』(2008)や「刑事ヴァランダー」(2008-2016)、『マリリン 7日間の恋』(2011)『ダンケルク』(2017)などで活躍。最新作はクリストファー・ノーラン監督『TENET テネット』。映画監督としても才能を発揮しており、『マイティ・ソー』(2011)や『エージェント・ライアン』(2014)『シンデレラ』(2015)『アルテミスと妖精の身代金』(2020)などを手がけている。
エドワード・ラチェット(ジョニー・デップ)
アメリカ人の富豪美術商。過去に秘密を抱えており、何者かの脅迫を受けている。深夜のオリエント急行にて殺害される。

歌手として活動を開始したジョニー・デップは、友人のニコラス・ケイジに勧められて俳優に転身。『エルム街の悪夢』(1984)で映画初出演を果たして、『プラトーン』(1986)など様々な作品で脇役として経験を積む。『クライ・ベイビー』(1990)で初主演を果たした後、『シザーハンズ』(1990)『ギルバート・グレイプ』(1993)など立て続けに話題作に出演して、瞬く間に世界に名を轟かせた。
その後、世界的人気を博すことになったのが、主演を務めた超大作『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』(2003)。主人公ジャック・スパロウ役を熱演してアカデミー主演男優賞にもノミネートを果たした。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのほか、『シザーハンズ』で仕事を共にしたティム・バートン監督作『チャーリーとチョコレート工場』(2005)『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)『ダーク・シャドウ』(2013)のほか、『ファンタスティック・ビースト』シリーズなどで活躍。今後の作品としては、水俣病を題材にした映画『Minamata(原題)』、『ファンタスティック・ビースト』第3作などが控えている。
キャロライン・ハバード夫人(ミシェル・ファイファー)
アメリカ人。ラチェットの隣室に宿泊しており、深夜の部屋に犯人らしき男が現れたと証言する。

『マンハッタン・ラプソディー』(1980)で映画初出演を果たしたミシェル・ファイファーは、『スカーフェイス』(1983)でアル・パチーノ演じるトニー・モンタナの妻役を演じて注目を浴びる。その後、『危険な関係』(1988)でアカデミー助演女優賞に初ノミネート。『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』(1989)『ラブ・フィールド』(1992)ではアカデミー主演女優賞の候補となる。ともにアカデミー賞の受賞には至らなかったものの、『恋のゆくえ』はゴールデングローブ賞で主演女優賞、『ラブ・フィールド』はベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)に輝いた。
その他の代表作としては、圧倒的な美貌でキャットウーマン役を演じた『バットマン リターンズ』(1992)、世界中が熱狂したミュージカル映画『ヘアスプレー』(2007)、ダーレン・アロノフスキー監督が手掛けた衝撃作『マザー!』(2017)など数多くの話題作に出演し続けている。近年の映画出演作には、『アントマン&ワスプ』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)『マレフィセント2』(2019)など。
ドラゴミロフ公爵夫人(ジュディ・デンチ)
ロシアの貴族。夫の財力によって大富豪となった。愛犬を連れてオリエント急行に乗車する。

1957年、演劇『ハムレット』で舞台役者デビュー。以降、『ロミオとジュリエット』などの名舞台に出演し、英国演劇界での地位を不動のものにした。映画界には1960年中盤から本格的に進出。『ハンドフル・オブ・ダスト』(1988)で英国アカデミー助演女優賞、『恋におちたシェイクスピア』(1998)で米国アカデミー助演女優賞を受賞。その後も『Queen Victoria 至上の恋』(1997)『ヘンダーソン夫人の贈り物』(2005)『あなたを抱きしめる日まで』(2013)などで数々の栄冠を掴んできた。
その他、『007 ゴールデンアイ』(1995)から『007 スペクター』(2015)で主人公ジェームズ・ボンドの上司M役を演じ、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(2012)『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』(2016)『ヴィクトリア女王 最期の秘密』(2017)『キャッツ』(2019)など話題作に登場。次回作として、本作と同じくケネス・ブラナー監督による『Belfast(原題)』などが控えている。
ピラール・エストラバドス(ペネロペ・クルス)
ヒスパニック系の宣教師だが、以前は乳母の仕事をしていた。家庭教師のメアリ・デブナムと同室に宿泊している。原作のグレタ・オルソンにあたる人物で、映画化にあたり設定が変更されている。

