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【ネタバレ】『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』最大のサプライズ、脚本家が解説

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
Letitia Wright as Shuri in Marvel Studios' Black Panther: Wakanda Forever. Photo courtesy of Marvel Studios. © 2022 MARVEL.

この記事には、映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のネタバレが含まれています。

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
©Marvel Studios 2022

キルモンガー再登場、なぜ実現したか

多くのファンが待望していた、しかし予想を裏切る形で実現したキルモンガーの再登場を仕掛けたのは、監督・脚本のライアン・クーグラーと、共同脚本のジョー・ロバート・コール。ふたりは前作でキルモンガーの物語を紡ぎ出した張本人でもある。米Rolling Stoneにて、コールは「ずっとマイケルを復帰させたいと思っていたし、(登場するなら)シュリが薬を飲んだ後、祖先の草原だろうと考えていました」と明かしている。「問題は、いかに実現するかということ。マイケルが素晴らしい、キャラクターが最高だという以上のものにしなければ」。

こうコールが語っているように、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』におけるこのサプライズは、他のMCU映画のサプライズとは少々一線を画している。“思わぬ人物が登場する”というサプライズが、作品上の必然性をもって行われ、しかも物語を思わぬ方向に転がしていくのだ。

「(キルモンガーの登場を)シュリの物語にとって重要なものにし、彼女にとっての転換点にするにはどうすればいいのか? 思えば(前作における)キルモンガーの物語も、復讐と怒り、フラストレーションを描いていました。そして、それは本作の前半でシュリに描いたことでもあります。彼女は喪失と怒りを感じていて、しかも母親を失ったことで復讐心が高まっていく。だから、キルモンガーはシュリに選択肢を提示するのです。キルモンガーと同じような道に進むのか、それとも別の道を行くのか。」

同時にコールは、このシーンを執筆したことで、キルモンガー自身の考え方を知ることができたと語る。それは、“いかにキルモンガーがワカンダという国を変えたか”ということだ。科学者であるシュリへの認識の変化や、ワカンダと諸外国の交流、そして以前はティ・チャラ以上の孤立主義者だったラモンダが、アフリカ系アメリカ人であるリリを守ったこと……。キルモンガーが劇中で語るように、コール自身も「これらはキルモンガー以前にはありえないことだったかもしれない」と強調する。

思わぬ形となったキルモンガーの再登場を、コールは「シュリにとっても、ワカンダという国にとっても重要なシーンになった」と自負する。もっともキルモンガーの問いは、その後、シュリとラモンダによって克服されるのだ。ネイモアを追い詰め、いよいよ殺すかという瞬間に、再び祖先の草原が(今度はシュリの脳裏に)現れる。母・ラモンダは、そこで静かに「あなたが何者かを示しなさい」と語った。この言葉を聞いたシュリとワカンダは、再び新たな方向に歩みはじめることになる。

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は2022年11月11日(金)より公開中

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Sources: Rolling Stone, Entertainment Tonight

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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