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クリストファー・ノーラン、『ダークナイト ライジング』トム・ハーディの演技は「いまだ正当に評価されていない」

ダークナイト ライジング ベイン
© Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary Pictures Funding, LLC

『ダークナイト』3部作を手がけた映画監督クリストファー・ノーランが、完結編『ダークナイト ライジング』(2012)でベインを演じたトム・ハーディに改めて賛辞を贈った。ノーランは、同作におけるハーディの演技に対する評価に不満を覚えているようだ。

『ダークナイト ライジング』でハーディが演じたベインは、顔の大半をマスクで覆い、“革命”によるゴッサムシティの転覆を目論む男。ポッドキャスト「Happy Sad Confused」にて、ノーランは「彼(ハーディ)のベイン役の演技は、いまだ正当な評価を受けていないと思っています」と述べた。ごく限られた眉の動きから、あらゆる感情を伝える演技を「マーロン・ブランド風」とも呼んでいるのだ。

「あれは非凡な、本当に素晴らしい演技でした。声もそうだし、目や額の動きだけを見せるところもそう。あのマスクのことや、(見えるかぎりの表情から)何を伝えられて、また何を伝えられないかということについてはしっかり話し合ったんです。彼が、こめかみと眉に指を当てながら、“この役で遊んでみてもいいですか。観客に委ねてみたい”と言ったのを覚えていますよ。」

ちなみにノーランは、ハーディが演じたベインのキャラクターがノーラン自身の影響を受けていることにも言及している。ノーラン・ファンの間では、『インセプション』(2010)のコブ(演:レオナルド・ディカプリオ)、『TENET テネット』(2020)のニール(演:ロバート・パティンソン)にノーランの人物像が表れているとしばしば語られているが、どうやらハーディはベインにノーランという人間を反映したようなのだ。

デヴィッド・リンチ監督作品『ブルーベルベット』(1986)で主人公ジェフリー・モーモントを演じたカイル・マクラクランを例に挙げながら、ノーランは「俳優たちには、脚本家や監督自身を役柄に取り入れて役づくりをするという遊び心がありますよね。どういうわけか、トム・ハーディは私を基にしてベインを演じたと言っていました」とコメント。一方で「トムは衝動とあらゆる影響を複雑に織り込んでくれた」と述べ、やはりベインの演技を絶賛した。

ちなみにノーランは、『TENET テネット』のニールについても「ロバート(・パティンソン)とは、役柄への影響についてたくさん話し合いました」と強調してもいる。「私からの影響のことはよくわからないけれど、(ベインとニールの)どちらも私自身ではありません」。

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Sources: Happy Sad Confused, NME, ScreenRant

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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