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【ネタバレ】『ザ・スーサイド・スクワッド』には、ジェームズ・ガン&ワーナーが「さすがにやり過ぎた」と思ったシーンがある

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結
(c)2021 WBEI TM&(c)DC

この記事には、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』のネタバレが含まれています。

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結
© 2021 WBEI TM & © DC

ブラッドスポートvsピースメイカー

米Varietyにてガンが挙げているのが、『ザ・スーサイド・スクワッド』の前半に用意された、ブラッドスポート(イドリス・エルバ)とピースメイカー(ジョン・シナ)が張り合うシーンだ。リック・フラッグ(ジョエル・キナマン)が誘拐されたのち、チームのメンバーはゲリラの拠点に踏み込み、人々を次々に殺していく……。ガンは「笑わせながら作品の核に向かっていく」場面であり、自身が大好きなシーンだと語っている。

「ブラッドスポートは、自分がひとりの男性であり、またリーダーであることと、有害な男性であることは同じではないのだと学んでいきます。むしろ、弱さこそが真の男らしさにつながっている。(このシーンは)その過程で、二人が男らしさを激しく争うという場面です。」

しかし、ガンは「懸念もいろいろあった」と認めている。なにしろブラッドスポートとピースメイカーが殺したのは、敵対するゲリラでもテロリストでもない、何の罪もない人々なのだ。ブラックユーモアで彩られてはいるものの、ガンもスタジオ側も、この場面には心配の声を漏らしたという。「ある試写の後、“ヤバいぞ、やり過ぎた、ここが限界かな”と思っていたら、ワーナーの幹部たちから“ここはやり過ぎじゃない?”と言われた」とはガン自身の談だ。

ここでガンが提案したのが、“すべてアマンダ・ウォラーの命令だったことにする”という解決策だった。ウォラーがチームに対し、全員の殺害をはっきり命じる場面を追加したのである。「つまり、彼らは命令に従っているだけ。ある意味、ウォラーはこの映画の悪役ですから」。人々を自主的に殺すのか、命令に即して殺すのかでは、キャラクターに対する観客の感情も変わってくるだろう。ブラッドスポートとピースメイカーの物語をきちんと伝えるための改変だったのである。

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結
(c)2021 WBEI TM&(c)DC

ちなみに、ガンは同じく“やり過ぎた”として手を加えた要素をもうひとつ明かしている。映画の結末において、ブラッドスポートは米政府による実験の映像データをウォラーに送っているが、その中には、コルト・マルテーゼの大統領とロナルド・レーガン元米大統領が並んでいる映像があったというのだ。「もう少し目立っていたんですが、やめておきました。不必要にストーリーに集中できなくなってしまうと思ったから」。あくまでも、ガンが物語を大切に考えていることがわかるエピソードである。

映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は2021年8月13日(金)より全国公開中。

Source: Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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