この記事には、『シャン・チー／テン・リングスの伝説』のネタバレが含まれています。

『シャン・チー』ふたりにあるのは友情？恋愛？

『シャン・チー／テン・リングスの伝説』は激しいアクションと緊張感あるストーリーが進められ、終盤ではファンタスティックな動物も飛び出す怒涛の展開を迎えたが、それでも地に足の着いた感触を得られるのは、間違いなくシャン・チー（シム・リウ）とケイティ（オークワフィナ）の名コンビのおかげだろう。

サンフランシスコのホテルマンとして共に働くシャン・チーとケイティ。もう10年来の付き合いだという2人は、朝まで2人でカラオケオールをする仲だし、家族の食事にも招かれている。ある日突然シャン・チーが謎の用事でマカオに行くだなんて言い出したときもケイティは身一つで同行したくらいだから、相当な信頼関係だ。

スーパーヒーロー映画のヒーローとは、常軌を逸した戦いに身を投じる自分の理解者を探すのにたいていは苦労するもの。相棒ネッドに恵まれたピーター・パーカーがそうであったように、物語のはじめからケイティという理解者が得られていたことは、シャン・チーにとってはもちろん、我々観客にとっても非常に心強く感じたはずだ。

そんな2人の男女の友情には、誰もが爽やかな気持ちにさせられただろう。シャン・チーはケイティの祖母にいつ結婚するんだいなんて突っつかれてもいたが、どうやら2人は恋愛関係には発展しないらしい。フツーだと思っていたはずが実はカンフーの名手だったシャン・チーが自分のピンチを救ってくれようとも、いつの間にか弓術を体得して世界の危機を救ったケイティが凛とした姿を見せようとも、過去を晒しても、肩を寄せ合っても、2人はいわゆるロマンス的な胸キュンは見せない。劇中ではあくまでも男女の友情が貫かれ、恋愛ドラマのようには発展しないバランス感覚に好感を覚えた観客も少なくないのでは。

シャン・チーとケイティは恋仲なの？なんて尋ねるのは野暮だとは思うが、海外のインタビューでシム・リウとオークワフィナはこれを聞かれている。

「どうなんでしょう。あの2人にあるのは、すごくすごく強い友情です」と米Entertainment Tonightに答えているのは、ケイティ役のオークワフィナ。「その友情とは、ケイティ側の忠誠心や盲目的な信頼に基づくものです。それから、言わずともわかる関係っていうんですかね。この映画でシャン・チーは様々なことを経験します。なので、神経質なガールフレンドは合わないんじゃないんでしょうか。とにかく、もし何か起こるのだとしたら、それはあの友情の上に成り立つものだと思います」。

シャン・チー役のシム・リウは、「ショーンとケイティは互いに支え合う、素晴らしい関係を築いていると思います。そういう意味では互いに愛し合っているのでは」と、米The CS Networkで持論を述べている。「彼らには呑気なエネルギーがあるから、一緒にいると本当の自分になれるんですよね。それがロマンスかどうかは、僕が決めることじゃないかな」と続け、結論を急ぐことには否定的だ。「またあのキャラクターを演じる機会があると良いなと思います。そうしたら、どうなるかわかるかもですね」。

ちなみに『シャン・チー』の続編や今後のMCU登場に関する確たる発表はなされていないが、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは既に今後のアイデアがあると語っており、本編終了後のポストクレジットシーンでの示唆もあって、将来的な再登場は間違いないだろう。もし、そこでシャン・チーとケイティが明らかな恋仲に発展したら、あなたは祝福する？それとも興ざめする？

Source:Entertainment Tonight,The CS Network