なぜ『クレイフェイス』を観ると、ヴィラン名ではなく本名「マット・ヘーゲン」で呼びたくなるのか【限定】

ジョーカー、ペンギン、リドラー、スケアクロウ。バットマンの宿敵たちを語るとき、私たちは彼らをヴィランとしての名前で呼ぶ。しかし、DCのヴィラン映画『クレイフェイス』を観終えると、どうにも「クレイフェイス」ではなく、本名である「マット・ヘーゲン」と呼びたくなる。それほどまでに、怪物へと変貌するひとりの男の人生に、深く感情移入してしまうのだ。
本作は、バットマンの宿敵として知られるクレイフェイスの誕生を描く、異色のボディホラー作品。主人公は、ある事件によって顔とキャリアを失った俳優マット・ヘーゲン(トム・リス・ハリス)。失った人生を取り戻そうと禁断の治療に手を伸ばしたことから、恐ろしい変貌を遂げていく。
恐怖と悲劇が交錯する本作の大きな魅力は、怪物になる男を、最後までひとりの人間として見つめずにはいられないところにある。彼は確かに恐ろしい存在へと変わっていく。しかし、観客はその姿に恐怖するだけでなく、彼の境遇に胸を痛め、どうにか救われてほしいと願ってしまう。
THE RIVERは、主演のトム・リス・ハリスと共演のナオミ・アッキーに、この感覚について尋ねた。なぜ本作は、ヴィランとなる主人公の人間性と物語にこれほど深く感情移入できるのだろうか?
ハリスは、マットという人物の悲劇を端的に表現した。「マット自身は、クレイフェイスになりたいなんて思っていないんですよね。自分があんな存在になるなんて、想像もしていなかったと思います」。
マットはもともと怪物になりたいと願う悪人ではなく、人生を取り戻したかったひとりの人間なのだ。アッキーもまた、マットの運命には深い悲劇性があると語る。
「彼が最終的にあのような存在へと変わっていく過程には、とても悲劇的なものがあります。彼が置かれた状況は本当に過酷で、だからこそ、観客も彼に深く感情移入するんだと思います。
「ある時点で彼の中のスイッチが切り替わり、完全に常軌を逸してしまうまでは、彼の身に起こることの多くが、本人の意思とは関係なく進んでいくんですよね。」

マットを襲う理不尽な運命。自分の意思ではどうにもならない状況に追い込まれ、少しずつ何かを失っていく姿を見ていると、彼を単なるヴィランとして割り切ることは難しくなる。「この映画の核心は、まさにそこにあると思います」とアッキーは続ける。
「観客は、ひとりの男の姿を追いながら、彼に自分自身のアイデンティティを失わないでほしいと願うんです。彼に心から共感しているからです。それなのに、彼は結局、そのアイデンティティを失ってしまうんですよね。」
怪物としての姿を目の当たりにしても、私たちはその内側にマット・ヘーゲンの心を探してしまう。恐ろしくも切ない、異色の怪人誕生譚だ。
映画『クレイフェイス』は2026年10月30日(金)全国公開。THE RIVER公式YouTubeチャンネルでは、主演のトム・リス・ハリスと共演のナオミ・アッキー、ジェームズ・ワトキンス監督への貴重なインタビュー動画を公開中だ。
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