『デッドプール3』撮影中断、俳優組合ストライキのため ─ 『ヴェノム3』も

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画『デッドプール3(仮題)』の撮影が、2023年7月14日(現地時間)より始まった全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキによって中断されたことがわかった。米The Hollywood Reporterなどが報じている。
本作はデッドプール役のライアン・レイノルズと、『X-MEN』シリーズでウルヴァリン役を演じてきたヒュー・ジャックマンの共演も早くから話題を呼んでいた、ファン待望のMCU合流作。2022年5月、全米脚本家組合(WGA)によるストライキのさなかに撮影を開始し、現在までなんとか製作を継続していたが、出演者たちの所属するSAG-AFTRAがストライキに突入したとあって、とうとう撮影中断を回避することはできなかった。
SAG-AFTRAのストライキによって撮影が中断された作品としては、『デッドプール3』は業界最大級のプロジェクトとみられている。中断直前の7月11日には、デッドプール&ウルヴァリンの本編写真が公開されたばかりだった。
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2023年6月、マーベル・スタジオはWGAのストライキを受け、『デッドプール3』の米国公開日を2024年5月3日に繰り上げると告知した。しかし今回の撮影中断により、残り10ヶ月で映画を完成させることは困難と推測される。続く『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド(原題)』の撮影は6月末に終了しているため、こちらの公開が先になる可能性も高いだろう。
『デッドプール3』『キャプテン・アメリカ』については、すでに撮影された映像に関して、編集・VFXなどのポストプロダクション(撮影後作業)を実施できる。ただし、MCU作品の製作プロセスにあらかじめ組み込まれている再撮影・追加撮影は、両組合のストライキが終結するまで行えない状況だ。2024年配信予定のテレビシリーズ「アイアンハート(原題)」「アガサ:カヴン・オブ・カオス(原題)」もすでに撮影を終えているが、再撮影しだいでスケジュールに影響が出ることになる。
なお、2023年11月10日公開の『マーベルズ』も現時点でまだ完成していないとみられ、もし再撮影をまだ残していた場合、こちらにも影響が出ることが考えられる。このまま映画を完成させられるとしても、SAG-AFTRAのストライキが終結するまで、出演者はプロモーションに参加できない。
マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長と幹部のルイス・デスポジート氏は、現在仕事を継続しているスタッフに対し、7月14日に労いのメッセージを送った。
「慎重に計画したプランが変更を余儀なくされることは残念ですが、絶え間ない変更はこの業界の本質です。そして我々のチームは、予想外のチャレンジに立ち向かうことを全く経験していないわけではありません。この状況でベストを尽くす皆さんの努力に深く感謝するとともに、すぐに新たな合意が結ばれ、現在進行中の素晴らしい作品を再開できることを願っています。」
MCU作品としては、『キャプテン・アメリカ』以降の作品である『サンダーボルツ(原題)』『ブレイド(原題)』は、WGAのストライキが開始された時点で撮影延期が決まっていた。『ファンタスティック・フォー(原題)』は企画段階だが、SAG-AFTRAのストライキのため、キャスティング作業も一時停止することになる。
そのほかマーベル映画としては、ソニー・ピクチャーズ製作『ヴェノム3(仮題)』も同じく撮影が中断されたことが判明している。
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Source: The Hollywood Reporter, Deadline, Variety