ファンタビ2『黒い魔法使いの誕生』徹底解説 ─ あらすじ、小ネタ、用語、キャスト

“ハリー・ポッター魔法ワールド”の『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』は、『ハリー・ポッター』映画シリーズより前の時代を描く「ファンタビ」シリーズ第2作だ。
本記事では、シリーズ前作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)の振り返りから、本作のキャラクターや魔法動物、注目アイテムの設定など、『ファンタビ2』の要チェックポイントを全てお届けする。鑑賞のお供にぜひお役立ていただきたい。
『ファンタビ2』解説 目次
前作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』あらすじ復習
1926年、イギリス出身の魔法使いであるニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、保護した魔法生物サンダーバードを故郷へ帰すため、魔法動物を詰め込んだトランクを持ってアメリカ合衆国ニューヨーク港に到着する。しかし、目的途中で魔法動物ニフラーがトランクから逃亡。捕まえようとする間に、ノー・マジ(人間)ジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー)が持つトランクとニュートのトランクが入れ替わってしまう。

そんな中、とある事件によって闇祓いの座から降ろされたティナ・ゴールドスタイン(キャサリン・ウォーターストン)によって、魔法動物を連れ込んだ容疑で逮捕されることに。ニュートは、MACUSA(アメリカ合衆国魔法議会)に連れていかれるも、証拠のスーツケースではなく、ジェイコブのスーツケースを持っていたことから無事に釈放された。
一方のジェイコブは、ニュートのスーツケースから飛び出した魔法動物に襲われてしまう。ニュートとティナはジェイコブの家に急行するも、アパートが半壊し、複数の動物が逃げ出した後だった。ティナは、レジリメンス(人の心を読める力を持つ人物)の妹クイニー(アリソン・スドル)と暮らす自宅アパートに2人を連れて行くことにする。だが、ニュートとジェイコブは脱走した魔法動物を探すために、ティナの家を逃げ出すのだった。
2人は宝石店でニフラー、セントラルパークでエランペントを捕まえてスーツケースに戻すも、ティナによってMACUSAにスーツケースごと連行されてしまう。MACUSAでは、殺人など数々の事件を引き起こしている「謎の黒い影」がニュートの動物であると断罪。ニュートはオブスキュラス(闇の力の持ち主)の犯行だと訴えるも、魔法保安局長官パーシバル・グレイブス(コリン・ファレル)によって、ティナとニュートは死刑を宣告されてしまう。だが、クイニーとジェイコブが2人を救出したことで九死に一生を得て、4人は逃げた魔法動物の最後の一匹デミガイズを捕まえる。

その頃、グレイブスは新セーレム救世軍のメアリー・ルーの養子クリーデンス・ベアボーン(エズラ・ミラー)に接近。虐待を受けるクリーデンスを利用して、メアリーの元に集まる孤児の中からオブスキュラスを探すよう命じていた。そんな中、オブスキュラスがメアリーを殺害し、家も半壊する事件が発生。グレイブスはクリーデンスの妹モデスティがオブスキュラスだと断定してクリーデンスを用済みだと見捨てるも、次の瞬間クリーデンスが本物のオブスキュラスだったことが発覚する。
怒りに駆られたクリーデンスは力を暴走させ、街を破壊。ニュートはニューヨーク市地下鉄のトンネルに隠れていたクリーデンスを見つけ救おうとするが、クリーデンスを手に入れたいグレイブスと戦闘になる。その後ティナの説得によって落ち着きを見せたクリーデンスだったが、MACUSAのピッカリー議長と闇祓いたちによって、一斉攻撃されてしまうのだった。これに憤慨したグレイブスは、魔法使いの存在をノー・マジから隠す法律を批判し、MACUSAの魔法使いを次々と倒していく。だが、魔法動物を使ったニュートによって拘束され、「レベリオ(現われよ)」の呪文をかけられる。すると、グレイブスの正体が闇の魔法使いグリンデルバルドだったことが明らかになった。グリンデルバルドはMACUSAに連行される。
そんな中、攻撃によって死亡したかと思われたクリーデンス/オブスキュラスの小さなかけらが、現場から逃げ出す。一方、ノー・マジに魔法使いの存在が知られることを避けるため、ニュートはアリゾナで放す予定だった魔法動物サンダーバードをニューヨークに放ち、人々の最近の記憶を消す魔法を町中に雨として降らせた。そして、ノー・マジであるジェイコブも記憶を消すため外に出る。恋心を抱いていたクイニーは、ジェイコブにキスをし別れを告げた。

