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『オデュッセイア』冒頭は『スター・ウォーズ』の影響だった ─ 「映画を観るための心構えができる、そんな体験にしたかった」

オデュッセイア
photo by Melinda Sue Gordon (C) Universal Studios. All Rights Reserved.

「魔法とおぼしきものが存在した時代……(A TIME OF APPARENT MAGIC …)」

クリストファー・ノーラン監督の最新作『オデュッセイア』の脚本の冒頭は、静寂の中、真っ暗なスクリーンに、この言葉が現れるところから始まる。この演出の着想源は、『スター・ウォーズ』だった。

韓国の映画監督パク・チャヌクとの対談で、ノーランは「私にとって最初の映画体験のひとつであり、非常に深い体験だったものが、ジョージ・ルーカスの撮った『スター・ウォーズ』第1作でした」と明かしている。

『スター・ウォーズ』のオープニングといえば、おなじみ「遠い昔、はるか彼方の銀河系で……(A long time ago in a galaxy far, far away….)」という一文。この言葉を目の当たりにしたとき、ノーランは「この映画をどう観ればいいのかがわかった」という。

「自分が映像を受け取るうえで、ふさわしい心構えができる──『オデュッセイア』でも、私はそういう体験を求めていました。観客が我を忘れて没入でき、その世界を独立した論理ごと受け入れられる世界を作りたかったんです。観客が物語を理解するヒントになる言葉を提示できる一例として、あの言葉をとらえていました。」

しかし、なぜ「魔法が存在した時代」ではなく「魔法“とおぼしきもの”が存在した時代」なのか。“apparent(一見すると)” という語を使ったのは、「物語をリアリスティックに語るなら、なぜそこに魔法があるのかを説明しなければならなかった」からだとノーランは言う。

「青銅器時代の人々にとっては、説明しがたい魔法が、身の回りのあちこちにあった。その発想に興味を抱きました。自分が経験するさまざまな出来事や、ある意味では人生の神秘についての、空想的な説明があるということ。観客には、映画の始まりでそのことを押さえておいてほしかったんです。」

『オデュッセイア』には、神々や怪物、魔女といった、人間の理解を超える存在や出来事があまた登場する。ノーランの狙いは、それらを“人智を超えたもの”として映像化することではなく、それらを人間がいかに認識していたかということだ。すなわち、「魔法」の存在する世界ではなく、人間が「魔法とおぼしきもの」として理解する物事が存在する世界である。

もっともノーランは、この映画を手がけるなかで、当時と現在では「あまり変わっていないのではないか」と感じたことを強調してもいる。

「こうした神秘や、“私たちは世界を理解している”という考え、あるいは自分たちをとりまく世界を理解しようとする方法は──この映画を作り始めたころに考えていたほどには、実際はあまり変わっていないのではないかと思います。“信じる”ことで受け入れていることや、理解を超えているものもたくさんある。私たちは、当時の人々とさほど違っていないのかもしれません。」

映画『オデュッセイア』は、2026年9月11日(金)全国公開。9月4日(金)~10日(木)にはIMAX®先行上映が実施される。

Source: Cine21

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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