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トム・クルーズ、映画館のためストライキ中の宣伝許可を求めていた ─ スト突入前、組合とスタジオの交渉で

映画『トップガン マーヴェリック』トム・クルーズ来日 ジャパンプレミア 撮影写真
©︎THE RIVER

2023年7月14日(米国時間)、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキがスタートした。現在、組合に所属する俳優たちは撮影やプロモーションなど多くの活動を制限されているが、これに先駆けること約1ヶ月、トム・クルーズがSAG-AFTRAの代表としてスタジオとの交渉に参加していたことがわかった。

The Hollywood Reporterによると、トムは6月中旬、SAG-AFTRAを代表する一員として、全米映画テレビ製作者協会(AMTPT)との交渉に参加。映画スタジオやストリーミングサービス側に対し、人工知能(AI)の利用について、俳優の許可や報酬に関するガイドラインを求めるSAG-AFTRA側の提言を重く受け止めるよう要請。また組合の提案にのっとり、スタントパーソンやスタントコーディネーターの地位を守ることにも支持を表明したという。

SAG-AFTRAはスタジオ側との議論を促すため、これまでにも俳優を交渉の場にしばしば参加させてきた。組合は俳優からの要望を受け、その意義を検討した上で参加を認めてきたため、トムの視点には大きな意味があると考えられたことになる。

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もっとも、トムはAMTPTだけでなく、SAG-AFTRAに対してもひとつの提案をしていたとされる。たとえストライキの期間中であっても、俳優のプロモーション活動を容認するよう求めたというのだ。これは、その時すでにプロモーションの大部分を終えていた『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のためではなく、コロナ禍を経た今もなお予断を許さない映画館業界を支えるためのもの。スター俳優の宣伝活動は興行に大きな影響を及ぼすもので、現在の映画館には必要不可欠だと考えられたのだろう。

トムの努力にもかかわらず、7月12日にSAG-AFTRAとAMTPTの契約は交渉決裂のまま満了を迎えた。なお、「ストライキ中でもプロモーションを認めてほしい」というトムの提言は、その場に参加していた人物によると「居心地の悪いもの」として受け止められていたという。

ハリウッドにおいて、SAG-AFTRAのストライキ突入は“起こる可能性の相当高いもの”として以前から認識されていた。事実、スタジオ各社もストライキを見越して撮影などを進めてきたというのだ。

トム自身も6月末には、自身のSNSアカウントで『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』『オッペンハイマー(原題)』『バービー』を宣伝し、「この夏は劇場で素晴らしい映画がたくさん見られます」と記していた。この時点で、すでにトムはSAG-AFTRAとAMTPTの交渉に参加した後だったのである。両者の議論に立ち会い、ストライキ突入に対する切実な危機感を抱いていたものとみられる。

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SAG-AFTRAのストライキ突入を受け、トムは『デッドレコニング PART ONE』のために来日することが叶わなくなった。『オッペンハイマー』や『バービー』をはじめ、今後も続々予定されているサマーシーズンの大作は、俳優による直前のプロモーションなしに劇場公開を迎えることになる。

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Source: The Hollywood Reporter, Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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