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【ネタバレ】『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』キングギドラ、3つの頭に個性あり ─ 性格の差、撮影技法など監督が解説

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
©2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

キングギドラに与えられた「3つの性格」

Entertainment Weeklyにて、プロダクション・デザイナー(美術監督)のスコット・チャンブリス氏は、キングギドラについて「(表現するのが)大変な存在だった」と振り返っている。

課題のひとつは、現在の私たちの文化にドラゴンがあふれ返っていること。(登場する怪獣の中で)最もつまらないものになってしまうリスクがあったわけです。そこでマイケルは、(キングギドラに)とても人間的な特徴を当てはめました。[中略]キングギドラは3つの頭を持っていますから、ひとつの生物に、異なる3つの側面を与えることができたわけです。」

ドハティ監督にとって、キングギドラの頭が別々の性格を持っていることは「とても重要なことだった」という。かつてないアイデアだが、発想のきっかけは監督自身が動物を飼っていた経験にあった。

僕は犬を3匹飼っていたんですが、たとえ見た目が似ていたとしても、彼らはそれぞれ自分を表現する方法が違うんですよね。だから、頭のそれぞれに違った性格とクセがあるのが良いと思いました。」

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
©2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

撮影現場では、キングギドラの頭にそれぞれ別の名前が与えられていたことで知られている。日本語の数字をとって、中央の頭は「イチ」、右側の頭は「ニ」、左側の頭は「サン」と呼ばれていたのだそうだ。ちなみに、なぜか左側の「サン」だけは「ケビン」という別名が与えられていたことも明かされている。

「中央の頭が司令塔、長男のような存在で、一番まじめ。あとのふたつは少し違って、左側の頭は攻撃的でしつこいところがある。右側の頭は周囲に対して好奇心を持っています。つまり、あらゆる意味で三つ子のようなものなんですよ。似ているところもたくさんあるけれども、出来事にはそれぞれ違った反応をするんです。」

CBR.comのインタビューで、ドハティ監督は、最初にキングギドラが南極で目覚めた際の状況をこのように語っている。

「キングギドラは現代になってから初めて目覚めたわけで、兵士や、銃を持った人間なんて見たことがありません。だから、最初の反応は“攻撃”ではなく“調査”にしたかった。だから、右側の頭が下がっていって、兵士の匂いを嗅ぐんです。純粋に好奇心を持っていて、何なのかを知りたがっているんですよ。」

こうした反応も、ドハティ監督の愛犬が、裏庭にてトカゲで遊んだり匂いを嗅いだりしていたことから着想したものだという。「動物たちが好奇心を示しているところが好きなんです。いつも本能的に攻撃したり、突進したりしているわけじゃない。だから(キングギドラの)頭も、ひとつは人間に興味を持つんです。焼死体を舐めたりもするわけですが(笑)」。

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
©2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

劇中の怪獣たちは主にCGアニメーションで描かれたが、特に感情表現が必要な場面ではモーションキャプチャーが採用された。エンドクレジットでキングギドラの俳優名には「HIMSELF(本人)」との表記が与えられているが、3つの頭を演じたのは業界屈指のスペシャリストたち。数えきれないほど多数の作品でモンスターやゾンビを演じてきたアラン・マックスソン、『スパイダーマン』(2002)やテレビゲームで豊富な経験を持つリチャード・ドートン、『ランペイジ 巨獣大乱闘』(2018)でゴリラのジョージを演じたジェイソン・ライルスだ。ドハティ監督はキングギドラをリアルに表現すべく、3人を縛って撮影に臨んだという。

ところで劇中では、好奇心旺盛だった右側の頭はゴジラによって噛みちぎられてしまう。その後、新たに生えてきた頭は、もともとの性格を継承しているのか、それとも別の性格なのか? ファンの問いかけに、ドハティ監督はこう返答している。

新しく再生した頭には、かつての記憶と性格が残っています。キングギドラの神経細胞は身体や手足に散在しているんですよ。タコみたいなものです。」

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は2019年5月31日(金)より全国東宝系にて公開中。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公式サイト:https://godzilla-movie.jp/

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Sources: EW, CBR, Michael Dougherty(1, 2

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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