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『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』主題歌、プロデューサーを緊張させたダニエル・クレイグの反応

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
Credit: Nicola Dove © 2019 DANJAQ, LLC AND MGM. ALL RIGHTS RESERVED.

遂に公開を迎えた『007』シリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』では、Z世代を代表するトップアーティストであるビリー・アイリッシュが、偉大なアーティストたちによって代々受け継がれてきた主題歌を担当した。6代目ジェームズ・ボンド、ダニエル・クレイグ最後の『007』とだけあり、アーティストの決定もさぞ慎重に行われたはずだ。

本作に携わった音楽プロデューサーのステファン・リプソンによれば、主題歌が正式に決定される直前には、緊迫の一幕があったという。それも、ビリー・アイリッシュの起用についてプロデューサー側の承認も下りて、残すはダニエル・クレイグの判断のみという、決定の本当に最終段階だった時のことだとか。米CinemaBlendの取材で当時を振り返ったリプソンは、『No Time To Die』を初めて聴いたダニエルの姿を鮮明に語っている。

ビリー・アイリッシュ No Time To Die

最初は確信を持てなかったダニエル、その反応は

2006年からボンドを演じ続けてきたダニエルは、第4作『007 スペクター』(2015)より共同プロデューサーに就任した。ただ演じるだけでなく、製作全体のプロセスから『007』やジェームズ・ボンドの開発に加わったのだ。当然のことながら、冒頭のシークエンスで毎回見せ場が訪れる主題歌にもダニエルの審査が入ったわけだが、音楽を“持ち込んだ側”には緊張の瞬間だった。「しっかり伝わると確信していました」と、初めて『No Time To Die』を聴いた時から自信があったというリプソンは、「一番大切だったのは、ダニエルの承認を得ることでした」と語っている。

しかし、リプソンによれば、すでに曲を聴いていたダニエルは、『No Time To Die』に対して「自分の最後となる『007』の映画に、ふさわしい感情のクライマックスを与えられるかに確信を持てていなかった」という。「だからこそ、彼を満足させることが重要で……」と当時のプレッシャーを思い起こすリプソンは、「他のどの場所よりも最高の環境が整った」自身の音楽スタジオに、ダニエルを招くことに決めたのだった。

「スピーカーを両脇に置いてダニエルと一緒に座って、曲を流しました。彼の反応を待っていたんですが、曲が終わっても彼はうつむいたままで。そしたら“もう一度かけて”とおっしゃったので、私とバーバラ(・ブロッコリ、プロデューサー)は、2回目を聴き終わるまで彼がどう感じたのかが分かりませんでした。すると彼がやっと顔を上げて、こんな感じのことを言ったんです。“最高じゃないか”と。」

流れている間も静寂が感じられるほど、しっとりとゆっくりな曲調の『No Time To Die』。その尺は4分2秒だが、リプソンらにとっては─ダニエルの反応を待っていた2回目の試聴の時なんかは特に─永遠に感じられたことだろう。1度聴いて何も言わずに2周目となると、不安もよぎったはずだが、リプソンの確信は間違っていなかったようだ。ダニエルの許可が下りた瞬間について「歯車が動き始めた」と、リプソンは当時感じた安堵を振り返った。

当時のヒヤッと体験を語ったリプソンだが、これとは正反対に、曲を手がけたビリー本人は毅然としている。『ノー・タイム・トゥ・ダイ』公開にあわせて放送された公式ポッドキャスト番組の場で、ビリーは「そこまでプレッシャーには感じなかったですね」とさらり。ビリーの使命は、歴代に続く『007』らしい曲を生み出すことに専念することだけだった。「ボンドソングだと感じられるようなものが無いと、『007』の曲は作れないと思っていました」とビリーは製作時の心境を語っている。

そんなビリーによれば、『No Time To Die』の2番には、“ボンドソング”らしさが反映されているのだとか。モンティ・ノーマンによって生み出された『007』のテーマ曲のメロディが「すっごくほんのりと響いている」というのだ。まだ聴いていないという方は、“最高の環境”が整った劇場で確認してみてはいかがだろう。

Source: CinemaBlend, No Time To Die: The Official James Bond Podcast

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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