『ナイブズ・アウト』監督が作ったカメラアプリ、誰でも映画のような写真が撮れると話題に

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)などのライアン・ジョンソン監督らが開発したiPhone向けカメラアプリ「Chromagraph Camera」が、世界的なヒットを記録している。
映画製作で使用する画像処理技術をスマートフォンに応用したもので、日本と米国のApp Store「写真/ビデオ」部門の有料アプリランキングで1位を獲得。米国では有料アプリ全体でも首位に立った。
2026年10月28日、ジョンソン監督が自身のXでアプリの登場を告知したところ、大きな反響が巻き起こった。米MacRumorsによれば、投稿はわずか1日で600万回の表示を記録。11月2日時点では、日本のApp Storeで5点満点中4.2点(評価9件)、米国では4.5点(評価136件)を獲得している。
「Chromagraph Camera」をジョンソン監督と共同開発したのは、長年の盟友である撮影監督スティーブ・イェドリンと、画像処理技術を専門とするプログラマーのエリック・キャメロン。イェドリンはジョンソン監督の長編デビュー作『BRICK ブリック』(2005)から『LOOPER/ルーパー』(2012)、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、『ナイブズ・アウト』シリーズまで、監督の全長編作品で撮影を担当してきた人物だ。
開発のきっかけは、ジョンソン監督自身が理想のカメラアプリを欲しがったことだった。普段からiPhoneで大量の写真を撮影するという監督は、イェドリンとキャメロンに自分のためのアプリを作ってほしいと頼み込んだという。当初は個人的な使用を目的としていたが、完成したアプリを一般向けにも販売することになった。
I honestly just asked Steve (and our genius color science coder friend Eric Cameron) to make it because I take a ton of pics with my phone and wanted to have it for myself, and they figured hey, let’s put it out there. Hope you enjoy! https://t.co/PrfNhkgaB7
— Rian Johnson (@rianjohnson) October 28, 2026
ジョンソン監督はXで、アプリについて次のように説明している。
「最近、撮影監督のスティーブ・イェドリンに頼み込んで、僕にとって理想的なiPhoneの写真撮影アプリを作ってもらいました。RAWで撮影し、iPhone標準の画像処理を経由せず、僕たちが映画で使用しているものと同じ画像処理を使っています。」
最大の特徴は、一般的な写真加工アプリのように、すでに処理された写真にフィルターを重ねるのではないことだ。iPhoneのカメラセンサーが捉えたRAWデータをもとに、独自の画像処理によって写真を生成する。色彩や明暗の階調、フィルムのような粒状感、明るい部分の周囲に光がにじむ「ハレーション」などを、映画的な質感として表現できる。
これらの技術は、イェドリンが映画製作のために開発してきたものだ。米WIREDのインタビューで、イェドリンは映画で使用する画像処理のプログラムをすべて自ら手がけていると説明。今回のアプリには、その技術をiPhone向けに応用したものが採用されている。
撮影方法にも独特のこだわりがある。シャッターを切る前のファインダーには完成後の色彩や質感が反映されず、撮影後にアプリ内のギャラリーを開いて初めて仕上がりを確認できる。フィルムカメラで写真を撮影し、現像するような体験を意識した仕様だ。
撮影後には露出、色彩、粒状感、ハレーションなどを調整することが可能。元のRAWデータはアプリ内に保存され、画像をJPEGまたはHEIC形式で書き出したり、iPhoneの写真ライブラリに保存したりできる。
アプリの利用者からは、映画を思わせる独特の色合いや質感を評価する声が寄せられている。米国のApp Storeでは、写真の仕上がりを好評とする一方、シャープネス調整機能の追加を求めるレビューも見られる。日本でも映像表現を評価する声がある一方、編集画面の操作性などに改善を求める意見がある。現時点では評価件数自体がまだ少なく、今後のアップデートによる改善も期待される。
もっとも、イェドリンはこのアプリをプロ向けの万能な撮影ツールとして開発したわけではない。WIREDのインタビューでは、自分たちが好む色彩や質感で写真を撮影するためのアプリだと説明。独自の画像処理を用いても、iPhoneのハードウェア自体がプロ用カメラと同等になるわけではないと強調している。
なお、「Chromagraph Camera」は現在、静止画撮影にのみ対応しており、動画撮影機能は搭載されていない。ジョンソン監督は将来的な動画対応の可能性にも言及しているが、実現する場合は比較的新しいiPhone Proモデルに限られる可能性があるという。Android版についても、端末ごとのハードウェアの違いが大きく、少人数の開発チームでは対応が困難だとしている。
「Chromagraph Camera」は日本のApp Storeでも配信中。価格は2,000円の買い切り型で、iOS 17.0以降に対応する。
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Source:Rian Johnson(X), Steve Yedlin(X), WIRED, MacRumors, App Store(日本), App Store(米国)



























