クリストファー・ノーラン、ストライキ終了まで次回作に着手しない ─ 脚本家・俳優への支持を表明

最新作『オッペンハイマー(原題)』の米国公開を控える映画監督クリストファー・ノーランが、2023年7月14日(現地時間)に始まった全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキ、および5月から続く全米脚本家組合(WGA)のストライキが終結するまで、次回作の執筆に着手しない意向を明かした。
ノーランといえば、現代のハリウッドで最も大きな注目と信頼を受け、野心的な作品に取り組み続けている映画監督のひとり。作家性の高さとこだわりの強さに対し、2~3年に1作のペースで新作を発表しつづける多作ぶりも大きな特徴だ。しかし、『オッペンハイマー』の次回作となるプロジェクトにはもう少し時間がかかるかもしれない。
英BBCの取材にて、「ストライキの期間に新作の脚本を執筆されますか?」と尋ねられたノーランは、「ノー。絶対にありません」と回答。取材の中で、「ハリウッドとそこで働く人々の関係にとって、今は極めて重要な時期。そのことを誰もが理解することが大切です」と語った。
「これは私に関する話でも、私の映画に出ている俳優に関する話でもなく、俳優たちの雇用についての話、そして家族を養い続けようとするテレビ番組の脚本家たちについての話です。彼らは組合員としてふさわしい賃金を支払われていませんが、それは支払われるべきもの。ストライキをしたい人なんて誰もいないと思いますが、今はその必要がある時なのです。」
フランス・パリで行われた『オッペンハイマー』のワールド・プレミアにて、ノーランは壇上に並んだ出演者たちを「素晴らしい共同製作者」と絶賛。観客席に向けて「私がそうだったように、皆さんは彼らの演技に感銘を受けることでしょう」と語った。また、SAG-AFTRAのストライキ直前に開かれたロンドン・プレミアには、キリアン・マーフィーやマット・デイモンら出演者がレッドカーペットのみに登場。その後のステージにはノーランひとりが登壇し、脚本家・俳優のストライキに対する支持を表明したという。
ちなみに、ノーランが『オッペンハイマー』の企画に着手したのは『TENET テネット』以降とみられるが、2021年9月の段階で、少なくとも脚本の初稿が完成していたことが明らかになっている。『TENET テネット』が公開された2020年9月から、約1年ほどでこれほどの題材の脚本を書き上げているあたり、相当の筆の速さを感じさせるエピソードだ。もっとも、再びノーランの筆が動き出すのはしばらく先になるだろう。
WGAとSAG-AFTRAのストライキを受け、ハリウッドでは現在ほとんどの企画が停止状態となっている。向こう数年間にわたり、この影響は続くことになりそうだ。
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Source: BBC, Variety(1, 2), Deadline, The Hollywood Reporter