MCU『ブレイド』頓挫の元監督、それでもケヴィン・ファイギを絶賛 ─ 「批判は多いが、彼は素晴らしい」

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)版『ブレイド』で監督を務めるはずだったバッサム・ターリクが、企画の頓挫を経て得た学びを振り返り、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギに感謝を示した。「大きく考えることを教えてくれた」という。
米ComingSoonのインタビューで語った。ターリクは当初、マハーシャラ・アリ主演の『ブレイド』を監督する予定だったが、2022年9月に降板。現在はアリと再びタッグを組み、新作アクション映画『Your Mother Your Mother Your Mother(原題)』を完成させている。
実現しなかった『ブレイド』の経験から、何かポジティブなものを得られたかと尋ねられたターリクは、「もちろんです」と即答。ファイギの仕事ぶりを次のように称賛した。
「正直に言って、ケヴィン・ファイギは僕に、大きく考えることを教えてくれました。彼ら(マーベル)にはいろいろな批判が向けられていますが、ファイギは『どうすれば、さらにハードルを上げられるか?』と考えることに関して、本当に素晴らしい人なんです。」
ターリクによれば、マーベルでは作品をさらに良くするための工夫を「プラッシング(plussing)」と呼んでいたという。「確か、彼らはそういう言葉を使っていたと思います」と振り返り、自身も同じように「どうすれば、それができるだろう?」と考えるようになったと語った。
「プラッシング」は、他人のアイデアを否定せず、さらにプラスの発想を付け加えていくウォルト・ディズニー式の手法。ファイギ自身も2025年7月、マーベルでは「あらゆる局面で」プラッシングを行っていると説明していた。俳優から生まれるアイデアも積極的に取り入れ、撮影中も作品を改善し続けるという製作哲学だ。
実際、この方針は『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の現場でも採用されている。ルッソ兄弟監督は「脚本は生き物」との考えを明かしており、リハーサルや即興から生まれるアイデアを脚本に反映させていた。ターリクがファイギから学んだのも、こうした柔軟な映画作りの姿勢だったようだ。
もうひとつ、ターリクが得たものは、観客の声に耳を傾けることの重要性だ。マーベル作品では内容の秘密を守る必要があるため、観客を招いての試写にも慎重にならざるを得ない。一方、自身の新作ではさまざまな観客に映画を観てもらい、その反応を作品に反映させることができたという。
具体的には、どのシーンをカットすべきか、どこに説明を加えるべきか、アクションをどうすれば効果的に見せられるかといった判断に、観客の反応が役立った。「いろいろな観客と一緒に映画を観ることは、謙虚な気持ちにさせられる体験でしたし、この映画が何なのかを見つけるうえで、本当に助けになりました」と語っている。
また、その過程で「この映画が万人向けではない」という現実も受け入れられるようになったという。「僕はみんなに好かれたいと思ってしまうので、それを理解するのも難しいことだったんです」と率直に明かした。
MCU版『ブレイド』は2019年にアリ主演で製作が発表されたものの、監督や脚本家の交代、公開延期を繰り返し、ついに実現しなかった。ファイギ自身も2026年7月、アリ主演版を軌道に乗せられなかったことについて「とてつもない負け犬で、失敗者になったような気分」だと語っている。
一方、アリも2026年7月のインタビューで企画から離れたことを認め、マーベル側に苦言を呈していた。ただし、『ブレイド』での経験が無駄になったわけではない。アリは米GQのインタビューで、同作のために習得した剣術やアクションの技術を『Your Mother Your Mother Your Mother』で生かせたと語っている。
ターリクが脚本・監督を務める『Your Mother Your Mother Your Mother』は、信仰心の篤い殺し屋ラティフ(アリ)が、妻の死をきっかけに父親としての責任と信仰、暴力の間で葛藤するアクション映画。ターリクはかつての大作企画で学んだスケールの大きな発想を、より個人的な物語へと持ち込んだ。
『Your Mother Your Mother Your Mother(原題)』は2026年9月25日より米国で限定公開。10月9日より公開規模を拡大する。日本公開情報は未定。
▼ 『ブレイド』の記事
Source:ComingSoon, GQ




