『ハモンハモン』(1992)で映画初出演を果たしたペネロペ・クルスは、フェルナンド・トルエバ監督『美しき虜』(1988)、べドロ・アルモドバル監督『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999)などの、スペイン映画界を席巻した作品に相次いで出演を重ねて、世界中に名を轟かせた。以降、活動の視野を世界にも広げることになり、トム・クルーズ主演『バニラ・スカイ』(2001)など数々の国内外の作品に出演し続けている。
ウディ・アレン監督『それでも恋するバルセロナ』(2008)ではアカデミー助演女優賞を受賞。その他、べドロ・アルモドバル監督『ボルベール〈帰郷〉』(2006)『ペイン・アンド・グローリー』(2019)、アスガー・ファルハディ監督『誰もがそれを知っている』(2018)、オリヴィエ・アサイヤス監督『WASP ネットワーク』(2019)など、錚々たる監督陣と仕事を共にしている。次回作としては、ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン監督最新作『Competencia Oficial(原題)』などが控えている。ペドロ・アルモドバル監督最新作『Madres Paralelas(原題)』にも出演する見込みだ。
メアリ・デブナム(デイジー・リドリー)
イギリス人。バグダッドで家庭教師をしていた。ドクター・アーバスノットと親しく、宣教師のピラール・エストラバドスと同室。
1992年生まれのデイジー・リドリーは、2014年に『Scrawl(原題)』で長編映画デビュー。無名ながらも『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)の主人公レイ役に大抜擢され、続く『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)にも出演。新人ながらも魅力あふれる演技で人々を惹きつけ、世界中から一目置かれている。声優としても『ピーターラビット』(2018)『おもひでぽろぽろ』(1991)などに出演。
今後の作品には、第二次世界大戦に翻弄されるドイツ人女性を題材としたベストセラー小説の映画化作品『Women In The Castle(原題)』、トム・ホランドと共に主演を務める『Chaos Walking(原題)』などがある。
ゲアハルト・ハードマン(ウィレム・デフォー)
オーストリア人の教授だが、差別的発言が多い。原作小説におけるサイラス・ハードマンのポジション。

ウィレム・デフォーの映画デビュー作は、マイケル・チミノ監督『天国の門』(1981)。しかし登場シーンを全てカットされた為、正確にはキャスリン・ビグロー監督『ラブレス』(1982)が最初の映画出演作となる。その後、『ストリート・オブ・ファイヤー』(1994)『L.A.大捜査線/狼たちの街』(1985)などを経て『プラトーン』(1986)でアカデミー助演男優賞にノミネートを果たした。以降、マーティン・スコセッシ監督『最後の誘惑』(1988)、デヴィッド・リンチ監督『ワイルド・アット・ハート』(1990)など錚々たる監督の作品に相次いで出演。『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(2000)『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)でもアカデミー助演男優賞候補となり、『永遠の門 ゴッホの見た未来』(2018)ではヴェネツィア国際映画祭男優賞を受賞、アカデミー主演男優賞に初めてノミネートされた。
その他の代表作には、サム・ライミ監督『スパイダーマン』シリーズ、テオ・アンゲロプロス監督『エレニの帰郷』(2008)、ラース・フォン・トリアー監督『ニンフォマニアック』(2013)、ウェス・アンダーソン監督『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)など多数。今後もポール・シュレイダー監督『The Card Counter(原題)』、ギレルモ・デル・トロ監督『Nightmare Alley(原題)』、ロバート・エガース監督『The Northman(原題)』などを控える。
ヘクター・マックイーン(ジョシュ・ギャッド)
アメリカ人。被害者であるラチェットの秘書で、帳簿の管理役。アルコール依存症を患っている。

1981年生まれのジョシュ・ギャッドは、2002年頃から俳優として本格的に活動開始。「ER 緊急救命室」(1994-2009)「ナンバーズ 天才数学者の事件ファイル」(2005-2010)『ラスベガスをぶっつぶせ』(2008)などに参加して確かなキャリアを重ね、2011年にはブロードウェイ・ミュージカル『ブック・オブ・モルモン』でトニー賞主演男優賞の候補となる。『スティーブ・ジョブズ』(2013)などを経て、『アナと雪の女王』(2013)のオラフ役で世界に名を轟かせることとなった。
その後、『ピクセル』(2015)『美女と野獣』(2017)『アナと雪の女王2』(2019)『アルテミスと妖精の身代金』(2020)など数多くの話題作に出演。今後の作品には、ローランド・エメリッヒ監督『Moonfall(原題)』などがある。
エドワード・ヘンリー・マスターマン(デレク・ジャコビ)
被害者であるラチェットの執事で、ガンのため余命宣告を受けている。ビニアミノ・マルケスと同室に宿泊。

