『マスターズ・オブ・ユニバース』監督「こういう映画は駄作になりやすい、だから自分のやりたいことを貫いた」【インタビュー】
まるでオモチャ箱の世界で大冒険をするような、夢に溢れたファンタジー・アクション・アドベンチャー超大作『マスターズ・オブ・ユニバース』が公開中だ。監督を務めるのは、同じくオモチャIPに基づく『バンブルビー』(2018)や、日本愛にたっぷり溢れたストップモーションアニメ『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016)で知られるトラヴィス・ナイト。本作でも、独自の世界観を緻密に作り上げた。
THE RIVERでは、ナイト監督に『バンブルビー』来日以来7年ぶりに単独インタビュー。当時語った監督の制作哲学をさらに掘り下げながら、本作での美しいこだわりについて詳しく聞いた。
『マスターズ・オブ・ユニバース』トラヴィス・ナイト監督 単独インタビュー
──この映画の全てのキャラクターが大好きになりました。特にジャレッド・レトのスケルターが最高です。お笑いの要素もありましたね。なぜスケルター役にジャレッド・レトを起用したのですか?そして、なぜこの悪役にユーモアのセンスが必要だったのでしょうか?
僕にとって、ユーモアのセンスや遊び心、お笑いの要素はスケルターというキャラクターのDNAの核でした。彼は僕の子ども時代の、一番思い入れのあるヴィランで、80年代を最も象徴するヴィランです。彼には何か特別なものがあります。見た目はクールで、ヘンテコで、恐ろしくて威圧的。笑い方や声がすごく特徴的で、そしてすごく面白い。その多くは、彼の心の不安に根ざしています。
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このキャラクターをどう具現化するかについてジャレッドと話し始めた時、彼自身もこのキャラクターに思い入れがあるということで、嬉しい驚きでした。彼も子どもの頃、ヒーマンを観ていて、スケルターが大のお気に入りだったそうなんです。だから、スケルターの何がすごいのかを彼はわかっていた。そして、僕たちなりの新しい映画版を作りたがってくれた。それは、過去に敬意を払いながら、ただのモノマネや模倣にせず、キャラクターの鍵を尊重し、新しくて楽しい形で命を吹き込むということでした。
そして、彼はそれをやってのけた。信じられないようなセット選びをしてくれてね。本作のスケルターはすごく面白くて、エンタメ性が強くて、恐ろしい存在でありながら、観ていてすごく楽しいんです。すごく誇りに思います。
──実は監督が2019年に『バンブルビー』で来日された時も取材させてもらいました。その時あなたは、「同じことを繰り返さないこと」「常に自分をコンフォートゾーン(※居心地の良い場所、ぬるま湯)の外側に置くこと」がモットーだと語っていました。本作では、どのような新しいことに挑みましたか?
それはもう、初めてのことが 本当にたくさんありますね。その日のタスクを眺めて、どうすればいいんだ……と何度も思いました。本当に。僕は新しいことに挑戦するのが大好きなんです。いつも映画を作るたび、このキャラクターたちを自分が取り扱えるのはこれが唯一のチャンスだ、という気持ちで取り組まなければいけない。だからとにかく全身全霊を捧げます。
しかも『マスターズ・オブ・ユニバース』のような超現実的な題材の場合、巨大なアクション、大規模なセット、巨大な見せ場、そして壮大な世界観構築があるわけです。僕としては、コメディも必要でした。そして何よりも、映画には力強く鼓動する「心」が必要だったのです。こういった全く異なる要素を、不快でマズいものではなく、調和の取れたおいしい料理のように融合させる方法を見つけることでした。その配分を間違えたら、あっという間にダメになってしまう。
綱渡りのような作業でしたが、うまくまとまったことを誇りに思っています。それができたのは、全員が自分たちのやっていることを信じていたからだと思います。本作を観れば、それが伝わることと思います。
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──そしてあなたは、ジェリー・ブラッカイマーからもらった「映画を守れ」というアドバイスについても教えてくれましたね。映画製作中は、監督こそが映画の守護者になるべきなのだと。そして今回の『マスター・オブ・ユニバース』で、あなたが絶対に守りぬきたかったことは何ですか?
その通りです。ただ、僕はそのアドバイスをマイケル・ベイからもらいました。でも、元はジェリー・ブラッカイマーが彼に与えた助言です。だから、ジェリー・ブラッカイマーのアドバイスが周り回って僕に渡ってきた(笑)。
とにかく、本当にその通りです。その言葉をもらってから、とても当たり前のように聞こえますけど、ずっと心に留めてきました。そして、本作を作っている間も、何度も何度も「映画を守れ」と考えてきました。なぜなら、こういう映画は制作が難しいですしかなり時間もかかるし、一般的に「駄作」へと引きずり込もうとする引力が働いているからです。すぐに「凡庸」とか「普通」の方向に引っ張られるし、カドが取れた、無難なものになりがちなんです。でも、それこそが映画を美しく、面白いものにするわけです。
だから、制作のあらゆる段階で、その映画の特別なところを守らないといけない。「映画を守れ」とは、どんなフィルムメーカーにとっても素晴らしいアドバイスだと思いますし、僕もずっと固く守ってきたことです。この映画でも、時に自分を居心地の悪い立場に置いて、自分が尊敬する人や意見を聞くべき人に対して、あえて自分の立場を貫くこともありました。映画制作とは本質的に共同制作なのであり、だから僕は大好きなんです。
でも結局のところ、映画が本当に成功するためには、誰かのビジョンでなければいけない。僕は最初から、この映画がどうあるべきかをわかっていました。プロデューサーやスタジオにも、こうしたいということを伝えていて、同意してもらっていました。そして僕は、自分のビジョンを制作の全過程で貫き通しました。それから2年半が経った今、この映画が自分の作りたいようにできたことを、本当に誇りに思っています。
──ありがとうございました。最高の映画でした。日本の観客も絶対に気に入ると思います。
ありがとう!次回はぜひ、東京で会いましょう!

『マスターズ・オブ・ユニバース』は日本公開中。THE RIVER公式YouTubeチャンネルでは、アダム・グレン/ヒーマン役ニコラス・ガリツィン、ティーラ役カミラ・メンデス、監督のトラヴィス・ナイトに行った貴重な特別インタビュー動画を公開中だ。


