その後、ニュートは本が書き終わったらティナに会いに行くと告げ、ヨーロッパに出発。一方のジェイコブは、ニュートからもらった銀の卵の殻を担保にパン屋を開く。そこで売られるパンは、無意識にもニュートの動物に触発された形をしたパンだった。パン屋が大盛況を迎える中、クイニーはパン屋を訪れる。その姿を見たジェイコブは、大きな微笑みを浮かべるのだった。
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』あらすじ
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』は、『魔法使いの旅』の数ヶ月後、1927年を舞台とする。『幻の動物とその生息地』を出版したニュート・スキャマンダーは、魔法界と人間界を脅かす「黒い魔法使い」グリンデルバルドが逃げ出したことを知る。ホグワーツの恩師ダンブルドアから彼を追うことを託されたニュートは仲間や魔法動物らと共にパリへ向かうことに。そのパリでは、グリンデルバルドが言葉巧みに賛同者を増やし、勢力を広げていた。そして、その手はついに仲間にまで…。果たしてニュートたちはこの最大の危機から世界を救えるのか。
なお、本作にはサプライズが隠されているようで、主人公ニュートを引き続き演じるエディ・レッドメインは「映画には顎が外れるような瞬間があるんです」と発言。J.K.ローリングも「この映画に登場するあるキャラクターには、ファンも驚くと思いますよ」と語り、ファンの期待を高めている。
海外興行収入/レビュー
日本では2018年11月23日公開の『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』だが、本国アメリカをはじめとする世界79カ国では2018年11月16日より公開スタート。

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初週末の全世界累計興行収入は2億5,320万ドルとなり、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)のオープニング成績を超える大ヒットを記録。全米では全6,220万ドルを売り上げ、第1位での初登場。『グリンチ』や『ボヘミアン・ラプソティ』といった今秋公開の並み居る作品たちを引き離した。
さらに18ヶ国でも記録的なオープニングを飾り、今回から本作の舞台となるフランスをはじめ、ロシア、ブラジル、ドイツ、メキシコなどを含む43ヶ国では『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』を超える初週末記録を叩き出している。(Box Office Mojo調べ、2018年11月19日時点。)
また、試写会を通じていち早く本編を観た人々は、「#ProtectTheSecrets(秘密を守ろう)」を合言葉に、本編の内容には言及せぬままSNSに感想を投稿している。

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中でも称賛が集まったのが、「黒い魔法使い」ことグリンデルバルド役のジョニー・デップだ。ジャーナリストでプロデューサーのサイモン・トンプソン氏は、「グリンデルバルド役のジョニー・デップが見せ場でズバ抜けた演技を見せる。魔法ワールドの初心者も大ファンも、魅力的なビジュアルや完璧なアクション、心奪われる演技に抵抗するのは難しい。ファンタスティック!」とコメント。
We Live Entertainmentのスコット・メンゼル氏も「『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』は魔術的なまでに必見!前作にもとづいて展開して、ハリー・ポッターのファンは必ず楽しめます。驚くべきビジュアルと魅力的なストーリー、そしてエンディングには言葉を失うでしょう。グリンデルバルド役のジョニー・デップは完璧」とコメントしている。
他にも、リタ・レストレンジ役ゾーイ・クラヴィッツとエディ・レッドメインを称賛する声も。
「『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』では、私たちは(たくさんの)秘密を守らなくてはいけません。この映画は2回以上観るべき作品で、観るほどに多くの発見があります。グリンデルバルドは完璧だし、(リタ・)レストレンジはすばらしかった。ニュート(・スキャマンダー)にはいつも通り心を奪われました。」
日本で本作がどのような記録を打ち立てるか楽しみだ。
大盛況のジャパン・ツアー