ローレンス・オリヴィエ賞やトニー賞など、数々の賞に輝く演劇界の重鎮デレク・ジャコビは、ローレンス・オリヴィエ主演『オセロ』(1964)で映画界に本格的に進出。その後、様々な作品に出演し、同じく演劇界で天才的な経歴を持つ、本作を手がけたケネス・ブラナー監督『ヘンリー五世』(1989)に出演。以来、『ハムレット』(1996)『シンデレラ』(2015)『オリエント急行殺人事件』(2017)などブラナー作品に欠かせない存在となる。
その他の代表作には、リドリー・スコット監督『グラディエイター』(2000)、ロバート・アルトマン監督『ゴスフォード・パーク』(2001)、トム・フーパー監督『英国王のスピーチ』など。テレビ作品では「第十の男」(1988)「そりゃないぜ!? フレイジャー」(1993-2004)でエミー賞に輝いている。
ドクター・アーバスノット(レスリー・オドム・Jr.)
従軍経験をもつ医師であり、被害者・ラチェットの検死を行う。死亡推定時刻を深夜0時~2時と推測した人物。原作小説では大佐の設定であり、もう一人の乗客・コンスタンチン博士の設定とひとつになっている。

1981年生まれ、アメリカ・ニューヨーク出身のレスリー・オドム・Jr.は、ブロードウェイ・ミュージカル『レント』で演劇界に進出。『ドリームガールズ』『ジャージー・ボーイズ』などの有名ミュージカル作品に出演し、2016年には『ハミルトン』でトニー賞主演男優賞に輝いた。
映画は『オリエント急行殺人事件』の他、『ハリエット』(2019)などに出演。テレビ作品には「CSI:マイアミ」(2002-2012)、「SMASH」(2012-2013)「GOTHAM/ゴッサム」(2014-2019)などがある。今後の公開作品には、女優レジーナ・キングの初監督作『One Night in Miami(原題)』、世界的歌手Siaの初監督作品となるミュージカル映画『Music(原題)』など。
ピエール・ミシェル(マーワン・ケンザリ)
オリエント急行の車掌。被害者・ラチェットのうめき声を深夜に聞いている。

オランダ出身のマーワン・ケンザリは、2013年公開作『Wolf(原題)』に出演。オランダ映画祭でゴールデン・カーフ主演俳優賞に輝き、一躍注目を集めることになった。以降は活動の場を国内外にも広げ、ティムール・ベクマンベトフ監督版『ベン・ハー』(2016)、ニコラス・ホルト主演『アウトバーン』(2016)、トミー・ウィルコラ監督『セブン・シスターズ』(2017)、トム・クルーズ主演『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(2017)などに出演。
2019年には、ディズニーによる名作アニメーションの実写映画版『アラジン』で悪役ジャファー役として出演し、世界的に知名度を高めた。近作に、シャーリーズ・セロン主演『オールド・ガード』(2020)など。今後は、テッサ・トンプソンとの共演作『Balestra(原題)』が控えている。
ヒルデガルデ・シュミット(オリヴィア・コールマン)
ドラゴミロフ公爵夫人のメイド。ミシェルとは別の車掌がいたと証言する。

2000年に女優としてデビューしたオリヴィア・コールマンは、「ピープ・ショー ボクたち妄想族」(2003-2015)や「おーい、ミッチェル! はーい、ウェッブ!!」(2006-2008)「セレブになりたくて ~サイモンの青春日記~」(2008-2009)など数々のコメディドラマに出演。『ホット・ファズ ―俺たちスーパーポリスメン!―』(2007)や『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011)などに出演するも、主にテレビを主戦場として活躍していた。
2010年代中盤、「ブロードチャーチ〜殺意の町〜」(2013-2017)や『ロブスター』(2015)の演技が高い評価を受ける。「ナイト・マネジャー」(2016)でゴールデングローブ賞に輝き、『女王陛下のお気に入り』(2018)ではヴェネツィア国際映画祭女優賞、アカデミー賞主演女優賞などを受賞した。近作に「レ・ミゼラブル」(2018-2019)「ザ・クラウン」(2019-2020)。今後はアンソニー・ホプキンス共演『The Father(原題)』、『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)製作陣のアニメ映画『コネクテッド(原題:Connected)』の公開を控えるほか、コリン・ファース共演『マザリング・サンデー(原題:Mothering Sunday)』などがある。
エレナ・アンドレニ伯爵夫人(ルーシー・ボイントン)
うら若き女性であり、ルドルフ伯爵の妻。体調を崩しており、薬を常用している。

米ニューヨーク出身。幼少期に家族とともにイギリス・ロンドンに移住し、2006年に『ミス・ポター』で映画デビューを果たす。翌2007年にはテレビ映画『バレエ・シューズ』でエマ・ワトソンと共演し、主にテレビドラマで活動。その後、『シング・ストリート 未来へのうた』(2015)のヒロイン役で注目された。
その後、『呪われし家に咲く一輪の花』(2016)『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』(2017)『アポストル 復讐の掟』(2018)などに出演。『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)のメアリー・オースティン役でブレイクし、Netflixドラマ「ザ・ポリティシャン」(2019-)での好演も評価された。次回作として、歌手・女優のマリアンヌ・フェイスフルを演じる伝記映画『Faithful(原題)』が控える。
ビニアミノ・マルケス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)
キューバ人。自動車のセールスマン。かつて服役していたが、脱獄したのちアメリカに渡ってビジネスを成功させる。原作のアントニオ・フォスカレリ(イタリア人)にあたる人物。

