Sawady 2021.8.12 7:45 Topic | Tv/Movie

【ネタバレ】『ワイルド・スピード／ジェットブレイク』ポール・ウォーカーに捧げたワンシーン、「心に決めていた」とヴィン・ディーゼル

この記事には、『ワイルド・スピード／ジェットブレイク』のネタバレが含まれています。

本作では、トレット兄弟の確執に焦点が当てられたものの、ローマンが劇中で「お前の問題は俺らの問題でもある」とドムに伝えていたように、ファミリーの固い絆をいっそう感じられるようなストーリーが展開されていった。『ワイスピ』は、ポール・ウォーカーという大切なファミリーを失ったが、彼が演じたブライアンはストーリーのなかで生き続けている。本作でもブライアンの名前が何度も言及され、観客は姿こそ見えずとも彼の存在を強く感じることができたはずだ。

ブライアンの姿が最後に見られたのは、ポールの遺作となった第7作『ワイルド・スピード SKY MISSION』（2013）。第8作『ワイルド・スピード ICE BREAK』（2017）では登場しなかったが、本作ではブライアンとファミリーの再会を描くような場面が訪れた。終盤に登場する『ワイスピ』恒例のBBQシーンである。

ドムやレティ、ミア、ローマン、テズ、ラムジーらおなじみのファミリーに加えて、久々の再会を果たしたハンや『TOKYO DRIFT』組のショーン、トゥインキー、アール、重要な鍵を握ったエル、そしてドムの旧友サントスと、今回のBBQにはシリーズ史上最もバラエティに富んでいると言っても過言ではない顔ぶれが揃った。お決まりの食前のお祈りをドムの息子リトル・ブライアンがしようとすると、ドムは「ちょっと待って。まだ一席空いてるぞ」と声をかけ、これにミアが「今こっちに向かってるよ」と返事をした。

すると遠くからエンジン音が鳴り響き、ファミリーが耳を傾けると、馴染みのある車がドムの家にやってきた。ブライアンが乗っていたスカイラインGT-Rだ。本編では、このスカイラインがドムの家に停車したところで幕を閉じ、ドライバーの正体は明かされていないものの、ドムたちが戦っていた間、子どもたちを守っていたブライアンであることは言わずもがなである。

ドム役を演じたヴィン・ディーゼルは、『ジェットブレイク』が本国アメリカで公開される前から、BBQシーンでの演出がポールに捧げられたオマージュであることを示唆していた。「『ジェットブレイク』の最後では、大切な何かを目撃することになるでしょう」。同シーンへの思い入れを語るヴィンは「心に決めていた特別なもので、これまで僕たちがやってきたことで最高なものかもしれません」とまで話していた。

第7作『SKY MISSION』は、ポールの2人の弟コディとケイレブが代役を務めたことで実現し、ラストシーンではドムとブライアンによるラストドライブが描かれた。ポールに捧げられたこのドライブシーンは、映画史に残るほどの演出として当時は大きく話題を呼んだが、『ジェットブレイク』でのBBQシーンは、同シーンを超えるほどの感覚をヴィンに与えたということだ。

「ブライアンのスカイラインが停まるのを映画館で観た時、私は声をあげて泣きました」。こう語るのは、ミア役の演じたジョーダナ・ブリュースター。米The Hollywood Reporterの取材にて、「ブライアンに敬意を払う時はいつでも、それはすごく特別なものです」とポールへの思いを語っていた。ポールとずっと一緒に歩んできた共演者にとっては、ファンとはまた違う特別な感情がこみ上げてくるのは想像に難くない。

『ワイスピ』は続く第10作と第11作で完結することが判明しているが、今後ブライアンが姿を見せることはあるだろうか。本作を手がけ、完結2部作でも続投するジャスティン・リン監督は、『SKY MISSION』で用いられたCG加工によるブライアン復活について「毎日考えていること」と語り、再登場の可能性について言及していた。もっとも、『ICE BREAK』では「姿を出さない」ことがポールへの一番の敬意の払い方だとしてCG復活案が却下されたという先例もあるため、実現までには慎重さが求められる。