ロンドンやパリに続き、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』ワールド・ツアーの最終地点として選ばれたのは日本。エディ・レッドメイン(ニュート役)、ジュード・ロウ(ダンブルドア役)、キャサリン・ウォーターストン(ティナ役)、アリソン・スドル(クイニー役)、ダン・フォグラー(ジェイコブ役)、クローディア・キム(ナギニ役)が一挙に集結し、日本のファンを熱狂させた。THE RIVERでは、その全てで取材を敢行している。
ジャパンプレミア
2018年11月21日、六本木ヒルズアリーナで開催。レッドカーペットでたっぷりファンサービスを行った後、豪華ステージで本作について存分に語った。
ファンナイト
2018年11月22日、豊洲PITで開催。ファンからの質問にキャストが直接答えたほか、プレゼント抽選会では当選者がキャストと壇上を共にするなど嬉しいサプライズも。
初日舞台挨拶
2018年11月23日、丸の内ピカデリーにて開催。日本の洋画イベント恒例となった「法被姿で鏡割り」も行われた。
押さえておきたい『ハリポタ』用語
死の秘宝
死の秘宝とは、強力な魔力を持つニワトコの杖、死者の魂を呼び出す蘇りの石、使用者を見えなくする透明マントの3つを指す。「三人兄弟の物語」によると、これらは”死”によってペベレル家の3人兄弟に与えられたもので、全部を手に入れれば死を支配する者となると言われていた。
死の秘宝のシンボルは『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)で既に登場しており、パーシバル・グレイブスに扮するグリンデルバルドがクリーデンスに信頼の証としてシンボルのついたネックレスを授けている。
そして、本作で死の秘宝の一つ、ニワトコの杖を手にしているのはグリンデルバルド。ニワトコの杖を所持していることによって、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の頃よりさらにパワーアップした状態で登場することは間違いない。
ちなみにその後、1945年に行われた決闘でグリンデルバルドがダンブルドアに敗れたことから、ニワトコの杖はダンブルドアの物に。『ハリー・ポッター』シリーズでも引き続きダンブルドアが所持し、後にドラコ・マルフォイ、そしてハリー・ポッターへと所有権が移った。なお、ヴォルデモートが杖の持ち主は自分だと信じていたことが、彼の敗因ともなっており、シリーズにおける重要度が非常に高いアイテムとなっている。
みぞの鏡
「みぞの鏡」とは、人の心の奥底にある望みを映すもの。『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)では、ハリーは亡くなった両親の姿を見て、その力に魅了されるように。だがある日、鏡を見つめるハリーのもとにダンブルドアが現れる。「鏡は知識も真実も与えない。この力の虜になり、廃人となった者もいる」と語り、二度と鏡を探してはいけないと忠告した。本作ではこの「みぞの鏡」が再登場。公開された映像では、ダンブルドアが鏡を見つめると、そこにはグリンデルバルドの姿が映っている…。
ちなみに、『ハリー・ポッターと賢者の石』で何が見えるか問われた際、ダンブルドアはステキな靴下を持っている自分が見えると語っていた。のちに、J.K.ローリングはそれが嘘だったとコメント。「アリアナもパーシバルもケンドラも戻ってきて、アバーフォースとも仲直りし、家族全員が揃って幸せそうにしている姿を見た」のだと明らかにしている。
グリンデルバルドとダンブルドア
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の一番の注目ポイントは、タイトルの「黒い魔法使い」であるゲラート・グリンデルバルドと、『ファンタビ』初登場のアルバス・ダンブルドアだ。
ゲラート・グリンデルバルド/ジョニー・デップ
ゲラート・グリンデルバルドを演じるのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどで知られるジョニー・デップ。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』には最後の場面でカメオ出演を果たしたのみだったが、本作から本格的に参戦を果たす。