メキシコ出身、米ロサンゼルスで映画を学んだのち、故郷にて俳優業を開始。『ウルティマ、ぼくに大地の教えを』(2013)でアメリカ映画に本格進出し、ジェニファー・アニストン主演『Cake/ケーキ 〜悲しみが通り過ぎるまで〜』(2014)やドラマ「フロム・ダスク・ティル・ドーン ザ・シリーズ」(2014-2015)に出演。その後『マグニフィセント・セブン』(2016)で主要キャストのひとり、バスケス役に抜擢される。
本作を経て、ルルフォは「弁護士ビリー・マクブライド」シーズン3(2018)や『ボーダーライン/ソルジャーズ・デイ』(2018)『ロスト・マネー 偽りの報酬』(2018)、ライアン・レイノルズ主演『6アンダーグラウンド』(2019)、トム・ハンクス主演『グレイハウンド』(2020)などに出演。今後の活躍が注目される気鋭俳優としてキャリアを築いている。
ルドルフ・アンドレニ伯爵(セルゲイ・ポルーニン)
ハンガリーの貴族であり、優れたダンサーでもある。妻エレナとともに乗車している。

ウクライナ出身のバレエダンサー。幼少期からバレエを学び、13歳で英国ロイヤル・バレエ学校に入学。いくつもの賞に輝き、2010年には史上最年少の20歳で英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル(トップダンサー)となる。しかし、そのわずか2年後に退団し、その後はフリーランスのバレエ・ダンサーとして世界各国で活躍する。2016年には自身のドキュメンタリー映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』が製作された。
『オリエント急行殺人事件』ののち、ポルーニンは『レッド・スパロー』(2018)や『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』(2018)『くるみ割り人形と秘密の王国』(2018)に出演。今後の作品には、2020年カンヌ国際映画祭に選出された初主演映画『Passion Simple(原題)』がある。なお、2021年にはバレエ・ダンサーとして初めての日本単独公演を控える。
ブーク(トム・ベイトマン)
オリエント急行を運営する鉄道会社の重役。ラチェットが殺害されたことから、ポアロに捜査を依頼する。
学生時代から演劇を学び、2011年から映画・演劇などで活動。ドラマ「トンネル ~国境に落ちた血~」(2013)や「ダ・ヴィンチと禁断の謎」(2013-2014)などに出演。2017年に本作のほか、『クレイジー・バカンス ツイてない女たちの南国旅行』でハリウッド映画に進出した。リーアム・ニーソン主演『スノー・ロワイヤル』(2019)ではバイキング役を演じた。今後の作品に、Netflixドラマ「Behind Her Eyes(原題)」がある。
なお、2015年には舞台「冬物語」でケネス・ブラナー&ジュディ・デンチと共演。のちに「ケネス・ブラナー・シアター・カンパニー」のメンバーとなり、本作への起用からもうかがえるように、ブラナーからの信頼も厚い才能だ。
『オリエント急行殺人事件』出演者/吹替声優
キャラクター名 | キャスト | 日本語吹替声優 |
エルキュール・ポアロ | ケネス・ブラナー | 草刈正雄 |
エドワード・ラチェット | ジョニー・デップ | 平田広明 |
キャロライン・ハバード夫人 | ミシェル・ファイファー | 駒塚由衣 |
ドラゴミロフ公爵夫人 | ジュディ・デンチ | 山村紅葉 |
ピラール・エストラバドス | ペネロペ・クルス | 高橋理恵子 |
メアリ・デブナム | デイジー・リドリー | 永宝千晶 |
ゲアハルト・ハードマン | ウィレム・デフォー | 家中宏 |
ヘクター・マックイーン | ジョシュ・ギャッド | 石上裕一 |
エドワード・ヘンリー・マスターマン | デレク・ジャコビ | 小田桐一 |
ドクター・アーバスノット | レスリー・オドム・Jr. | 綱島郷太郎 |
ピエール・ミシェル | マーワン・ケンザリ | 玉木雅士 |
ヒルデガルデ・シュミット | オリヴィア・コールマン | 米丸歩 |
エレナ・アンドレニ伯爵夫人 | ルーシー・ボイントン | 清水理沙 |
ビニアミノ・マルケス | マヌエル・ガルシア=ルルフォ | 中村章吾 |
ルドルフ・アンドレニ伯爵 | セルゲイ・ポルーニン | 岩川拓吾 |
ブーク | トム・ベイトマン | 中村悠一 |
Text: MINAMI, 稲垣貴俊