DC映画ユニバース「作品をつなげない」新戦略へ転換 ― 『ザ・ジョーカー』新ユニバースの名称発表は「もうすぐ」?

映画『ワンダーウーマン』(2017)の大ヒットを経て、DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)は現在大きな転換期を迎えている。DCコミックスの社長であるダイアン・ネルソン氏と、同じく同社社長でありDCフィルムズの共同会長であるジェフ・ジョンズ氏が、米Vultureに対してDCEUの新しい戦略を明らかにしている。

「作品をつなげない」DCEUの新戦略

2013年『マン・オブ・スティール』に始まったDCEUは、これまで世界的ヒット作を送り出しながらも、映画ファンや批評家からは比較的厳しい評価を下される傾向にあった。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)、『スーサイド・スクワッド』(2016)という2作を経て、その流れを見事に断ち切ったのが『ワンダーウーマン』だったのだ。

ネルソン氏やDC幹部らは、『ワンダーウーマン』が成功したポイントのひとつが“他のDCEU作品を無視していい、目の前のものに集中できる”ことにあったと考えているようだ。ジョンズ氏も『ワンダーウーマン』について「他の映画のための作品ではない」と述べて、新たな方針の一端を示唆している。

「『ジャスティス・リーグ』のようにキャラクターをつなげる映画もあります。しかし『アクアマン(原題:Aquaman)』のように……私たちは『アクアマン』をあらゆる映画につなげることを目的にはしていないんです。今後、DC映画のユニバースはユニバースでありつつ、(作品を)製作する映画監督のハートから出てくるものを大切にしていきます。

またネルソン氏によると、DCとワーナー・ブラザース社は「ユニバース全体を考え直す」という段階に入っているという。
たとえば『バットマン vs スーパーマン』でフラッシュやアクアマン、サイボーグを登場させたように、かつてのDCEUは“ユニバース全体の連続性”を重要視していた。マーベル・シネマティック・ユニバースはこの路線を加速させており、その頂点として『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年4月27日公開)を用意しているわけである。

しかし今後のDCEUは、あらゆるものが同じ世界に存在するという考え方を「諦めない」が「強調はしない」という方針で進んでいくようだ。ネルソン氏はこのように述べている。

「今後、(ストーリーの)つじつまが合わなくならないように(ユニバースの)連続性を使いたいと考えています。ですが、すべてにまたがるストーリーやユニバース内部のつながりを強調することはありません。」

いわば『ジャスティス・リーグ』(2017年11月23日公開)とはDCが当初構想していた戦略の到達点であり、その意味では大きな分岐点となる作品だろう。はじめは2部作で構想されていた本作からパート2の予定がなくなったことは、「作品をつなげない」という新戦略が反映されたものだと考えれば納得がいく。
『ジャスティス・リーグ』を経てDCEUが次に放つのが、ジェイソン・モモア主演『アクアマン』(2018年12月21日米国公開)だ。その後もDCEUには『シャザム!(原題:Shazam!)』や『ワンダーウーマン2(仮題)』、『ザ・バットマン(仮題)』、『グリーンランタン・コァ(原題:Green Lantern Corps)』など数多くの作品が待機しているが、そのほぼすべてがヒーローの単独映画である。

こうした傾向やネルソン氏・ジョンズ氏の発言から考えると、今後のDCEUでは映画監督のクリエイティビティを全面的に活かすこと、ユニバースをキャラクターを収める「箱」として機能させることが重要視されるのではないだろうか。ユニバースとしてのストーリーを強調する方向にあるマーベル・シネマティック・ユニバースとの差別化という意味でも、この舵切りは大胆にして非常に理性的だといえるだろう。

一方で先日、DCEUファンに少なからぬ衝撃を与えたのは、かの有名ヴィラン・ジョーカーのオリジンを描くものとして発表された映画『ザ・ジョーカー(仮題)』だ。『ハングオーバー!』シリーズのトッド・フィリップス監督が手がけるこの作品は、DCEUとは異なる新ユニバース(新ブランド)の第1弾になるということだが、その詳細はいつ明かされるのか……。ちなみにジョンズ氏は、その名称を「まあ、もうすぐ」発表すると述べている。

映画『ジャスティス・リーグ』は2017年11月23日より全国ロードショー。今後のDCEUを占うためにも、これは絶対にスクリーンで観なければ!

Sources: http://www.vulture.com/2017/09/dc-wonder-woman-movie-strategy-universe.html
https://batman-news.com/2017/09/29/geoff-johns-on-dcs-new-movie-strategy-new-brand-justice-league-and-lots-more/
©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

About the author

稲垣 貴俊(Takatoshi Inagaki)。THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくしてお伝えできればと思っております。

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Comments

  • a 2017年9月30日 at 9:57 PM

    MCUも単独作一作目では世界観を共有しているということを匂わせる程度にしていることが成功の要因だと思います。DCEUはマーベルに追いつこうと焦った結果がワンダーウーマン以前の低評価に繋がったように思います

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