実はグリンデルバルドにデップを起用するというアイデアは、J.K.ローリングたっての希望だったようだ。プロデューサーのデヴィッド・ハイマンは米LRMのインタビューで「デップは素晴らしかったですよ。[中略]ジョー(J.K.ローリング)や彼女の仕事を彼がすごく気に入っているのは最初から明らかでした。(作品について)意見があって、あれこれ挑戦したがっていたし、すごく協力的で謙虚だったんです。胸を張って“こうやるべきだ!”なんてことは言わなかったですね。ジョーや彼女の仕事に敬意を抱いているからこその、忠実なお仕事でした。それに、彼(デップ)は満足していましたしね」と、デップを絶賛している。
またインタビューの中で、デップはグリンデルバルド役の出演オファーが突然舞い込んできたことを以下のように振り返っている。
「J・K・ローリングが僕と話したがっているって、誰かに聞いたんです。数人のプロデューサーや監督、J・Kに会って、グリンデルバルドというキャラクターについて長い話し合いをしました。J・Kは予想もしていなかったことを言うんですよ。もちろん彼女は自分の作ったキャラクターに詳しいし、魔法の世界は驚くべきものですしね。“あなたに演じてもらえるのが楽しみです”と言われて、ある程度は信頼されて(役柄を)預けられました。そのことにすごく感動したし、驚かされましたね。」
そんなデップが演じるグリンデルバルドは、ヴォルデモートが登場するまで史上最悪の闇の魔法使いと呼ばれていた人物。ヴォルデモートの悪行と力がグリンデルバルドを超越していたことから、『ハリー・ポッター』シリーズ時点で彼のことを覚えている魔法使いはごく僅かなものの、恐ろしさに関しては引けを取らない魔法使いだ。
本作を手がけるデヴィッド・イェーツ監督は、この悪役をヴォルデモートと比べながら、「ヴォルデモートは基本的に暴漢。もし意見が食い違った場合、彼は即座にあなたを殺すでしょう。グリンデルバルドの恐ろしい点は、意見が異なっても、5分以内にはあなたを丸め込んでしまうところ…。彼は信じられないほどチャーミングで説得力があるんです」と表現している。
ちなみに、グリンンデルバルドは『ハリーポッターと死の秘宝 Part 1』(2010)に登場。老年期を『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』(2015)のマイケル・バーン、若年期を『トワイライト』シリーズのジェイミー・キャンベル・ バウアーが演じた。同作では、ダンブルドアとのとある決闘に負けてヌルメンガードに収監されていたグリンデルバルドの元をヴォルデモートが訪れる。ニワトコの杖のありかを問われたグリンデルバルドがダンブルドアの名前を告げたことで、ヴォルディモードは杖のありかを知るのだった。なお、原作では杖のありかを明かさなかったことでヴォルデモートによって殺害されている。
同作でグリンデルバルドの若年期を演じたジェイミー・キャンベル・ バウアーは、本作にも同役で登場。ファンの間で大きな話題となった。
アルバス・ダンブルドア/ジュード・ロウ
ダンブルドアはニュートとハリーという『ファンタビ』『ハリポタ』両作の主人公を先生として導いた、最も偉大な魔法使いの一人。ヴォルデモートが恐れた唯一の魔法使いとされるほどの強力な魔力を持ち、ハリー・ポッター側の勝利へ尽力した。『ハリー・ポッター』シリーズでは、ホグワーツ魔法魔術学校の校長先生だったダンブルドアだが、本作ではまだ闇の魔術に対する防衛術を生徒に教える教師。グリンデルバルドと戦うよう魔法省から要請を受けるも、それを断り、代わりにニュートにグリンデルバルドを追うよう依頼する。

「多くの人々に愛されているダンブルドアが、どのような人生を歩んできたのか。それを遡れることは凄く貴重で特別な経験でした」と語るダンブルドア役のジュード・ロウ。原作者のJ.K.ローリングは「ジュードに会ったとき、私が知る限りのダンブルドアに関する情報を全て話しました。それがなかったら、ジュードはただ人の人生をもてあそぶだけの人物を演じなきゃいけないでしょう。それは本当のダンブルドアではないんです」と、ジュードの役作りに手を貸したことを明かした。
また、『ハリー・ポッター』シリーズの『賢者の石』と『秘密の部屋』(2002)では『グラディエーター』(2000)のリチャード・ハリス、3作目の『アズカバンの囚人』(2004)以降は『英国王のスピーチ』(2010)のマイケル・ガンボンが同役を演じてきた。ジュードは、2人の演技を参考にしたか問われた際、こうコメントしている。
「2人の仕事を観てきましたし、俳優として多大なる尊敬の念を抱いているので、頭の片隅にはあったと思いますよ。でも、デヴィッド・イェーツと話をして、どちらかの真似をしながら若い時代を演じる必要はないって結論になりましたね。(自分の演じる)この男性が、”あの”ダンブルドアになるまで後100年もあるので、今この瞬間、彼がどういう人物なのか考え、自分たちのバージョンを作り出したかったんです。それにしても”若いアルバス”と呼ばれるのは笑っちゃうな。僕はもう45歳なので、どちらかというと中年の危機にいますよ。でもその称号はできるだけ長く持ってたいね!」
本作では、『ハリー・ポッター』シリーズでは見ることのできなかった、若かりし頃のダンブルドアを楽しめることだろう。

