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「ワンダヴィジョン」あのサプライズ出演者、もし実現しなくとも「代案なかった」 ─ こだわりの理由、仕掛け人が明かす

ワンダヴィジョン
『ワンダヴィジョン』 ディズニープラスで配信中 (c) 2021 Marvel

この記事には「ワンダヴィジョン」最終話までの重大なネタバレが含まれています。必ず鑑賞後にお読みください。
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ワンダヴィジョン
『ワンダヴィジョン』 ディズニープラスで配信中 (c) 2021 Marvel

ピエトロ役、エヴァン・ピーターズ

「ワンダヴィジョン」にエヴァン・ピーターズが登場したことは、マーベルファンにとって大きなサプライズとなった。第5話「問題エピソード」では、舞台のウエストビューで起きている異変にヴィジョン(ポール・ベタニー)が気づき、ワンダ・マキシモフ(エリザベス・オルセン)に真相を問う中、玄関のベルが鳴る。そこに立っていたのは、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で死んだはずのワンダの双子の兄弟、ピエトロ・マキシモフ/クイックシルバーだった。しかしその姿は、MCU版ピエトロのアーロン・テイラー=ジョンソンではなく、20世紀フォックス製作『X-MEN』シリーズのピエトロ、エヴァン・ピーターズだったのである。

この様子をモニター越しに見ていたダーシーは、思わず「彼女、ピエトロの代役を立てたの?(She recast Pietro?)」と一言。このキャスティングが巧妙だったのは、物語として“ピエトロの姿が違うのはなぜか?”という必然的な謎を提示するとともに、マーベルファンには“まさかのクロスオーバーか、マルチバースか?”という謎ともなったのである。もっとも結論は、アグネス/アガサ・ハークネス(キャスリン・ハーン)が別人をピエトロとして登場させただけのフェイク・ピエトロ、劇中で言われるところの「フィエトロ」だったわけだが。

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『ワンダヴィジョン』 ディズニープラスで配信中 (c) 2021 Marvel

脚本・製作総指揮のジャック・シェイファーは、「フィエトロ」役にエヴァンを起用する構想を早くに立てていたことを以前から認めていた。すべてが明らかになった今、米The New York Timesでは、その舞台裏にもう少し踏み込んで語られている。

「(エヴァンの起用は)ずいぶん長い間、大きな課題としてありましたし、実現できるかの判断に時間がかかったんです。最終的に“やれる”と分かったのはずいぶん後でしたね。だけど、脚本は書いていたんですよ。エヴァンはカメレオンのように、『フルハウス』のジェシーおじさん、『ファミリータイズ』のニック、『フレンズ』のジョーイを融合させてくれました。彼はどの側面も演じられる人なんです。[中略](もしエヴァンが出られない場合の)代案はありませんでした。熱烈な希望と夢があって、それが叶ったということですね。」

シェイファーは先日、エヴァンのキャスティングを「どうすれば筋道の通ったものに、真っ当なものにできるか」が課題だったと語っていた。「(シリーズの)あらゆるところにポイントがあります。何が現実で、何がそうでないか。演技や配役、観客、ファンはどうか。エヴァンの登場は、すべてにおいて最もスリリングだと思いました」。

今となっては、当時のシェイファーが語ったことの真意もわかるだろう。マルチバースを示唆するという仕掛けだけでなく、さまざまな面を併せ持った「フィエトロ」役には、それぞれの特徴を演じ分けつつ、シットコムというフォーマットに見事に適応できる俳優を起用しなければならなかったのである。エヴァンの出演が実現しなければ、おそらく、少なくともどれかひとつの要素は抜け落ちていたのではないか。

ちなみにマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長も、米テレビ批評家協会のプレスツアーにて、エヴァンを起用するアイデアは「企画の開発中、まだ具体的なことが決まっていないうちに出てきたもの」だったと証言している。「最終的にどんな作品になるのかを考える、一番最初のプロセスが僕は大好きなんです。いろんな議論があるものですが、開発段階でも比較的早くからあるものを進めたいんですよ」。

Sources: The New York Times, The Wrap

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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