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ハーヴェイ・ワインスタインの性暴力問題が原案、ハリウッド内幕映画の米国公開が決定 ─ ワインスタインにあたる人物は劇中に登場せず

ハーヴェイ・ワインスタイン
Photo by Thomas Hawk http://flickr.com/photos/thomashawk/19642610362/

2018年、長年にわたるセクハラと性暴力が相次いで告発されたハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの問題を原案とする、業界の内幕を描いた映画『ジ・アシスタント(原題:The Assistant)』が、2020年1月31日に米国で公開される。米Deadlineによると、国内での配給権を『ローガン・ラッキー』(2017)や『残された者 -北の極地-』(2019年11月8日公開)などを手がけた米Bleecker Streetが獲得した。

物語の主人公は、大学を卒業したばかりで、映画プロデューサーを目指している女性ジェーン。エンターテインメント業界で権力を持つ大御所のアシスタントとして、“夢の仕事”に就いたばかりという設定だ。ジェーンは日々の仕事をこなしていくうち、仕事のあらゆる面をおぞましく染め上げていく嫌がらせの事実を意識していく。傷を負っていく中でジェーンは立ち上がるも、自分が入った世界の“深みにある真実”を知ることになり……。

 
 
 
 
 
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I did a movie called THE ASSISTANT that premiered last night here in Telluride. Was such a special shoot and an IMPORTANT story. Directed by the brilliant @kittygreen. #telluridefilmfestival ❤️

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主人公ジェーンを演じるのは、「オザークへようこそ」(2017-)で第71回エミー賞のドラマ部門助演女優賞に輝いたジュリア・ガーナー。「ジ・アメリカンズ」(2015-2018)やNetflixドラマ「マニアック」(2018)など、話題のドラマに連続して出演しているハリウッドの注目株だ。共演者は「サクセッション」(2018-)のマシュー・マクファディン、『シエラ・バージェスはルーザー』(2018)『アポストル 復讐の掟』(2018)のクリスティン・フロセス

脚本・監督は、1996年に発生したジョンベネ殺害事件を、事件の再現ドラマのために集まった俳優たちの推理を積み重ねて描くという異色のドキュメンタリー映画『ジョンベネ殺害事件の謎』(2017)を手がけたキティ・グリーン。本作では、ワインスタイン問題を原案として扱うため、ワインスタイン・カンパニーや、ワインスタインが設立したミラマックス社の元従業員を含む業界関係者への聞き取りを6ヶ月にわたって実施したという。

グリーン監督は本作において、ワインスタイン本人にあたる“権力者”の人物が劇中に登場しないというアプローチをあえて採用。主人公の身に起こる出来事は、ワインスタイン問題と明らかな共通点を持つ形で描かれるというが、特定の人物や企業に対象を絞り込まない方針だ。監督は「ワインスタイン・カンパニーや特定の出来事についての映画として、単純化されてしまうと思いました。(描いているのは)この業界や、世界のあちこちで起きている問題です」と述べている。監督は関係者への聞き取りを通じて、ハリウッドで起きている問題と、他業界の問題がよく似ていることを踏まえて、本作の製作にあたったということだ。

なお本作の利益のうち10%は、女性や家族の安全と経済的保証、健康を促進する「ニューヨーク女性財団(The New York Women’s Foundation)」の支援に充てられるとのこと。プロデューサーのP・ジェニファー・ダナ氏は「独自の映画体験において、またジェンダーや権力、職場における女性の役割といった現在進行形の話題に貢献できることにおいて、この作品を誇りに思います」とコメントしている。

映画『ジ・アシスタント(原題:The Assistant)』は、2020年1月31日に米国公開予定

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Source: Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。