ノーラン、3時間映画『オデュッセイア』に「若い観客は集中力が持たない」説を否定する理由 ─ 若手監督『バックルームズ』『オブセッション』事例を見て

最新作『オデュッセイア』を控えるクリストファー・ノーランが、“新世代の旗手”と目される『オブセッション 災愛』のカリー・バーカー監督、A24映画『バックルームズ』のケイン・パーソンズ監督を称え、エールを送った。
1999年生まれのバーカーと、2005年生まれのパーソンズは、ともにYouTubeから活動を開始した新世代のホラー・フィルムメイカー。完全オリジナル脚本の『オブセッション』は製作費75万ドルに対して全世界興行収入4億2,674万ドル、人気のネット怪談に基づく『バックルームズ』は製作費1,000万ドルに対して世界興収3億6,332万ドルと、ともに異例の大ヒットを記録している。

ノーランがふたりに言及したのは、『オデュッセイア』で大規模な撮影に臨んだ主演のマット・デイモンが、「自分にとってこういう機会は最後になるだろう」と語ったことを受けてのものだ。英The Telegraphにて、「そう言いたくなるのはわかります。こんなふうに世界中を旅し、数千人ものキャストを集めるようなやり方で映画が作られるのは、ずいぶん久しぶりのような気がするから」と語った。
しかし、ノーランは「そういう物事の見方には、あらかじめ敗北を受け入れているようなところがあり、私は賛同しません」と言い切る。
「映画には生命力があり、不可欠なものとして変容を続けていると思います。素晴らしい、若くて新しい声が、このメディアを自らのものにし、前進させているのです。」
その筆頭として名前を挙げたのが、バーカーとパーソンズだった。「だから私は、若い観客には集中力がまるでなく、3時間のギリシャ叙事詩を楽しむことなどできないという意見をまるで信じませんでした」という。
「彼らの映画はとても謎めいていて、思索的です。『バックルームズ』には、デヴィッド・リンチの最も難解な作品のような部分すらありますが、若者たちはそれを観るのが大好きなのです。」


ノーランは、バーカーとパーソンズがともに実写撮影を好み、AIに距離を置いていることにも関心を抱いたようだ。ノーランは、自らの子どもたちも含め、「AIのお粗末さに対する彼ら(若い世代)の判断は、速やかで厳しいものでした」と語る。
「彼らはその本質を素早く見抜いたのです。彼らがよく知るオンラインの世界から生まれた以上、それは非常に容易なこと。もちろん、この技術のあらゆる側面が役に立たず、無意味ということではありません。けれども、映画製作においては最もタイミングが悪かったのです。長年にわたるバーチャル環境への取り組みを経て、私たちはより手ざわりのある、現実的なストーリーテリングへの新たな関心を目にしています。」
自分の人生において、ノーランは「テクノロジーにおける根本的な飛躍とされるものが、これほど速く、かつ広く退けられているところは見たことがない」とも言っている。「AIを導入するために多くのエネルギーが費やされてきました。しかし、あの世代は完全に拒絶しているようです」。
映画『オブセッション 災愛』は2026年7月11日、『バックルームズ』は9月4日に公開予定。なお、ノーラン最新作『オデュッセイア』は9月11日に全国公開。
▼ 『オデュッセイア』の記事
Source: The Telegraph































