ジョナサン・メジャース、実刑は免れるかもしれない? ─ 控訴の可能性、専門家らが見解

マーベル・シネマティック・ユニバースの征服者カーン役などで今後最も注目される俳優だったジョナサン・メジャースが、元交際相手のグレイス・ジャバリに対する暴行とハラスメント容疑で有罪となった。ディズニーからは解雇され、カーン役も失った。判決日は2024年2月6日。最長で1年間の禁固刑の可能性がある。
ところが専門家は、メジャースは実際には禁固刑は課せられないだろうといい、さらに有罪判決を不服として控訴する可能性も高いという。米The Hollywood Reporterは本件について複数の弁護士に見解を尋ねており、市民権や刑事事件の弁護士キャリー・ロンドンは、次のように述べている。
「今回は被告にとって初めての有罪判決ということもありますので、厳密には1年間の禁固刑の可能性に直面しているわけではありますが、99%は3年間の保護観察処分、アンガー・マネジメントと、おそらく社会奉仕活動が下されると思います。メジャース氏は刑務所には入らないでしょう。」
ロンドによれば、特にニューヨーク州では家庭内暴力事件が裁判となることは極めて稀なのだという。被告は、より重い量刑の可能性を避けるために、より軽い罪状で有罪を認める傾向にあるためだそうだ。「裁判になったことが驚きです。彼が有名人だから、ということなのでしょう」と、刑事事件弁護士マーク・ジェラゴスは述べている。一方、本件では非公式の司法取引が行われたかどうかは不明。
それではなぜメジャースは、結果的に有罪となった裁判に挑んだのだろう?別の刑事事件弁護士ケイト・マンゲルスは、「司法取引ではなく公開裁判によって、メジャースは自身の汚名をそそぐことを望んだのではないか」との見解を加えている。
メジャース側には勝算があった。ロンドンは当初、メジャースが優勢だと見ていたという。ジャバリが事件後すぐに治療を受けずにクラブに出かけていたことや、ジャバリの方が加害者のように見えたとする証言もあったためだ。また米TMZが入手した事件当時の防犯カメラ映像では、メジャースがジャバリからひたすら逃げ走る様子も確認できる。
「しかし、メジャースの弁護人がミスを犯し、モリニュー・ルールの扉を開いてしまった」とロンドン。モリニュー・ルール(Molineux Rule)とは、起訴された事件の重要な争点と論理的に関連付けられるものであれば、被告人の過去の悪行に関する証拠が認められる場合がある、というニューヨーク州の法律用語で、米国では“チャンスの法理(Doctrine of Chances)”という名でも知られる。
今回のケースでは、原告側の弁護士はジャバリとメジャースの過去のテキストメッセージや音声を持ち込むことを許された。これは2022年9月に記録されたというもので、音声ではメジャースがジャバリに対して「自分は偉大な男だ」と迫り、「僕を支える女性は、偉大な女性でなければいけないし、男が尽くしているようなやり方で(女性も)自分を犠牲にしなければいけない」と声を荒げる様子が録音されていた。また、両者間で交わされたというテキストメッセージのスクリーンショットでは、メジャースがジャバリの頭に怪我をさせた後に、病院に行かないようにと念を押すやり取りも確認できる。
これらは今回の暴行事件に直接関与するものではないが、モリニュー・ルールによって法廷に持ち込まれ、明らかにメジャース不利に働いた。こうした過去の証拠の提出は果たして認められるべきものだったのか、陪審員に見せるべきものだったのかという点について、被告側が控訴する可能性もあるのではないかと、複数の弁護士が見解を寄せているということだ。
もっとも、もし控訴するとなれば、ただでさえ問題視されている過去の音声やメッセージについて、より注目が集まることになる。もちろん、時間や費用もさらに生じることに。このスキャンダルと裁判によって既に多くを失ったメジャースはどう出るか。
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Source:The Hollywood Reporter,TMZ