アカデミー賞作品賞の発表方法、アル・パチーノが「私の決断ではない」声明を発表 ─ 演出側も認める
第96回アカデミー賞授賞式では大トリを飾る作品賞の発表時、プレゼンターのアル・パチーノがノミネート作品10作のタイトルを読み上げずにそのまま『オッペンハイマー』の受賞を発表した。これについて、パチーノ側が声明を発表。プロデューサー側の決断であったことを明かした。
作品賞発表のため、ステージに上がったパチーノは「今晩最後の賞の時間です。それを発表できるのは光栄です。10作の素晴らしい映画がノミネートされましたが、作品賞を受け取るのは1作だけ。なのでそのためには封筒を開けなければいけませんね。そうしますよ」と手短かにスピーチ。ここで改めて、プレゼンターがノミネート作品を読みあげるのが一般的だが、パチーノは「いきますよ。私の目に映っているのは『オッペンハイマー』です」と唐突に受賞作品を明かした。
イレギュラーな形での発表に、会場からは瞬時の盛り上がりは見られず、心なしか背景の音楽も流れ始めるのが遅かった印象。パチーノが、『オッペンハイマー』のプロデューサー陣の名前を読み上げ始めたところで、ようやくオーディエンスも一斉に立ち始めた。
このアナウンス方法についてパチーノ側が声明を発表し、米Varietyによると以下のようにコメントしたという。
「私が昨夜、ノミネート作品を読み上げなかったことに賛否があるみたいですね。はっきりさせておきたいのですが、読み上げなかったことは私の決断ではなく、プロデューサーの方々が、式全体を通して各作品が取り上げられているのでそれを繰り返し言う必要はないと決めたことなんです。あの晩に参加できて光栄に思います。」
一方、パチーノは俳優の立場から、ノミネート作品の関係者に寄り添う姿勢も見せ、「ノミネートされるということは、その人にとって重大な出来事です。完全に認識されないというのは、失礼かつ痛ましいことです」とも述べた。「私はフィルムメイカーや俳優、プロデューサーたちと深い関わりを持つ者として、こう言うべきだと思います。このような見落としで軽視されてしまった方々に深く共感します。だからこそ、今回の声明を発表すべきだと感じました」。
第96回授賞式の演出を担当したプロデューサーのモリー・マクネアニも、ノミネート作品の読み上げを省いたことについて、「我々によるクリエイティブ上の決定です」と認めている。決断の背景については、「式が長引いてしまうのではないかとすごく心配していた」とのこと。「式の終わりにたどり着く頃には、作品賞10作の映像はもう流れていました。会場も、誰が受賞したのかを聞きたいんだ、もう式を終える準備はみんなにも出来ていると判断しました。少なくとも、そう予想していたんです」と意図を伝えた。
なお、マクネアニはパチーノへの謝意も示し、「もし私たちの決断で彼に辛い思いをさせてしまったら、申し訳ないです」ともコメントしている。
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Source:Variety