『オデュッセイア』で老舗映画館が復活、『ターミネーター2』ぶり新作上映として70mmフィルム上映全米トップ記録

クリストファー・ノーラン監督の『オデュッセイア』が、1つの映画館を“復活”させた。米ロサンゼルス近郊グレンデールで100年以上の歴史を持つ老舗アレックス・シアターが、35年ぶりに新作映画の上映を再開し、同作の通常70mmフィルム上映で全米最高の興行成績を記録したという。
米The Hollywood Reporterが報じている。アレックス・シアターは1925年開業の歴史的劇場。映画館として営業していた時代の最後の新作上映は『ターミネーター2』(1991)で、その後は主に音楽、演劇、ダンスなどのライブイベント会場として使用されてきた。
転機となったのが今回の『オデュッセイア』だ。劇場側はこの映画に賭けるようにして、公開に間に合わせるため、70mmフィルム映写機を備えた映写室を新設するなど大規模な設備改修を敢行。通常なら段階的に約1年を要する工程を、わずか5〜6週間ほどで進めた。
『オデュッセイア』が米国公開された7月17日から70mm上映を開始すると、南カリフォルニア各地から観客が集まり、通常70mm版を上映する米国内の映画館で最高の興収を記録した。
当初の上映期間から少なくとも2週間の延長も決まり、8月20日まで上映を継続。劇場では1日3回の上映が組まれた。アレックス・シアターの芸術監督マイルズ・ウィリアムズは、観客の反響について次のように語っている。
「ロサンゼルスの皆さん、そして南カリフォルニア各地の映画ファンの皆さんが、私たちの『オデュッセイア』70mm上映をこれほど特別な成功にしてくださったことに、心から感謝しています。観客の反応には圧倒されましたし、素晴らしい映画をみんなで一緒に観るという体験が、今もどれほど大切にされているのかを改めて実感させてくれました。」
これは単なる一時的な特別上映で終わるものではないようだ。アレックス・シアターは今後、ライブイベントと並行して月8〜10夜ほど映画上映を組み、35mmや70mmによる旧作・新作の上映を続ける方針。『オデュッセイア』をきっかけに、35年間途絶えていた“映画館としての役割”が本格的に戻ることになる。
こうした現象は、ノーランが長年推し進めてきたフィルム上映の復権とも重なる。『オデュッセイア』は劇映画として史上初めて全編をIMAXフィルムカメラで撮影。とりわけIMAX 70mmへの需要は極めて高い一方、上映可能な設備は世界的にも限られている。世界でIMAX 70mm上映が可能なのは41館のみで、古い映写機の修復や映写技師の育成まで必要になっている事情がある。
アレックス・シアターが導入したのはIMAX 70mmではなく通常の70mm上映設備だが、それでも『オデュッセイア』を見るために歴史ある劇場へ観客が足を運び、設備投資そのものを成功に導いた点は象徴的だ。配信では再現できない上映方式や劇場空間そのものが、映画を観る理由になっているのである。アレックス側も今回の成功を、歴史的な映画館が現代の観客に再び必要とされ得ることを示すものと捉えている。
本作は世界興収11億ドルを突破。『ダークナイト ライジング』(2012)を抜き、ノーラン監督史上最大の世界興収を記録する作品となった。IMAXだけでも世界興収2億8,930万ドルに達し、IMAX史上最高のヒット作となっている。
日本では2026年9月11日(金)全国公開。9月4日(金)から10日(木)まではIMAX先行上映も実施され、通常2D、Dolby Cinema、4DX、MX4D、35mmフィルムを含む全6種9バージョンで上映される。
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Source:The Hollywood Reporter























