マーベル、征服者カーンのヴィラン交代を検討か ─ 候補にドクター・ドゥーム、ジョナサン・メジャース逮捕を受けて

マーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）で征服者カーン役を演じるジョナサン・メジャースの逮捕を受けて、マーベル・スタジオがヴィランの変更を含めた代替案を検討していたことが米Varietyの報道で明らかになった。あわせて、その内容も伝えられている。

2023年3月、メジャースは知人女性に対する暴行容疑で逮捕された。その後、所属エージェントやPR会社との契約が打ち切られ、出演予定だった新作からの降板も発表。キャリアに暗雲が立ち込めており、現在は11月下旬の公判を控えている。

逮捕後、大きく懸念されていたのが、ディズニー／マーベル・スタジオで展開されるMCUをめぐる今後の扱いだ。現在配信中の「ロキ」シーズン2では推定無罪の原則に従う形で主要キャストとして出演を継続しているが、もしメジャースが有罪となれば続投は厳しくなってくる。

実際、マーベルはその可能性を鑑み、バックアッププランを検討していたという。メジャース逮捕後のある時点で、米リゾート地のパーム・スプリングスではスタジオ幹部を集めた会議が開かれ、ヴィランの変更に関する議論も行われたとのこと。そこで新たな候補として白羽の矢が立ったのが、ドクター・ドゥームだった。『ファンタスティック・フォー』の人気ヴィランとして知られ、過去には単独映画も検討されたキャラクターだ。

もっともメジャースは、すでに新たなラスボス級のヴィランとして「ロキ」や『アントマン＆ワスプ：クアントマニア』に登場してしまっており、手遅れの感は否めない。「ロキ」シーズン2の最終話を鑑賞したという関係者は、その内容を踏まえた上で、カーン離脱の影響の大きさを示唆している。

「さすがのマーベルでもカーン全体にはお手上げなのではないか。彼らは最近まで（ストライキの影響で）脚本を書き直すことができませんでした。とはいえ、彼（カーン）でどう前進していくのか、その道筋が見えませんね」。

その一方、「メジャースの訴訟問題の結果にかかわらず、マーベルはメジャース主導のフェイズから離れることも検討した」と証言するスタジオ関係者もいる。同氏はその要因が『アントマン&ワスプ：クアントマニア』の興行的失敗にあると述べているが、軌道修正の道筋は定かでない。

代役の起用という選択肢もあるだろう。役柄の重要度こそあれ、『アイアンマン』（2008）でローディを演じたテレンス・ハワードの代役としてドン・チードルが起用された先例もある。これを踏まえ、Varietyは「マーベルは派手な発表をした後でさえ、方針の変更を恐れていない」と伝えている。

10月末には、ディズニー傘下サーチライト・ピクチャーズが配給を務めるメジャース主演映画『Magazine Dreams』の米公開日が撤回されたばかり。今後の展開に悲観的なディズニーの意向もうかがえるが、まずは11月下旬に行われる公判の行方を注視するほかなさそうだ。

Source:Variety