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『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』米ライブ付き上映で再び話題、ダスティン・ホフマンや「MUSE」マット・ベラミーも参加

Tomdog https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Anvil_backstage_at_the_2010_Independent_Spirit_Awards.jpg

2022年9月22日(現地時間)、ドキュメンタリー映画『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』(2008)が劇場公開から13年の年月を経て、ロサンゼルスのサバンシアターで再上映された。ダスティン・ホフマンやロックバンド「MUSE」のフロントマン、マット・ベラミーといった錚々たる顔ぶれがレッドカーペットを賑わせたことを米Deadlineが報じている。

『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』は、1980年初頭に人気を誇ったものの、その後シーンから遠ざかっていたカナダのヘヴィメタルバンド、アンヴィルを追うドキュメンタリーだ。バンドの創設メンバーであるスティーヴ・”リップス”・クドロー(ボーカル/ギター)とロブ・ライナー(ドラムス)が、ケータリングや建設現場で日雇いの仕事をこなし、挫折に挫折を重ねながらも音楽活動を続ける姿を描いた。メガホンを取ったのは自身が10代からアンヴィルのファンであり、後に彼らのローディも担ったサーシャ・ガヴァシ。ガヴァシはスティーヴン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス出演の映画『ターミナル』(2004)を筆頭にキャリアを重ねる脚本家だったが、ハリウッドで得た報酬を投じてアンヴィルを追うドキュメンタリー製作にあたった。

夢を諦めずに返り咲こうと奮闘する様子を描いたこのドキュメンタリー映画は2008年にサンダンス映画祭で初上映後、高い評価を博し、マイケル・ムーアをして「ここ数年で最高のドキュメンタリー作品。ロックな映画だ!」と言わしめたほど。しかしなぜこのタイミングで再上映が行われたのか。その背景にはパンデミックが終息しつつあるタイミングで、ガヴァシが自宅で開催した本作の上映会があった。

「プロデューサーを務めたレベッカ・イェルダムの息子リオが、理屈抜きに映画を楽しんでいる様子に驚いたのです。『やっとパンデミックが終わったよ。この数年ロックダウンでろくに人付き合いもできなかった』のだと。」

17歳の少年の率直なリアクションに心を打たれたガヴァシを更に後押ししたのは、同じく上映会に招待されていたロバート・シュワルツマンだ。コッポラファミリーの一員でロックバンド「Rooney」のシンガー、そしてインディペンデント系配給会社「Utopia」のファウンダーの顔も持つ彼が「これは古い料理の温め直しなんかじゃない。新しい新鮮な一皿になり得る。若者向けの完全に新しい映画、マーケットとして出すべきだ」と激励し、Utopiaの配給によりライブパフォーマンス付きのプレミア上映を実現する運びとなった。

映画の成功によりアンヴィルはロック界の超大御所AC/DCの前座としてツアーを同行、深夜トーク番組シリーズ『ザ・トゥナイト・ショー』に出演するなど躍進を続けたものの、何もかもが完璧というわけにはいかなかった。2014年には続編としてイスラエル人、パレスチナ人とともにコンサートを開催する『Anvil 2: The Quest for World Peace(原題)』の計画が浮上していたが、激化する中東情勢を受けて実現には至らなかった。また、ガヴァシも音楽ドキュメンタリーの製作オファーを数々受けたが、なかなか目を向けられなかったという。ガヴァシにとって、それだけアンヴィルが大きな存在だったということだろう。

ガヴァシによると、ライブパフォーマンス付き上映はこの先もまた可能性があるとのこと。劇中ではアンヴィルが2006年に幕張メッセで開催された「LOUD PARK 06」の様子も描かれているため、再上映を熱望する日本のファンも多いはず。夢を諦めきれない男たちに再会できる日を楽しみに待とう。

Source:Deadline

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Yuka ShingaiYuka Shingai

携帯向け音楽配信事業にて社内SE、マーケティング業務に従事した後、妊娠・出産を機にフリーライターに転向。 映画とお酒と化粧品が好き。日課のオンライン英会話でもしょっちゅう映画の話をしています。

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