Menu
(0)

Search

『メッセージ』作曲家ヨハン・ヨハンソン初監督作『最後にして最初の人類』日本公開決定 ─ 没後完成の遺作、ナレーションはティルダ・スウィントン

最後にして最初の人類
(c)2020 Zik Zak Filmworks / Johann Johannsson

『メッセージ』(2016)や『ボーダーライン』(2015)『博士と彼女のセオリー』(2014)の作曲家、ヨハン・ヨハンソンの初監督作品にして遺作となった映画『Last and First Men(原題)』が、邦題『最後にして最初の⼈類』として、2021年7⽉23⽇(⾦)より全国順次公開となることが決定した。あわせて、予告編とティザーポスターが公開されている。

アイスランド出⾝の作曲家ヨハン・ヨハンソン(1969〜2018)は、クラシックと電⼦⾳を融合させた⾳楽スタイルで知られ、映画・舞台・コンテンポラリーダンスなど幅広いジャンルで活躍。『博⼠と彼⼥のセオリー』でゴールデングローブ賞作曲賞を受賞し、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『メッセージ』でも同賞にノミネートされて世界的注⽬を集めた。そのほか、音楽を手がけた作品に『プリズナーズ』(2013)『マザー!』(2017)『マグダラのマリア』(2018)『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(2018)などがある。

ところが、ヨハンはキャリア絶頂期の2018年2⽉9⽇に48歳で急逝。シガー・ロス、マックス・リヒターなど世界中のアーティストが追悼のコメントを寄せ、⽣前親交のあった坂本⿓⼀も「これから何度も共に⾳楽を作ることになるだろうと思っていました。そんな彼が何も⾔わずに突然去ってしまい、ぼくを含めて残された者はただ呆然としています」との追悼⽂を寄せた。

長らく日本公開が待たれていた本作『最後にして最初の⼈類』は、もともとシネマ・コンサートの形式で上演されていた作品に基づく。ヨハンソンが監督した16mmフィルムの映像をスクリーンに投影し、⼥優のティルダ・スウィントンが朗読し、ヨハンソンのスコアをオーケストラが⽣演奏するスタイルで上演されていたものを、ヨハンソンの没後、撮影監督のシュトゥルラ・ブラント・グロヴレンらスタッフが⻑編映画として構成。2017年7⽉の初演(イギリス・マンチェスター)を再現するよう努めた。ヨハンソンの死から2年を経て、2020年2⽉のベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映されている。

原作は、英国の哲学者・作家であるオラフ・ステープルドンが1930年に発表した『最後にして最初の⼈類』(邦訳絶版)。20世紀を代表するSF作家、アーサー・C・クラーク(『2001年宇宙の旅』)にも⼤きな影響を与えたといわれるSF⼩説の⾦字塔だ。20億年先の未来に⽣きる⼈類第18世代のひとりが、20世紀に⽣きる第1世代の私たちにテレパシーで語りかける内容は、期せずしてヨハンソンの出世作『メッセージ』の世界観とも響き合う。

公開されたティザーポスター&予告編では、旧ユーゴスラビアに点在する「スポメニック」と呼ばれる巨⼤な戦争記念碑が目を引く。これは第⼆次世界⼤戦の対ドイツ戦で犠牲となった⼈々を追悼し、社会主義の勝利をアピールすべく建設された数々のモニュメント。その巨⼤かつ奇怪なデザインはどこか美しく、謎めいた想像⼒をかきたて、スウィントンのナレーションとともに観客を時間旅⾏へと誘うことだろう。

最後にして最初の人類
(c)2020 Zik Zak Filmworks / Johann Johannsson
最後にして最初の人類
(c)2020 Zik Zak Filmworks / Johann Johannsson

映画『最後にして最初の人類』は2020年7月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国順次公開

Writer

アバター画像
THE RIVER編集部THE RIVER

THE RIVER編集部スタッフが選りすぐりの情報をお届けします。お問い合わせは info@theriver.jp まで。