中谷直登 2023.10.30 11:43 News | Tv/Movie

ジョナサン・メジャース、12月の主演映画が米公開中止 ─ ディズニーが取り下げる

ジョナサン・メジャース Jonathan Majors — Anthony Behar/Sipa USA/Newscom/Zeta Image

暴行容疑で渦中にある俳優ジョナサン・メジャース出演の予定作『Magazine Dreams』2023年12月8日の米劇場公開が中止となったことがわかった。米Deadlineが伝えている。メジャースにとって重大な事態となりそうだ。

ついに巨人のディズニーが動いた。『Magazine Dreams』はディズニー傘下サーチライト・ピクチャーズ配給の映画で、メジャースがボディビルダーを演じる物語。『クリード過去の逆襲』でも見事な肉体を披露していたメジャースが、さらに過酷なボディメイクを経て熱演した。1月のサンダンス映画祭で上映されると大絶賛され、スコセッシの傑作『タクシードライバー』（1976）と比較されたり、メジャースはオスカー最優秀男優賞もあり得るのではないかと話されたりするほどだった。

ところがメジャースは、3月に交際相手とされる女性に対する暴行容疑で逮捕。裁判に向けてはメディアも巻き込んだ様々な駆け引きが展開された。メジャース側は起訴取り下げを求めていたが裁判所によって棄却され、公判は11月29日（現地時間）に設定された。

3月の逮捕から程なくして、メジャースは所属タレントプロダクションやPR会社との契約を打ち切られたり、イベントへの出演を取りやめたり、内定していた複数の映画やCM企画からも降板したりする事態となっていた。一方、メジャースと最も巨大なプロジェクトを共有するディズニーは静観の構えだった。

メジャースはマーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）で今後複数年にわたって「征服者カーン」と呼ばれる最重要キャラクターのひとりを演じることになっており、すでにドラマ作品や映画にも登場済み。仮にメジャースが暴行で有罪ともなれば、グローバル企業のディズニーが起用を続けられるはずもない。メジャースは10月から配信が開始されたディズニープラスのドラマ「ロキ」シーズン2にも出演しているが、ここでは推定無罪の原則に従うようにして、出番のカットなどもされずに登場できている。

公判が公開予定日（12月8日）の1週前に定まったことで、裁判の行方次第では映画の公開が相応しくないと判断される可能性もあり、配給は前もって作品を取り下げた形だ。当然のことながら、成り行き次第でディズニーはマーベル・スタジオでの取り扱いについても同様の措置を行うことができる。つまり、カーン役交代の可能性もゼロというわけではないということが、今回の『Magazine Dreams』中止によって改めて示されたわけである。

業界ではメジャースの今後について、ディズニーの出方を伺っていたところもあっただろう。もちろん、全ては裁判の行方による。「メジャースにとって全てがうまくいけば、新年のカレンダーは実に多くのプロダクトを必要とするだろう」と、Deadlineは年明けの公開もあり得ると見ている。まずは11月29日の開廷を注意深く見守る必要がある。