【解説】スーパーマンが本当に悪に堕ちた世界を『インジャスティス2』から読み解く【ジャスティスリーグ】
2016年に公開された『バットマンvsスーパーマン』ではバットマンが見た悪夢(?)にてスーパーマンが大魔王ダークサイドの兵、アポカリプスを率いて世界を征服しているらしき描写がありました。その直後に未来から来ただろうフラッシュが「鍵はロイスだ」とバットマンに警告します。
原作コミックにおいて、スーパーマンが悪に墜ちたというと記憶に新しいのは『EARTH2』にてステッペンウルフに囚えられ、醜悪なクローンとして世界征服に乗り出す、というエピソード。『ジャスティスリーグ』のヴィランがステッペンウルフということから可能性としては無視できないものがあります。
スーパーマンがロイスとジョーカーを殺害
この見出しの時点でショッキングですが実際の展開はさらに悲劇的です。
ある夜、スーパーマンはロイスの妊娠を知りました。父親はもちろん、スーパーマンことクラーク・ケント本人。彼は浮かれてバットマンに会いに行き、名付け親になるように頼みます。しかし、ここでジョーカーがロイス・レーンを誘拐。助けに向かったスーパーマンの目には『バットマンvsスーパーマン』にも出た恐るべき強敵ドゥームズデイがいます。愛する妻とこれから生まれる我が子を守るため、スーパーマンは全力でドゥームズデイを倒します。
……が、スーパーマンが倒したのはドゥームズデイではなく、妊娠したロイス・レーン。幻覚ガスをジョーカーに吸わされていた彼は愛する妻と以前に自身を殺したドゥームズデイを同一視してしまったのです。
絶望したスーパーマンが世界に完全な秩序を齎す
この事件にてスーパーマンは怒り心頭になってジョーカーを殺害。これまで一切、政治に関わらなかった彼ですが考えを改めて政治、戦争に積極的に介入することを世界に発表します。これにバットマンが異を唱えたことでヒーローはスーパーマン軍とバットマン軍に分裂。MARVELの『シビルウォー』の着想元にはDC最高傑作の『キングダムカム』でしたが、『インジャスティス』はさしずめ『キングダムカム』を元にした『シビルウォー』を元にした物語と言えるかもしれません。
止まらないスーパーマンの世界征服
世界最高のヒーロー、スーパーマンが政治に関わらなかったのは彼があまりに優しすぎるからです。人の死を誰よりも悲しむ最強の力を持つ彼は死を生み出す全てを封じようとします。
5年間にも渡って続くスーパーマン軍とバットマン軍の戦争。ダークサイドがスーパーマンに敗北し、グリーンアローがスーパーマンに殺害され、バットマンの息子のナイトウィングは四代目ロビンのダミアンに殺されます(完全な事故ですがこじれにこじれました)。宇宙の守護者、グリーランタンはほぼ全滅し、フラッシュとシャザムは葛藤しつつもスーパーマンに付いていきます。神々すら退けたスーパーマンの攻撃ででジリ貧に陥ったバットマンは並行世界のジャスティスリーグを召喚し、最終的には善のスーパーマンと悪のスーパーマンの対決で事態を解決させます。
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