THE RIVER編集部『WAVES／ウェイブス』31の名曲を繋ぐ劇伴音楽、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーらが担当 ─ 「キャリアは浅いけど、監督は本物」
『ムーンライト』（2016）『ヘレディタリー／継承』（2018）などの映画スタジオ「A24」最新作『WAVES／ウェイブス』が2020年4月10日（金）に公開される。フランク・オーシャン＆ケンドリック・ラマーらによる31の名曲が全編を彩る〈プレイリスト・ムービー〉として話題の本作で、オリジナルスコア（劇伴音楽）を手がけたのが、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーと音楽プロデューサーのアッティカス・ロスだ。
『イット・カムズ・アット・ナイト』（2017）の新鋭トレイ・エドワード・シュルツ監督は、傷ついた若者たちの物語を描くにあたって、あらかじめ劇中に使用する楽曲のプレイリストを作成。そこから脚本の執筆に入っているというだけあって、楽曲すべてが登場人物の個性や感情に寄り添い、時にはセリフの代わりに人物の心の声を伝えるのだ。これこそ、本作が〈プレイリスト・ムービー〉と呼ばれるゆえんである。
そんな『WAVES／ウェイブス』のオリジナルスコアを担当したトレント・レズナー＆アッティカス・ロスは、『ソーシャル・ネットワーク』（2010）でアカデミー賞作曲賞を受賞。その後も『ドラゴン・タトゥーの女』（2011）や『ゴーン・ガール』（2013）、ドラマ版「ウォッチメン」（2019）、などに参加しており、ピクサー最新作『Soul（原題）』でも音楽を手がけている。
まさに映画界で引っ張りだこの2人は、本作に登場する31の楽曲に対し、メロディーラインを強調しないソリッドなオリジナルスコアをもって、感情の細やかな動きを巧みに浮かび上がらせた。劇中の効果音やセリフをサンプリングするなどの独創的な方法にも取り組んでいるほか、劇中曲と劇伴音楽を流れるように繋いだ見事なアレンジも彼らの手腕によるものだ。
いまだキャリアの浅いシュルツ監督のオファーを引き受けたのは、前作を観て一緒に仕事をしてみたいと思ったことが理由なのだそう。トレントは「面白いことをしてるな、一緒に仕事をしてみたいなと思う人たちのリストを作っていて、そこにトレイの名前も入っていたんです」と明かしている。
「アッティカスも僕も『イット・カムズ・アット・ナイト』が大好きで、何か特別なものがあると思いました。デビュー作の『Krisha（原題）』には衝撃を受けたし、『WAVES／ウェイブス』の脚本は今までに読んだどんな脚本とも違いましたね。読んですぐ、これは紛れもなく、適当な仕事でも気楽な仕事でもなく、誰かが心血を注いで作ったもので、とてつもない時間を費やして、面白いビジョンと全体像が生み出された映画だと分かったんです。まだキャリアは浅いけど、トレイは本物。最高のプロジェクトでしたよ！」
『WAVES／ウェイブス』
高校生タイラーは、成績優秀なレスリング部のエリート選手で、美しい恋人のアレクシスもいる。厳格な父親ロナルドとの間には距離を感じながらも、恵まれた家庭に育ち、何不自由なく生活を送っていた。しかしある日、タイラーに肩の負傷が発覚し、選手生命の危機を告げられる。恋人の妊娠も判明し、人生の歯車が少しずつ狂い始めて、タイラーは自分を見失うのだった。そしてある夜、タイラーと家族の運命を変える、決定的な悲劇が起こる。それから1年後、心を閉ざした妹エミリーの前に、すべての事情を知りつつ好意を寄せるルークが現れた。ルークの不器用な優しさに触れ、エミリーは恋に落ちるが、ルークもまた心の傷を抱えていた。互いの未来のため、2人はとある行動に出る……。
タイラー役は『イット・カムズ・アット・ナイト』に続いて監督とタッグを組むケルヴィン・ハリソン・Jr.。妹エミリー役には、Netflixドラマ「ロスト・イン・スペース」のテイラー・ラッセル。エミリーに思いを寄せるルーク役に、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』（2016）で映画賞に輝いた若き俊英ルーカス・ヘッジズ。さらに大ヒットドラマ「THIS IS US」のスターリング・Ｋ・ブラウン、レネー・エリス・ゴールズベリーらが脇を固める。
映画『WAVES／ウェイブス』は2020年4月10日（金）TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。