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ゴドリックの谷の決闘
そんなグリンデルバルドとダンブルドアの関係を説明する上で欠かせないのが、「ゴドリックの谷の決闘」だ。なお、この項目は本作のネタバレとなる可能性もあるので、ご留意いただきたい。
ケンドラとパーシバル・ダンブルドアの元に生まれたアルバス・ダンブルドアには、『ハリーポッターと死の秘宝Part 2』(2011)に登場した弟のアバーフォース、そして同作に絵画でのみ登場した妹アリアナがいた。ある日、アリアナが魔力の爆発を抑えられず、ケンドラが死亡するという悲劇が発生。その結果、ゴドリックの谷に戻ったアルバスは、数々の問題行動によりヨーロッパの魔法学校ダームストラング専門学校を退学処分になったグリンデンバルドに出会う。お互い才能を認め合った2人は、死の秘宝の研究に没頭。そして、グリンデルバルドはマグルの世界を魔法使いが支配する計画でアルバスを魅了するようになる。
だが、これらの研究や計画は問題を抱えたアリアナを大切に思うアバーフォースをとある行動へと駆り立てることに。そして1899年、アバーフォースとグリンデルバルド、アルバスの3人の間で「ゴドリックの谷の決闘」が行われ、アリアナが巻き込まれて亡くなるという悲劇が起きた。
この事件がダンブルドアとグリンデルバルドの決裂の原因になったとされており、同時にアバーフォースとアルバスの関係も修復不可能になってしまった。
グリンデルバルドとダンブルドアの恋愛関係について
既に公開されている本作の映像で「兄弟以上に深い関係だった」とダンブルドアが語っている通り、ダンブルドアは同性愛者であり、かつて悪に染まる以前のグリンデルバルドと恋に落ちていたことがJ.K.ローリングによって明かされている。
だが、本作でその関係が明示されることがないと、デヴィッド・イェーツ監督はコメント。「でも、ファンの方なら全員気づくと思いますよ。彼(ダンブルドア)は若いとき、グリンデルバルドと非常に親密な関係でした。そのアイディアやイデオロギーに、お互い恋に落ちたんです」と、2人の関係が間接的には描かれることを示唆した。また、ジュード・ロウも以下のように語っている。
「こういう言い方をしましょう。この映画はダンブルドアの同性愛について描く作品でも、彼という人間をセクシャリティが形づくる作品でもありません。ただし、確かにその関係性は、ダンブルドアという人物や、彼の目的が何であるかを示す要素となっています。
それから僕は、ダンブルドアが多くの人間に全身全霊を捧げてきた人間だとは思いません。二人の(グリンデルバルドとの)関係は彼を動揺させることになったし、彼の心を氷づけにしてしまった。そして実際のところ、誰もその氷を溶かせなかったんですよ。」
しかし「明示はしない」という発言に対し、一部ファンが反発する声も。そんなファンへ向けて、J.K.ローリングはTwitter上で以下のように反論した。
「私の出席していないインタビューで(監督が「2人の関係を明示していない」と発言したことに対して)、ひどく言われてしまいました。でもお怒りになっている皆さんは、まだ私が書いた脚本を読んでいませんよね。これはシリーズ5作品のうちのたったひとつで、ものすごく楽しいものです。皆さんは、楽しい”以上”のものが何であるかご存知ですか?」
本作を含め、今後グリンデルバルドとダンブルドアの関係がどのように描かれていくか、要注目だ。
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』新キャラクター・新キャストたち
リタ・レストレンジ

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厳密には新キャストではないものの、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011)や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)のゾーイ・クラヴィッツがイギリス魔法省、最高責任者の魔法大臣トラヴァースのアシスタントを務める純血の魔法使いリタ・レストレンジ役で本作から本格参戦する。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』には写真でのみ登場。主人公ニュートがホグワーツ魔法魔術学校に在籍している当時、親しい関係を築いていたことが語られていた。ニュートの兄セウス・スキャマンダーと婚約していることも明らかになっており、要注目のキャラクターだ。
なお、リタは『ハリー・ポッター』シリーズには登場していないものの、レストレンジ家はファンの間で有名な純血の家系。中でも特に有名なのは、ヴォルデモートの忠実な従者として知られるベラトリクス・レストレンジだ。レストレンジ家はベラトリクスが嫁いだ先のため、リタと血の繋がりはない。しかし、ベラトリクスの夫ロドルファス・レストレンジもネビルの両親を拷問した一人として知られており、レストレンジ家自体も闇サイドに近い家系であるといえよう。
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』で「奪う人」と表現されていたリタだが、果たして本作ではニュートの味方か、敵か。
テセウス・スキャマンダー

