Menu
(0)

Search

「数本の大作映画に観客が集中、もっと分散されるべき」とウィレム・デフォー、『スパイダーマン』『オデュッセイア』大ヒットも変わらぬ危機感

ウィレム・デフォー
Photo by Sasha Kargaltsev https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Willem_Dafoe_by_Sasha_Kargaltsev.jpg | Remixed by THE RIVER

2026年、北米の映画業界は、サマーシーズンの興行収入が累計47億6,000万ドルという歴史的な数字を叩き出した。2013年を上回り、夏興行の歴代記録を13年ぶりに更新したのだ。

もっとも、この状況にも問題意識を抱いている映画人はいる。名優ウィレム・デフォーは、チューリッヒ映画祭にて、記録的な夏興行にも「ひとつだけ問題がある」と語ったのだ。

「観客が主に3~4本の大作映画に集中していることです。小規模な映画がいくつかヒットして、うまくいってはいますが、もう少し全体に分散されるべきだと思います。」

自身もスタジオの大作映画とインディペンデント映画をフットワーク軽く行き来することで知られるデフォー。事実、2026年の夏興行は『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』と『オデュッセイア』、『トイ・ストーリー5』の3本だけで約19.9億ドル、すなわち全体の42%を稼ぎ出している。

もっとも今年に関していえば、『オブセッション 災愛』と『バックルームズ』という小規模のホラー作品が非常に優れた結果を見せたことでも知られる。『プラダを着た悪魔2』や『Michael/マイケル』といった、従来のアクション大作とは異なる作品も好調だった。フランチャイズ作品が上位を占めた2025年、『F1/エフワン』や『WEAPONS/ウェポンズ』が例外として目立ったこととはやや対照的だ。

コロナ禍を受け、大人向け映画や中~小規模作品が配信リリースに送られがちだった時代を経て、少しずつ映画興行は2010年代の空気を取り戻しつつあるように見える。しかし、コメディやラブストーリー、人間ドラマ中心の映画があまり注目されない傾向は今も続いている。デフォーの「全体に分散されるべき」というコメントは、そうした状況にも向けられていると考えることができそうだ。

デフォーの最新作『テンジン』は、テンジン・ノルゲイとエドモンド・ヒラリーによるエベレスト初登頂を描いた登山映画で、トム・ヒドルストンらが出演。アメリカでは10月9日から劇場で限定公開されたのち、10月16日よりApple TVで世界配信されるが、デフォーは本作をぜひ映画館で鑑賞してほしいと訴えた。

Source: Variety

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly