『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』ファンの要望を全部盛りにしたが失敗、「大嫌いだった」と軌道修正

トム・ホランド主演のマーベル映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』が公開中だ。米レビューサイトのRotten Tomatoes上でも、観客評価はマーベル・シネマティック・ユニバース作品として史上最高の98%という評判ぶり。しかし完成までの過程では、試写に参加した観客の意見をことごとく反映した結果、製作陣が「大嫌い」になるほど上手くいかなかった編集版も存在していたという。
ホランドはQuotableのインタビューで、本作の編集作業について説明。試写に参加した不特定多数の観客から寄せられた意見を集め、それらをすべて反映したバージョンを一度作ったと明かした。
ところが、実際にそのバージョンを見た製作陣の反応は散々だった。「観たんですけど、大嫌いでした」とホランド。「全然上手くいかなかった。確かに人々が求めていたものではあったけれど、僕たち作り手が望んでいたものとは少し違っていたんです」と振り返っている。
映画のテスト試写では、公開前の作品を観客に見せ、物語やキャラクター、テンポ、結末などに対する反応を集める。そこで判明した問題点をもとに、再編集や再撮影が行われることも珍しくない。
もっとも、観客から寄せられた要望をそのまま全部盛り込めば、作品が良くなるとは限らない。むしろ複数の意見に応えようとするうちに、映画がもともと持っていた方向性や、作り手が伝えたかったものを見失う危険もある。
今回のエピソードは、『スター・ウォーズ』生みの親ジョージ・ルーカスが、フォーカスグループ主導の映画作りに苦言を呈していたことを思い起こさせる。ルーカスは、特定の要素について観客に嫌われたという反応を知ること自体には意味があるとしながらも、スタジオはしばしばその反応を間違った形で受け取ると指摘。「実質的に観客に映画を作らせてしまう」と批判していた。
観客の反応から「どこに問題があるのか」を探ることと、観客が求めた変更をそのまま実行することは別物というわけだ。ルーカスは「観客は、自分が何を観たいのか分かっていない」とも語り、映画は物語と情熱を持つ作り手に委ねられるべきだと訴えていた。
『ブランド・ニュー・デイ』で作られたという不評バージョンは、まさしくルーカスが警戒していた状況を実証するものだったのかもしれない。観客の不満を手がかりにするのではなく、観客の注文通りに映画を作ったところ、作り手自身が作品を好きになれなくなってしまったのだ。
製作過程にも深く携わったホランドは今回の試行錯誤を通じ、「編集室では、映画は何千通りにも変化しうる」と実感したという。失敗したバージョンからも大きな教訓を得たと振り返っており、最終的には観客の反応を参考にしながら、製作陣が本当に作りたかった映画へと立ち戻ったようだ。
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は公開中。
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Source:Quotable



