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そのリタの婚約者であるテセウスは、本作初登場で、主人公ニュート・スキャマンダーの兄。テセウスは戦争の英雄であると共にイギリス魔法省の闇祓い局トップを務めている。ニュートとは対照的な性格を持ち、社交的で感情を表に出すことが多い。米国版予告編でティナがテセウスを縛り付けた時、「人生で最高の瞬間かも」とニュートが発言しているあたりから、2人の関係は友好的ではない模様。本作では弟への愛情と魔法省の自分の仕事の間で板挟みになる様子が描かれるそうだ。演じるのは『アサシン クリード』(2016)や『さよなら、僕のマンハッタン』のカラム・ターナー。
ニコラス・フラメル
ニコラス・フラメルは『ハリー・ポッターと賢者の石』で重要な役割を果たす”賢者の石”を作り出した錬金術師。アルバス・ダンブルドアの友人としても知られている。フラメルはサンディエゴ・コミコンにて公開された予告編で登場し、本作に出演することが明らかになった。どのような経緯で登場するのか、謎が深まるばかりだ。
なお、演じるのはビートルズの愛したカルト映画『エル・トポ』(1970)で、エル・トポの息子役を務めたブロンティス・ホドロフスキー。
ナギニ

ナギニはマレディクタスという、自らの意思と関係なく動物に変身してしまう”呪われた血”を持つ女性。魔法サーカスのスターとして、残虐なオーナーであり舞台監督のスケンダーによって悪用される中、クリーデンスと心を通わせていく。なお、本作には人間の姿で登場するものの、『ハリー・ポッター』シリーズでは蛇の姿でのみ登場。ヴォルデモートの分霊箱の一つで、忠実な僕として、ハリー・ポッターたちを苦しめた。
ナギニがマレディクタスであったというのも本作の予告編で初めて明らかになっており、『ハリー・ポッター』以前の過去は謎に包まれている。演じるのは、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)ヘレン・チョ役で知られるクローディア・キム。
その他のキャラクター
上記のキャラクターだけでなく、本作には新たなキャストが多数追加されている。まず、イルヴァモーニー魔法学校のユーラリー・ヒックス教授役で、「ザ・デイリー・ショー」(1996-)のジェシカ・ウィリアムズが出演。他にもドイツで活躍する俳優ウルフ・ロスがスピールマン、「コール・ザ・ミッドワイフ」(2012-)のビクトリア・イェイツがバンティー、『キダルトフッド』(2006)のコーネル・S・ジョンがアーノルド・グズマンという名のキャラクター、『グランドフィナーレ』(2015)のポピー・コルビートゥエックがロジエール、「ガンパウダー」(2017)デレック・リデルがトークィル・トラバースを演じる。なお、ロジエールとトラバースは書籍『ハリー・ポッター』シリーズで登場した死喰い人の苗字。両者の接点が気になる。
魅力あふれる魔法動物たち
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』に続き、本作でも魔法動物たちが大活躍。ボウトラックルやニフラーなど、ファンお馴染みの動物から日本のカッパまで、様々な魔法動物の姿を楽しめることは間違いない。
ボウトラックル
ボウトラックルは、小さな幹と根に葉のついた小枝が伸びているような姿をした背丈20センチの魔法動物。大人しく内気な性格だが、自分の住む木が危険に晒されると、木を守るために攻撃する一面も。鍵を開ける才能もあり。
本作ではニュートの胸ポケットに入り、行動を常に共にするボウトラックルのピケットが引き続き大活躍。エディはボウトラックルについて、「彼には愛着がありますね。小ちゃくて、小枝みたいで可愛いんです」と語っている。
ニフラー&ベビー・ニフラー

ニフラーは、光るものなら何でも大好きないたずら屋さん。宝物はお腹にためており、ドラえもんのように沢山収納することができる。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』ではキラキラしたものを追いかけてニューヨークで騒ぎを起こし、ニュートを困らせていた。
また、普段は地面から6メートルほどの深さの巣に住んでおり、最大で8匹ベビー・ニフラーを産むことが可能。色は様々で黒、茶色と白、灰色と白のほか、3色のものもいる。キラキラしたものが大好きなのは親と変わらず。
ケルピー
水の中で棲息するケルピーは、噛む力が強く、手なずけるのも難しい。だが、頭に縄をかけると大人しくなるそうで、本作ではニュートを乗せて水中を駆け抜ける姿が楽しめるそうだ。なお、J.K.ローリングはケルピーがお気に入りの魔法動物だと語っている。
ズーウー

