アリ・アスター、『ヘレディタリー/継承』前日譚の脚本を執筆済み ─ 「どうなるかわからない」

映画『ヘレディタリー/継承』(2018)の前日譚が、アリ・アスター監督の手元に存在しているようだ。ただし、実現に向けて動き出しているわけではない。
『ヘレディタリー/継承』は、アスターにとって長編映画監督デビュー作となったホラー映画。祖母の死をきっかけに、グラハム家に受け継がれていた忌まわしい秘密が姿を現していく物語で、公開後は“現代ホラーの傑作”として世界的な評価を確立した。トニ・コレット、アレックス・ウルフ、ミリー・シャピロらの鬼気迫る演技も大きな話題を呼んだ。
アスターはかねてより、本作の続編構想について含みを持たせていた。2025年、最新作『エディントンへようこそ』の来日にあわせて実施したTHE RIVERの単独インタビューでは、「過去作の続編製作を考えたことはありますか」との質問に「ありますよ。でも、今はノープランです」と筆者に回答。どの作品かと尋ねると、「『ヘレディタリー/継承』です」と明かしていた。
さらに、ドラマシリーズになるのか、映画になるのかを確認すると、「ドラマではないかな。映画がいい」とも語っていた。具体的な進捗については、「僕は迷信深いので、具体的ではないことは話しません」と煙に巻いていたが、どうやらその構想は、単なる思いつきではなかったらしい。
米Gold Derbyによると、アスターは米American Cinemathequeの特集上映イベントに登壇。『ヘレディタリー/継承』上映後のQ&Aで、「これの前日譚を書きました」と発言したという。
もっとも、アスターはすぐに実現させるつもりではないようだ。「今がその時だとは思えないんです」と述べたうえで、「これは前日譚であって、続編ではありません。だから、これがどうなるのかはわかりません」と語っている。
つまり、以前THE RIVERに明かしていた『ヘレディタリー/継承』関連作の構想は、少なくとも脚本という形で存在していることになる。ただし、それは本編後の物語を描く“続編”ではなく、本編以前の出来事を描く“前日譚”だったというわけだ。
『ヘレディタリー/継承』本編では、グラハム家の祖母エレン、悪魔パイモンをめぐる信奉者たち、そして家族に仕掛けられていた運命が、物語の背後に不気味な広がりを与えていた。前日譚となれば、そうした恐怖の根源に踏み込む可能性も考えられるが、現時点で内容の詳細は不明。アスター本人も、あくまで慎重な姿勢を崩していない。
アスターは『ヘレディタリー/継承』以降、『ミッドサマー』(2019)、『ボーはおそれている』(2023)、『エディントンへようこそ』(2025)と、作品ごとにまったく異なる悪夢を描いてきた。いまだ続編作品を手がけたことはないが、その出発点となった『ヘレディタリー/継承』の世界には、まだ語られていない物語が眠っているようだ。
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