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戦地の現在描く、24時間の密室劇『シリアにて』公開決定 ─ ベルリン観客賞受賞、音響と演技で紡ぐ臨場感とサスペンス

シリアにて
(c) Altitude100 – Liaison Cinématographique – Minds Meet – Né à Beyrouth Films

ベルリン国際映画祭・観客賞など世界の映画祭で18冠に輝いた、“24時間の密室劇”『シリアにて』(原題:Insyriated/英題:In Syria)が、2020年8月22日(土)に岩波ホールにて公開され、全国順次ロードショーとなる。このたび、ポスタービジュアル&場面写真も到着した。

シリアにて
(c) Altitude100 – Liaison Cinématographique – Minds Meet – Né à Beyrouth Films

物語の舞台はシリア首都・ダマスカス。いまだ内戦の終息は見えず、アサド政権と反体制派、そしてISの対立が続くシリアでは、ロシアの軍事介入により、アサド政権が力を回復しつつあった。戦地に赴いた夫の留守を預かるアパートの女主人・オームは、家族とアパートの一室にこもり、身を寄せたる隣人のハリマ夫婦と赤ん坊とともに生活を続けている。

ところがある日、レバノンへの脱出計画を立てていたハリマの夫は、アパートを出たところをスナイパーに銃撃され、倒れてしまう。一部始終を目撃したメイドのデルハンはあわててオームに知らせるが、外に出るのはあまりにも危険で、助けに行くことはできない。デルハンは夫が撃たれたことをハリマに伝えようとするも、オームはハリマが狙撃されることを恐れ、デルハンを押しとどめるのだった。赤ん坊がいるハリマのため、オームは苦渋の選択をする……。

シリアにて
(c) Altitude100 – Liaison Cinématographique – Minds Meet – Né à Beyrouth Films

本作は、第72回カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞受賞作『娘は戦場で生まれた』で注目されたシリアの現在を、武器を持たない一般女性の視点から、アパートの一室を舞台に描いた密室劇。監督・脚本は、ルワンダ紛争での大量虐殺を描いた『The Day God Walked Away』(2009)を手がけたベルギーの社会派監督フィリップ・ヴァン・レウ。友人の父親がシリア北部・アレッポの住居から3週間出られなかったという実話から着想し、シリア難民やシリア系の映画人による検証を経て、緊迫の物語をリアルに描き出した。直接的な暴力描写ではなく、聴こえてくる音と住人の反応によって恐怖を伝える演出は、戦地に立ち会っているかのような臨場感と、血も凍るようなサスペンス性を獲得。現在進行形のシリアの悲劇を世界に伝える役割を果たした。

シリアにて
(c) Altitude100 – Liaison Cinématographique – Minds Meet – Né à Beyrouth Films

女主人オームを演じるのは、イスラエル生まれのパレスチナ人として知られる名女優ヒアム・アッバス。『シリアの花嫁』(2004)『ガザの美容室』(2018)などイスラエル・パレスチナにまつわる多数の映画に出演し、『ミュンヘン』(2005)『ブレードランナー 2049』(2017)などのハリウッド映画でも活躍する。隣人ハリマ役は『判決、ふたつの希望』(2018)で弁護士役を演じ賞賛されたディアマンド・アブ・アブード。カイロ国際映画祭では主演女優賞を獲得した。

映画『シリアにて』は2020年8月22日(土)より岩波ホールにてロードショー。そのほか全国順次公開予定

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THE RIVER編集部THE RIVER

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