本作初登場となるズーウーは、象と同じくらいの大きさをもつ猫科の魔法動物。中国に棲息していたと言われており、ものすごく強い力を持つと共に、1日に千里も移動することができる素早さも兼ねそろえている。最大の特徴は、体と不釣り合いなほど長く、フリルのようなものがついた色とりどりの尻尾。
マタゴ

マタゴは、スフィンクスという種類の猫に似た姿をした使い魔。フランス魔法省で単純労働に使われており、怒らせると、さらに恐ろしい姿に変わり、攻撃をしてくる。本作では果たして、どのような役割を果たすのだろうか。
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』出演者/キャスト、吹替声優、スタッフ
主なキャラクター、キャスト、吹替声優
キャラクター名 | キャスト | 日本語吹替声優 |
ニュート・スキャマンダー | エディ・レッドメイン | 宮野真守 |
ニュート(学生時代) | ヨシュア・シア | |
ポーペンティナ(ティナ)・ゴールドスタイン | キャサリン・ウォーターストン | 伊藤静 |
ジェイコブ・コワルスキー | ダン・フォグラー | 間宮康弘 |
クイニー・ゴールドスタイン | アリソン・スドル | 遠藤綾 |
クリーデンス・ベアボーン | エズラ・ミラー | 武藤正史 |
リタ・レストレンジ | ゾーイ・クラヴィッツ | 森なな子 |
リタ(学生時代) | テア・ラム | |
リタ(幼少期) |
ルビー・ウールフェンデン
|
|
ナギニ | クローディア・キム | 大地葉 |
テセウス・スキャマンダー | カラム・ターナー | 江口拓也 |
アーノルド・グズマン | コーネル・ジョン | 英語版 |
ユスフ・カーマ | ウィリアム・ナディラム | |
ユスフ(12歳) | アイザック・ドミンゴス | |
グリムソン | イングヴァール・エッガート・シーグルソン | 松山鷹志 |
アバナシー | ケヴィン・ガスリー | 粟野志門 |
セラフィーナ・ピッカリー | カルメン・イジョゴ | 深見梨加 |
スピールマン | ウルフ・ロス | 掛川裕彦 |
トーキル・トラバース | デレク・リデル | 根本泰彦 |
ヴィンダ・ロジエール | ポピー・コービー=チューチ | 喜多村英梨 |
アーマ・ドゥガード | ダニエル・ユーグ | 神代知衣 |
ユーラリー・ヒックス | ジェシカ・ウィリアムズ | きそひろこ |
ロレナ・カーマ |
イソーラ・バルベ=ブラウン
|
|
ムスタファ・カーマ | ヒュー・クオーシー | |
コーヴァス・レストレンジ・シニア | キース・シャンター | |
スケンダー | オラフル・ダッリ・オラフソン | 島田岳洋 |
マクダフ | アンドリュー・ターナー | |
カロー | マヤ・ブルーム | |
クラフト | サイモン・ミーコック | |
クロール | デヴィッド・サクライ | 辻井健吾 |
ネイジェル |
クラウディウス・ピータース
|
|
ステビンス | バート・ソロチンスキ | |
バンティ | ヴィクトリア・イェイツ | 新谷真弓 |
マクラーゲン | アルフィー・シモンズ | 観世智顕 |
ポートキーのダフ屋 | デヴィッド・ウィルモット | 本多新也 |
メリュジーヌ | オルウェン・フエレ | |
ミネルバ・マクゴナガル | フィオナ・グラスコット | 渋谷はるか |
ニコラス・フラメル | ブロンティス・ホドロフスキー | 英語版 |
アルバス・ダンブルドア | ジュード・ロウ | 森川智之 |
ダンブルドア(過去) | トビー・レグボ | |
ゲラート・グリンデルバルド | ジョニー・デップ | 平田広明 |
グリンデルバルド(過去) |
ジェイミー・キャンベル・バウアー
|
主なスタッフ
- 監督:デヴィッド・イェーツ
- 脚本:J.K.ローリング
- 製作:デヴィッド・ハイマン、J.K.ローリング、スティーヴ・クローヴス、ライオネル・ウィグラム
- 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
- 撮影監督:フィリップ・ルースロ
- 編集:マーク・デイ

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Source: Entertainment Weekly, Comicbook.com